近年どの街にも薬や日用品、食料品なども揃っている「ドラッグストア」が見られるようになりました。調剤薬局とスーパーの中間のような役割を果たしているドラッグストアですが、現在ドラッグストア業界ではどのようなことが起きているのでしょう?今回は、ドラッグストア業界のM&A最新事情や動向についてご紹介していきます。目次■ドラッグストア業界について■ドラッグストアと調剤薬局は何が違う?■ドラッグストアのM&Aは競争激化■より高く売るためのポイント■調剤薬局をより高く売りたい方は「アテック」へ■ドラッグストア業界について まずはドラッグストア業界の基礎的な部分から市場に関する部分などをご紹介していきます。 【ドラッグストア業界の基礎知識】 そもそもドラッグストア業界というのは、医薬品や化粧品などの商品を中心に揃えた小売業であり、近年はより多くの方が利用できるよう、食料品や日用品などを各種取り揃えています。中には24時間営業のドラッグストアも出てきており、それだけ需要が高い小売店だと言えます。 また、従来のドラッグストアでは医薬品を取り扱っているものの、病院からの処方箋を受け付けていたり、第一類医薬品は販売できなかったりと、調剤薬局との差別化ができていました。しかし最近では、調剤薬局をドラッグストアに併設することで処方箋受付を行っているお店が増え、第一類医薬品も手軽にドラッグストアで手に入れられるようになってきたのです。そのため、ドラッグストア業界では薬剤師を応募する求人数も増えてきています。 【ドラッグストア業界の市場規模】 ドラッグストア業界における市場規模は徐々に拡大しており、2015年度の市場規模推移を見ると約6兆円にも及んでいることが分かっています。これは、商品の低価格化や上記でもご紹介したように24時間営業の店舗が増えていることから、消費者の利用が増えたためだと考えられます。 ただし、近年はドラッグストアの市場規模も若干落ち着きを見せている状態です。ここからさらに伸ばしていくためには、消費者にニーズに合わせたサービスの提供が必要になってくることでしょう。 また、ドラッグストアの市場規模は増加しているものの、企業数自体は減少しています。現在のドラッグストアを見ると、多くの商品を取り扱っているせいか店舗が大きくなってきており、個人での営業は難しいと言えます。経営が悪化すれば大手企業に集約化されてしまう可能性も高くなるため、企業数は年々減ってしまっているのです。 【小売業全体ではどのような変化が見られる?】 小売業全体で見た場合、ドラッグストア業界の市場規模はスーパーやコンビニに比べると小さくなっています。特に、近年はインターネットのECサイトによる通販利用者が増加しているため、小売店舗は苦しい戦いを強いられています。 2009年に医薬品の販売に対する規制緩和が行われ、ドラッグストア以外にECサイトやコンビニでも一部の医薬品を販売できるようになったことがきっかけとなっています。そのため、今後ドラッグストア業界は他の小売業との差別化を図りつつ、より利便性の高い店舗づくりが重要と考えられるでしょう。 【ドラッグストア業界のM&A最新事情】 現在のドラッグストア業界では、中小規模の企業がM&Aによって大手チェーン店の傘下に入り、事業の立て直しを図る企業が増えてきました。先程も紹介したように傘下に入ることが影響して年々企業数が減少しているのですが、大手チェーン店では新規出店を積極的に進めている現状もあるため、M&Aに関してもかなり進められてきています。さらに、ドラッグストア業界ではドラッグストア企業や調剤薬局以外にも、異業種の企業とM&Aを成立させることで他の小売業にも負けないような新しいサービス提供や事業拡大につなげている企業も見られます。■ドラッグストアと調剤薬局は何が違う? ここまでドラッグストア業界について色々とご紹介してきましたが、ドラッグストアと調剤薬局は何が違っているのか疑問に感じた方もいるでしょう。実際の店舗を見てみると全く違うことが分かりますが、例えば機能的な部分を見るとドラッグストアでも処方箋を受け付けていますし、調剤薬局でも処方箋受付以外に飲み物やマスクなど、飲食品や日用品などを取り扱っているところもあります。