個人と法人の整理をしなかったら、株価の評価額が低くなった。

薬局に限らず、中小零細企業の多くは、個人と会社の資産が混在しているものです。それはある意味当然のこと。金融機関から資金を借りる時には、担保として社長の個人資産が求められるし、会社が困った時は社長個人の預貯金を会社に貸し付けるのが普通です。

その過程で、個人と会社のお金が混ざる人は少なくありません。東京郊外で3店舗の薬局を経営しているCさん(67歳)は、まさにそれ。「会社名義にした方が節税になる」といった税理士のアドバイスが混沌を後押ししました。自宅は会社名義で購入したマンション、クルマは会社がリース契約したものといった具合です。

会社の資産と個人の資産を分けるためには手間と時間がかかりますが、奥様が倒れたので、店舗経営は難しく、売り急ぐ必要がでてきました。そこで事業譲渡は諦め、株式譲渡に決めましたが、個人の資産や不動産のローンまで混じっている会社は、買い手にとっては面倒です。後から、面倒な資産が見つかる可能性もあります。結果、株価の価値が低く評価されました。

仮に、資産を整理していれば、株式の価格は正当に評価されたし、また事業譲渡とどちらがトクか比較もできます。有利な売却をするためには、早めの資産整理が欠かせません。

薬局系事業承継の決定版
「上手に薬局を譲渡するための、たった一つの方法」より

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