自身が高齢となり、後継者もいないことから調剤薬局の経営を辞めようと考えるは多いでしょう。 しかし、調剤薬局を辞めてしまうと利用する顧客はもちろん、働く薬剤師たちにも迷惑をかけてしまいます。 何よりも長く続けてきた調剤薬局を廃業する選択は苦渋の判断です。 それなら、自分の調剤薬局の経営を継続させたまま引退する方法として、薬局の譲渡・M&Aをおすすめします。 今回はシニア薬剤師および調剤薬局が抱える悩みからハッピーリタイアを実現するM&Aのメリット、さらに譲渡の成功ポイントなどについてご紹介しましょう。

目次

■元気な間は働きたいと思うシニア薬剤師・オーナーは多い

人材派遣会社が2019年に行ったシニアの働き方に関するアンケート結果によれば、元気な間は年齢と問わず働きたいと答えた50歳以上の薬剤師が22.4%の割合でいました。 なお、55〜60歳まで働きたいというシニア薬剤師は4.1%に留まっています。 一方で全職種の場合、56〜60歳まで働きたいという回答が36.0%となっているのに対して、元気の間は働きたいという回答は18.0%です。 薬剤師とは逆に、他の業種は55歳を超えたら引退したいと考えている傾向があります。 シニア薬剤師が働く目的の大半は、主に経済面や生活のためと回答しています。 多くのシニア薬剤師やオーナーが経済面で苦労している、もしくはより豊かなセカンドライフにしたいと考えているのでしょう。 また、仕事が好きで、資格や経験、知識を活かすためと答えた人も8.1%の割合で存在します。 目的がどちらにしても、調剤薬局業界では生涯現役と考える人が多いと言えるでしょう。

■シニア薬剤師・オーナーが抱える悩み・問題

元気な間は働き続けたいと考えるシニア薬剤師・オーナーが多く存在しますが、抱える悩みや問題も色々あります。 シニア薬剤師・オーナーに多い悩みや問題点は次の内容が挙げられます。 ・体力や病気の問題 体力は歳を重ねるごとに衰えていき、50歳を過ぎてから急激に衰えを実感する人も多いでしょう。 病気はなくても、体力が下がってしまうと集中力も落ちやすく、業務効率を下がります。 若い頃と比べて体がいうことを聞かず、思い通りに行動できないことに対する苛立ちも大きくなるでしょう。 また、歳を重ねるごとに病気になるリスクも高まります。 医療に関わる薬剤師であっても人間なので病気になりますし、持病を持つ人もいるでしょう。 体力の低下や病気になった場合は、生涯現役で調剤薬局の経営を続けたくても引退を考えなければなりません。 ・子育てや町内会、自由な時間などのプライベート事情 シニア薬剤師の中にはプライベートも忙しいという方も多いでしょう。 例えば、孫がいて両親が共働きなら子育てに協力しなければならないシーンもあります。 また、自分が住む地域の町内会の班長や役員に選ばれた場合、活動や組織運営にも時間を割かねばなりません。 仕事も大事だけど、自分だけの自由な時間も大切にしたい人も多いはずです。 元々趣味があったり、やってみたいことがあったりすれば、自由な時間の確保も必要でしょう。 しかし、定年退職という概念がない調剤薬局は仕事が多忙で、自分のための時間を確保しにくい人も多いです。 プライベートの時間をもっと設けたいと思った時も、引退を考えるタイミングになると言えます。 ・後継者問題 調剤薬局では後継者がいないという問題も多いです。 薬局の数に反して薬剤師の数は不足しており、どこも人手不足が課題となっています。 今いる薬剤師の中から後継者を見つける必要がありますが、適任者がいなかったり、後継者の育成に時間にかけられなかったりというケースも多いです。 後継者の中には自分の子どもや孫など親族に継がせたいという人もいるでしょう。 しかし、自分が薬剤師だからといって必ずしも子どもが薬剤師の道に進むとは限りません。 むしろ親自身が子どもを縛ることに罪悪感があり、継いでほしいけど強く言えないという人も少なくないです。 自分が元気な間は経営していけても、今後自分の身に何かが起きても継いでくれる人がいなければ廃業も視野に入れる必要があるでしょう。 このように、生涯現役でいたいと思っていてもシニア薬剤師は様々な事情から引退や廃業を選択しなければならない時が必ず訪れます。 まだ元気だから大丈夫と自分を過信せず、上記のような悩みや問題が今後生まれる可能性があることを頭に入れて、引退に向けた計画を立てていく必要があるでしょう。