ドラッグストアと調剤薬局はどのような定義で分けられているのでしょうか? まず、調剤薬局は薬事法の中できちんとどういったお店が調剤薬局に当てはまるのかを説明しています。調剤薬局は、薬剤師が販売や授与を目的に、処方箋に基いた調剤や鑑査、指導などを行える場所だと決められています。 また、医療法では病院やクリニックなどと同様に医療機関で分類されているため、もし調剤薬局を開こうとするならば都道府県知事から許可をもらう必要があります。そもそも「薬局」という名称は許可がなければ使用することもできません。 つまり、名前に「薬局」が付いているところはきちんと許可を取得している薬局だと言えるでしょう。薬局医薬品や要指導医薬品、一般医薬品など、調剤薬局ではほとんどの医薬品を提供することが可能です。 一方ドラッグストアは、調剤薬局のようにどういったものがドラッグストアに定義されているのかといったことが明記されている法律は見られません。そのため、どのようなお店でも「自分のお店はドラッグストアです」と言ってしまえば、そのお店はドラッグストアに分類されることになります。 ただし、日本ドラッグストア協会というところでは、ドラッグストアに関して医薬品や化粧品、日用品、食品などの日用雑貨を取り扱っていることを定義付けています。薬局のように法律で決まっているわけではないため、ドラッグストアの中には医薬品や化粧品だけを取り扱っているお店も存在します。ドラッグストアと調剤薬局は、このように定義に違いが見られるのです。■ドラッグストアのM&Aは競争激化 最近は、街中には様々なドラッグストアの店舗を目にすることができるでしょう。元々は個人経営の店舗が多くありましたが、1970年代からチェーン化が進み、1990年代にはさらに大手企業がチェーン出店を強化していったという背景があります。 大手チェーンのドラッグストアと言えば、日用品や食品など幅広い商品が店頭に並び、医薬品や化粧品も数多く置いているという特徴があります。この手法により、大手チェーンのドラッグストアは急速に市場拡大していったのです。 最近では、2016年の市場規模が2015年度と比較すると5.9%増加した6兆4916億円となっています。これは各店舗の大型化も理由の1つで、食品・酒類・調剤類などあらゆる分野に広げていることが影響しています。 そんな中、ドラッグストア業界では競争が激化していて、2018年度ではさらなる規模拡大競争が激しくなりました。ここ数年は、インターネット販売が普及してきたことで1店舗あたりの売上高が伸び悩んでおり、コンビニとも競争する形になっているのが特徴です。大手のドラッグストアは、中小企業を傘下に取り込もうと戦略を掲げ、市場シェアは大手がいかに中小企業を取り込めるかが大きな鍵になっています。 2017年9月には、ドラッグストア業界でも大手のツルハホールディングスが、浜松市を拠点とする杏林堂グループ・ホールディングスを買収して業界トップクラスの規模を誇るようになりました。マツモトキヨシも1994年に業界トップになった大手ですが、関東の中小企業の買収を戦略に盛り込んだことで得られた実績と言えます。イオングループも2014年にウェルシアを買収し、子会社となっています。 今では、ドラッグストア業界においてもM&Aを経営戦略の1つとして捉えられているのです。ドラッグストアは、取り扱う商品が似ていることから、競争は今後も続くだろうと予想されています。立地や価格帯で競争する以上に、中小企業を傘下に置く戦略が必要不可欠になってきていると言えるでしょう。 小規模なドラッグストアもまた、今後は経営存続のために大手チェーンに店舗を売却するM&Aを視野に入れる必要があります。ドラッグストアだけでなく、調剤薬局も同様です。 調剤薬局も、近年では供給過多で大手チェーンが買収するケースが多く見られるようになりました。後継者不足・薬剤師不足などの問題を踏まえても、M&Aは経営存続のための方法として真剣に進めていくべきものだと言えます。