親族への承継

親族(子供)を後継者に選んだ場合、事業承継は、同時に相続問題にもなります。

後継者に経営権を集中させること。

後継者が安定した経営を行えるよう、株式はオーナーの生前に、後継者へ贈与するのが一般的です。遺言を活用する方法もあります。

この対策を怠たると、オーナーが亡くなった際、相続財産の一部である株式は、全ての相続人に分配される可能性が出てきます。既に株式が親族などに分散している場合、承継の壁となりますので、予め、オーナーや会社、後継者が買戻しておくのが、賢明です。

会社や後継者が、承継のために株式を取得する場合、政府系金融機関の融資を低利で受けやすくなっています。

後継者以外の相続人への配慮。

後継者に自社株を贈与した場合、残りの相続人はどうなるのでしょうか。民法では「遺留分」が定められており、相続人は、一定の額を相続する権利を有しています。後継者以外の相続人には、株式以外の財産贈与を検討しておく必要があります。

その他、決議権のある株式を後継者に、決議権のない株式を後継者以外の相続人に取得させる方法もあります。しかし、法律を持ち出す前に、家族と十分話し合うことが、円滑な承継を実現させます。

相続税対策と後継者教育を!

T社長は、親の代からの薬局を引き継ぎ、今では20店舗を経営するまでになっていました。子供は無事薬剤師になり、自分の会社で管理薬剤師として働いていました。60歳を目前にし、そろそろ子供に後を継がせたいと考えていました。

T社長
「そろそろ息子にやらせようと思ってね。本人もその気になってきたみたいだし。まずは本社勤務をさせて、社長の仕事を覚えてもらうよ。それと、問屋や金融機関など取引先への挨拶も始めようと思う。うちには娘もいるからな。自社株の相続も含めて、今からよく作戦を練らないと、後で喧嘩されても困るし」
アテック
「よかったですね。承継は想像以上に長い時間が必要ですから、本当にいいタイミングだと思います。それに、時間の余裕があればあるほど、相続や承継の方法が広がりますからね」
T社長
「承継については、税理士とも話しているんだけど、薬局の専門家の意見も聞きたいから、また相談させてよ。息子も店舗を増やしたいみたいだから、M&Aも考えたいし…」
アテック
「わかりました。よろしくお願いします」
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