医師者と対立してどうにもならない状態に…。引き際が肝心!

ちょっとしたトラブルで取引先と対立。それが取引停止につながるといったことは、どの世界でもよくある話。しかし、門前薬局の場合、医師との対立が致命的になるケースがあります。

そんな思いをしたのは地方の市街地で耳鼻科の門前薬局を経営していたDさん。ドクターとDさんは高校の同級生です。他の薬局は5キロ以上先なので、実質的にドクターの処方はDさんの独占状態。そんな関係が20年以上続いていました。

ところが、数年前から関係が少しぎくしゃくしてきました。ひとつは、Dさんが年齢を重ねるとともにミスが増えてきたこと。もうひとつは、Dさんとドクターの薬に対する考え方が微妙に違うことでした。そんな状況の中、ある患者さまがドクターの指示に対して、「Dさんは逆のことを言っていた」と反論したのです。他の患者さんもあれこれいろんな噂を伝えます。

ドクターのDさんに対する不信感は次第に高まっていったようです。ドクターは、突然、調剤を院内処方に戻してしまいました。Dさんのところにやってくる患者はいなくなり店の価値は二束三文。関係改善が無理なら、せめて本格的に関係が悪化する前に、譲渡すればよかったとDさんは深く後悔しています。

薬局系事業承継の決定版
「上手に薬局を譲渡するための、たった一つの方法」より

< 前のページへ

次のページへ >