薬局運営を一緒に切り盛りしてくれた妻と
現在は旅行三昧

実例2 Bさん - 薬局運営を一緒に切り盛りしてくれた妻と現在は旅行三昧

M薬局 Bさん
1942年生まれ。大学薬学部を卒業後、調剤薬局勤務や大手流通チェーンの薬局店長などを経て97年退職。千葉県西部に調剤薬局を開設する。68歳で薬局を譲渡し、リタイア。

―― 55歳で開業されたのですね?

それまでスーパーのOTC薬局の店長をしていました。きっかけは、たまたま知人のドクターから近所で調剤薬局を開業しないかと誘われたことです。勤め先の経営が思わしくなかったので、独立もひとつの手かなと思ったのです。もっとも開業資金には数千万円必要。1年くらい悩んでからの開業でした。

―― 順調なスタートだったそうですが。

立地的には、近所に巨大団地があり、また、新しい病院もできましたからね。それなのに周辺に調剤薬局はありませんでした。

―― 奥様も薬剤師なんですね?

自分でOTC薬局を経営していましたが、近所に大手ドラッグストアができて、競争が激しくなったので、店をたたんで、私の店を手伝うようになりました。

―― リタイアを考えたのは?

もともと10年でリタイアしようと考えていました。65歳ですからね。でも、実際に経営をはじめれば、そう簡単にはやめられません。私たちを信頼してくださる患者様がどんどん増えていくからです。もう少し、もう少しとやっているうちに、12年が経過していました。

―― 決意を固めたものは何だったのでしょうか?

スーパーで転んで大腿骨を骨折したことです。約一か月入院しました。歩行が不自由になったので、立ち仕事はきつい。また、再手術の可能性もあったので、妻の負担が重くなると思い、譲渡を決意しました。

―― どんな方に譲渡したいと考えたのでしょうか?

条件は従業員の雇用をきちんと守ってくれることだけです。最初は、親戚や薬剤師の知人などに、薬局名を変えても、貸すだけでもいいと声をかけたのですが、誰も乗り気ではありませんでした。そこで、仲介業者に頼むことにしたのです。最終的にアテックさんにお願いすることになり、結局、一人お会いしただけで決めてしまいました。

―― それは早いですね。どんな人だったのですか?

数店舗を経営している方で、なおかつ薬剤師でした。経営者として安定感がある上に、患者様本位の考え方も垣間見られました。実は、当初、個人の方に譲渡したいと思っていのたですが、その人にお会いして、すっかり気が変わりました。この人なら、店も従業員も安心してお任せできると確信しました。

―― 現在は?

妻と旅行三昧です。薬局を経営していた頃は、二人そろって休めるのは三日がせいぜいでしたからね。不便な場所の薬局だったので、薬剤師を募集しても、パートしか集まらない。二人でやるしかなかったからです。それも、今となってはいい思い出ですね。