■より高く売るためのポイント では、そんなドラッグストアや調剤薬局をM&Aでより高く売却するためにはどのようなポイントを理解しておけば良いのでしょうか?事業譲渡をはじめとするM&Aは、正しいやり方や進め方を把握しておかなければ、失敗してしまう可能性もあります。オーナーの希望に合った売却先を見つけるためにも、まずは大切なポイントを理解しましょう。 ・強みがあるか ドラッグストア・調剤薬局を売却するには、まず自分の店舗にどのような強みがあるのかを振り返ります。他の店舗にはない強みや魅力があれば、売却先もスムーズに見つけられるでしょう。 例えば、処方箋応需枚数が多かったり、これまで培ってきた実績や信頼があったりと、何らかの強みがあればそれが売却先へのアピールポイントになるのです。自社において他社に負けない部分は何なのかを明確にしましょう。 ・準備を怠らない M&Aにおいて、事前の準備は非常に大切であり、成功か失敗かにも大きく影響するものです。事業譲渡をはじめとするM&Aには、細かな手続きがたくさんあります。 売却する時期やタイミングも店舗のその後に関わるので、準備をしっかり行っていればスピーディに対応できるでしょう。M&Aの取引が中断・中止にならないよう、戦略を立て、事前の準備を入念に行うことが大切です。 ・適正価格を把握する 売却時には、どんな店舗であっても高値で売りたいと思うものです。しかし、適正価格がわからなければどれくらいの価格が安くて高いのは判断できません。 企業価値評価の相場や適正価格はドラッグストアでも調剤薬局でも存在します。それを基に、店舗の相場や適正価格がどれくらいになるのか把握しておくと良いでしょう。 ・財務状況の確認 M&Aは、取引を滞りなく円滑に進める必要がありますが、中にはトラブルにつながってしまったケースもあります。トラブルにつながる原因として考えられる要因の1つに、財務状況の見落としがあります。 例えば、店舗の財務表にも記載がない薄外債務は、見落としがちな部分でもあります。M&Aを進める前に、見落としている薄外債務がないかどうかしっかり確認しておきましょう。 ・M&A仲介会社に相談する M&A仲介会社は、売却までの取引をトラブルなく円滑に進めるためのサポートを行っています。ドラッグストアや調剤薬局のオーナーの希望や相談を基に対応してくれるのが特徴で、売却先とのマッチングや引き継ぎまでトータルサポートしてくれます。 特にM&Aで店舗を売却したいオーナーは仲介手数料もかからないところがほとんどなので、相談や問い合わせも気軽に行えるでしょう。スムーズにM&Aを進めたいと考えているオーナーは、こうしたM&A仲介会社に相談すると満足のいく取引ができるのではないでしょうか?■調剤薬局をより高く売りたい方は「アテック」へ アテックは、調剤薬局M&Aを専門とした仲介会社です。1991年の創業から700件以上もの案件を手掛けてきているプロフェッショナルでもあります。実績のほとんどが小規模な薬局や個人経営の薬局となっているため、売却先が見つからないといった不安を抱えているオーナーにとって心強いパートナーになってくれます。 アテックではM&Aを通じてオーナーがハッピーリタイアできるよう進めてくれるので、譲渡金額はもちろん、経営理念や不利な情報についてもしっかり見極めサポートしてくれるのです。ハッピーリタイアするためのコツも教えてくれるので、M&Aの取引そのものや納得のいく売却先が見つかるか悩んでいる方も安心できるでしょう。 M&Aを考えているオーナーは、アテックに相談してみてはいかがでしょうか?きっとより良い解決策を提案してくれることでしょう。 今回は、ドラッグストア業界のM&A最新動向から競争激化している理由、高く売却するポイントなどを紹介してきました。ドラッグストアや調剤薬局は、M&Aを通じて事業を存続させようとするケースが増えてきています。 アテックは、そんなオーナーに寄り添いサポートしてくれるM&A仲介会社です。M&Aを視野に入れている方は、オーナーの個性に合わせて売却先をマッチングしてくれるアテックに任せてみてはいかがでしょうか?