■廃業ではなく譲渡での引退も選択に

調剤薬局のオーナーが高齢になってしまうと、廃業を視野に入れるケースも少なくありません。 確かに廃業という選択肢を選ぶこともできますが、せっかくここまで維持してきたのであれば、廃業ではなく譲渡という選択肢を視野に入れてみてはいかがでしょうか? 続いては、譲渡という選択を選んだ場合のメリットや譲渡を成功させるために知っておきたいポイントについてご紹介します。 【売り手側のメリット】 調剤薬局を譲渡することによって売り手側が得られるメリットには、 ・後継者問題を解決できる ・事業拡大の可能性を手に入れられる ・創業者利益を獲得できる といったものが挙げられます。 後継者問題は、多くの調剤薬局オーナーが抱えている問題です。 収益や薬剤師の確保が難しいため、調剤薬局のオーナーを継ぎたいと考える人は多くありません。 そのため、適切に事業承継を行うためにもM&Aを実施するケースが多くなっています。 また、譲渡することによって事業拡大の可能性を手に入れることもできます。 多角化経営ができるようになるので、少ない費用で大きな利益を挙げられるような相乗効果を生み出せる可能性も高まるでしょう。 創業者利益を得られるという点も、売り手側にとって大きなメリットになります。 もしも廃業してしまった場合は、スタッフの再雇用や廃業コストなどに関する負担がのしかかってきます。 それは大きなデメリットになってしまうので、譲渡するのはとても魅力的な手段だと言えるでしょう。 【スタッフや顧客のメリット】 経営者だけではなく、スタッフや顧客が感じるメリットもあります。 スタッフのメリットは、待遇が改善したり、キャリアアップ・スキルアップにつながったりする可能性があるという点です。 調剤薬局を買収するのは事業規模が大きい企業であるケースが多いため、待遇が改善されることが多くなっています。 教育制度も買収先に準ずるため、キャリアアップやスキルアップにつなげやすくなることも大きなメリットです。 顧客のメリットは、地域医療が安定的に拡大したり、顧客満足度が向上したりといったものが挙げられます。 調剤薬局のM&Aを行うと、より質の良いサービスを提供しやすくなります。 そのため、地域医療により貢献でき、顧客満足度も向上していくと考えられるでしょう。 【譲渡を成功させるためのポイント】 調剤薬局のM&Aを成功させるためには、いくつか知っておきたいポイントがあります。 では、どのようなポイントを知っておくべきなのかみていきましょう。 ・M&Aについて把握しておく 調剤薬局を譲渡する場合、買い手に主導権を完全に握られてしまうと思っていたような結果を得られない可能性が高くなります。 つまり、対等な立場で取引をしなければいけないということです。 もちろん売り手側も主導権を握るために情報を後出しにしすぎないように気を付けなければいけません。 ビジネスであることに変わりはないので、信用を構築するのはとても大切な要素になります。 そのためにも、取引の全体像やオーナーについて把握し、適切な取引をするようにしましょう。 ・買い手探しで妥協しない 譲渡が終わるとスタッフは新しい経営者の元で働くことになります。 やりがいを持って働き続けてもらうためには、信頼できる買い手を探す必要があるのです。 譲渡すれば関係ないと思うかもしれませんが、これまで守ってきた調剤薬局とスタッフにとって理想的な形を作り出すためにも、買い手探しで妥協しないようにしましょう。 買い手探しで妥協してしまうと、最終的には多くの人が不幸せになってしまう可能性があります。 ・M&A仲介会社に相談する 調剤薬局の譲渡を検討する時に、M&A仲介会社に相談するのもおすすめです。 M&Aを行うためには専門的な知識が必要になるため、専門家からサポートしてもらう必要があります。 特に調剤薬局は、他の業種よりも時間がかかるケースが多いです。 より効率的に進めためにも、M&A仲介会社に相談することは大切なポイントになります、 これまでに多くの実績を持っている会社であれば、より良い結果を導きやすくなるでしょう。 ・情報漏洩には細心の注意を払う 情報漏洩は、絶対にあってはならないことです。 万が一、情報が漏洩してしまうと、株価に大きな変動を与えたり、スタッフが離職したりする可能性があります。 そうなってしまうと、ステークスホルダーにも大きな影響を与えかねません。 交渉先との機密保持契約をしっかりと締結し、情報が漏れないように細心の注意を払いましょう。 ・計画的に進める 計画的に進めることも、M&Aを成功させるためのポイントです。 スキーム選択や戦略策定、企業価値の向上、交渉、手続きなど多くの過程を経て、ようやく譲渡となります。 一般的な会社の譲渡よりも時間がかかる傾向があるので、できるだけ早い段階から計画的に進めると良いでしょう。

