息子を社長にした途端、放蕩が始まった!

どの段階で子供を社長にするのか。力量不足の場合はどうするのか。薬剤師の子供を持つ薬局オーナーの共通の悩みでしょう。

5店舗を展開していたEさんの場合は、早く継がせすぎて大失敗をしました。息子のFさんは、小さいころからまじめで聡明。薬学部卒業後は製薬会社の研究職になりました。しかし、Eさんが心臓病で倒れると、製薬会社をやめて戻ってきました。知識豊富なFさんの話は面白く、あっという間に従業員たちの心をつかみました。

幸いEさんは回復しましたが、息子を、頼もしく思えたので、彼の30歳の誕生日の日に社長の座をプレゼントしました。

ところが、残念ながら期待通りにはいきませんでした。30歳の若さで5店舗の薬局のオーナーになったFさんは、どこにいってもチヤホヤされます。まじめ一筋で来ただけに反動で舞い上がってしまいました。高級外車を乗り回し、ブランド品で身を固め、さらに連日、従業員を引き連れてキャバクラなどに飲みにいくことも……。

従業員のミスは増え、地域からも、ドクターからも信用もガタ落ちになりました。結局、Eさんは信用回復のために、Fさんのクビを切り、老体にムチ打って、再び社長職をつづけざるをえなくなりました。後継者については、第三者の目も活用して選びたいものです。

薬局系事業承継の決定版
「上手に薬局を譲渡するための、たった一つの方法」より

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