ハッピーリタイアを成功させる7つのコツ

どんなM&Aだったら、オーナーさんはハッピーリタイアができるでしょうか?

アテックはこれまでの経験から、そのポイントは二つだと確信いています。

一つ目は、譲渡金額に満足できること。
二つ目は、「いいカタチ」で店が継続していくことです。

もちろん、「金額」といっても単純に高く売れることだけが満足ではありません。若くてやる気のある人に譲渡したなら相場より安くても満足ということはあります。「いいカタチ」も、それぞれのオーナーさんの考え方によってずいぶんと違います。

いずれにしても、おひとりおひとりの個性に合わせたハッピーリタイアを実現させるM&Aにするためには、7つの成功法則があります。M&Aを検討中の方は、ぜひ、参考にしてください。

スムーズに譲渡できる「オーナー」のタイプを知る

新オーナーとして外せない能力は経営者としての資質です。
「長期的視点にたって従業員を育てるのか」
「これまでつきあってきた医療関係者、卸売業者、従業員などとの関係を、これまで以上に強固にするコミュニケーション能力があるのか」
「病院や患者様などの地域特性をよく理解し、それを活かした経営ができるのか」。
この3つは、必ずチェックしましょう。仮にひとつでも欠けていれば、話は中断した方が無難です。

買い手に求める条件を明確にする

M&Aの事業者に足を運ぶ前に、どんな条件で売りたいのか、を書きだしてみましょう。具体的には「希望譲渡価格」「引き継いで欲しい経営方針」「店名はどうしても残したいのか」「雇用は維持するのか。維持するなら待遇はどうするのか」「理想とする新オーナー」などです。優先順位をつければ、さらに条件が明確になります。あらかじめM&A事業者に渡せば、検討はずれの候補者を紹介されることはないし、ブレをふせぐためのチェックリストにもなります。

売却額よりも、経営理念にこだわる

売り手・買い手双方の条件がぴたりと合うことは、まず、ありません。そこで、条件に優先順位をつけることが大切なのです。食い違いが最も激しいのは譲渡価格。1000万円以上の開きもザラです。しかし、「価格」を最優先にすることは避けたいものです。金額交渉をしているうちに、ほかの条件がないがしろになるケースが多いからです。金額条件はクリアしても、理想と正反対の薬局に変えられたらハッピーな気分は台無しです。一般に、後悔しないのは「経営理念」を最優先にした時です。

譲渡先を探す前にウィークポイントを改善する

買い手から見たウィークポイントをチェックすることも大切です。「借金がある」「立地が悪い」「調剤の件数が少ない」「家賃が高い」などは代表でしょう。また、「営業時間が長い」「薬剤師の給料が高い」等、顧客サービスや雇用条件の高さが、買い手にとってデメリットにうつることもあります。ウィークポイントによっては譲渡価格が大幅に下がるどころか、買い手がつかないこともあります。将来、M&Aを検討しているなら、たとえば営業時間を少しずつ短くする等、今からウィークポイントの改善に取り組むことをお勧めします。

不利な情報もきちんと伝える

少しでも高く売るために、不利な情報は黙っていたいものですが、それは逆。基本合意したあとの、デユーデリジェンス(店舗の監査)で、黙っていた情報が明らかになることは少なくありません。そうなれば、買い手の信頼は一気に崩れます。最悪の場合、破断になります。代表的な開示漏れは、「リベートがあるのにないと申告」「機材がリースであることを伝えてなかった」「ローンが残っている備品があることを黙っていた」「従業員と賃金トラブルがある」などです。M&Aでもっとも大切なのは信頼関係。ですから、まず、相手を信頼して、不利な条件こそ初期段階で伝えるべきなのです。

M&Aは最後まで秘密裡に進める

M&Aを進める中で、絶対にやってはいけないことは情報を漏らすこと。仮に売却話が進んでいると噂が広がれば、従業員は動揺してサービス低下を招くかもしれません。患者さんが他の薬局に流れる可能性もあります。医療機関が、他の薬局に応需先を変更するケースもありました。そうなれば売上は激減、評価額は大幅にダウンするし、買い手からの信頼も失います。M&Aは、大きなお金が動くので、不安になり、つい誰かに相談したくなります。でも、話せば必ず噂は広がります。オーナー最後の大仕事だと思って、一人で耐え切りましょう。

新オーナーへの引き継期間は最小限にとどめる

譲渡契約を締結してから、実際の譲渡までに、業務の引き継ぎを終えるのが一般的です。引き継ぎの期間はおよそ2週間が目安です。引き継ぎの最中には、「やり方が違う」と口を挟みたく場面がいくつも出てくるでしょう。でも、極力、口出しするのはやめましょう。薬局運営に関するコンセプトが同じであれば、細かい手順に違いがあってもかまわないはずです。また、古いやり方を押し付ければ、新オーナーのモチベーションをそぐことになるかもしれません。もちろん、引き継ぎが終わったら、 口を出すのはご法度です。新しいオーナーを信じて、温かく見守っていきましょう。