■調剤薬局の譲渡を成功させるならアテックへ

調剤薬局のM&Aは、適切なタイミングを見計らい、できるだけ早くから動くことが大切になります。 最後に、どのようなタイミングが適切なのか、譲渡に関して迷ったらどこに相談したらいいのかといった点についてみていきましょう。 【適切なタイミングとは】 調剤報酬が下がることや消費税増税によって、調剤薬局の負担は大きくなっています。 中堅の調剤薬局グループであれば、買収を増やすことで規模を拡大することができています。 それに対して小規模の調剤薬局では、先行きが不安定になりがちです。 そのため、廃業や譲渡を検討するケースが増えています。 特に最近は、売り手側が調剤薬局グループやM&A仲介会社に相談するケースも増えていて、譲渡をするケースも多いです。 調剤薬局は景気動向の影響をほとんど受けない業種ではありますが、国の政策には影響されてしまう業種です。 それを踏まえて考えてみると、国の制度変更などをきちんと把握し、できるだけ早く対策を講じる必要があります。 【譲渡に関して迷った場合はアテックに相談を】 アテックは、1991年に創業した日本初の調剤薬局のM&A仲介会社です。 医院・薬局の経営ノウハウの販売や経営指導及び業務委託、医療コンサルタント・情報提供サービス、薬局のM&A、薬剤師の独立開業支援事業といった事業を行っている会社です。 設立してから多くの薬局をサポートしてきた実績も持っています。 調剤薬局のマネジメントには高度な技術も必要になるため、これまでの経営手法を続けていてはうまくいかない可能性もたかくなります。 しかし、これまで積み上げてきたものをゼロにしてしまっては、意味がなくなってしまうでしょう。 そのような声が多く聞かれるようになったことから、アテックは調剤薬局経営を総合的に支援しています。 そんなアテックでは、調剤薬局と経営者のマッチングを行うファーママーケットというマッチングサイトも運営しています。 薬局を譲渡したい薬局オーナーと独立を検討されている薬剤師の方・薬局買収を検討されている経営者を結び付けることにより、円滑なM&Aを行えるようにサポートするサイトです。 ファーママーケットでは、売却希望と購入希望の細かい条件を確認できます。 希望の条件に合う後継者や物件を探すことができるので、後々のトラブルにも発展しにくいでしょう。 調剤薬局の後継者不足は深刻です。 中には、廃業を余儀なくされてしまうケースも少なくありません。 しかし、きちんとした段階を踏み、譲渡をするために動くことができれば、廃業をする必要はなくなります。 調剤薬局の譲渡を成功させるためのポイントを把握し、M&A仲介会社へ相談することを視野に入れて動くとスムーズに進みやすいです。 もしも、調剤薬局の譲渡で悩んでいるのであれば、ぜひアテックにご相談ください。 これまでに培ってきた実績とノウハウを活かし、適切にアドバイスいたします。

メールマガジンの登録