調剤薬局では近年M&Aによって事業を継承させるケースが増えています。譲渡や統合によって経営を継続させることができるM&Aには、現オーナーが体力の衰えから考えていた引退の夢が叶うとされているものです。そして人材不足もカバーできるといったようにメリットが満載です。

しかしながらメリットばかりではなく、失敗によって大きなリスクとデメリットを背負う場合もあるとされています。そこで今回は調剤薬局のM&Aの成功事例と失敗事例をご紹介していきましょう。それぞれから見えるM&Aのメリット・デメリットと失敗しないための対策はどのようなものがあるのでしょうか?

■M&Aの成功事例から見えるメリット



これまでにM&Aは数多くの企業を支えてきたものだと言えます。しかしながらM&Aを行うことによってどのようなメリットが得られるのか明確に知らない人は多くいます。そのような方のために、まずはM&Aの成功事例をご紹介し、そこから分かるメリットを学んでいくことにしましょう。はたして、どのような成功事例で企業の未来を明るくしてくれるのでしょうか?

・後継者不足を解決

日本全国どこにでも存在する調剤薬局ですが、担い手の少ない場所であると後継者不足が問題に挙がりがちです。長年地域に寄り添ってきた地域密着型の調剤薬局となると薬局のオーナーももうすぐ定年を迎える、もしくは迎えたという人もいることでしょう。

そうなれば後継者に薬局の経営を任せたいと考えることだと思いますが、実は今は残念ながら調剤薬局の担い手が少なくなってきているという事実があります。そうなってしまった理由には医薬分業人口の高齢化が進んだこと、増える高齢者のためにと多くなった薬局やドラッグストアによって、後継者が足りない状況が理由として挙げられています。

現在薬剤師の数は増えているとはいえども、増え続ける需要に追い付いていないことに加えて、免許を取得したとしてもその全員が薬剤師として働くわけでもないため、薬剤師不足がなかなか解消されません。また。薬剤師の役6割は女性にあたり、昨今は晩婚化ではありますが、それでも結婚や出産で休職中となっている女性は多くいます。

そして薬剤師は都市部に集中する傾向を持っています。人口が多い故に働き先は多く、地方になるとどうしても人材不足になりがちです。そんな問題があるからこそ、次のオーナーとなってくれる薬剤師を見つけるのがどうしても難しい状況となっているのです。

こうした問題を解決してくれるのがM&Aになります。親族や薬局で働く社員の中にも後継者が見つからなくても大丈夫です。M&Aでは自身が経営している調剤薬局を大手調剤薬局に譲渡して運営を継続することができます。大手に任せることで今後の安定性も手に入りながら後継者不足も解決できるのです。

多く見かける事例としては、とある大手企業が出していた買収希望から譲渡を決めた、もしくはサイトを活用して自身の薬局の買収を情報から、後継者となる企業から依頼が寄せられるパターンが多いです。もちろんM&Aでは直接買収を希望する企業にM&Aの話を持ち掛けて進めることも可能です。

こうした様々なやり方ができるM&Aで後継者不足を解消できるのがM&Aの魅力と言えるでしょう。こうした事例で不労収入が得られるとなればどれほど素晴らしいものなのかが理解できると思います。

・管理薬剤師がいなくても運営を継続できるM&A

各薬局の責任者にもなり得る存在の管理薬剤師ですが、この管理薬剤師がいないことで薬局を任せられないとなっている薬局も増えています。薬機法に基づき、薬局ひとつの職場には絶対に1名の管理薬剤師がいなければなりません。

管理薬剤師はオーナーがある職員を任命して管理薬剤師に昇進させることはできるものの、まだ頼れる人がいないとなれば不安を感じてしまうはずです。そんな時でも閉局の危機を乗り越えられるのがM&Aです、

とある事例では管理薬剤師が長期の入院を余儀なくされたことがありました。管理薬剤師がいないとなれば臨時の薬剤師でなんとかシフトを回して乗り越えることはできるものの、在籍している人数のみでシフトを回すとなるとかなり大変です。

またオーナーが複数薬局を所有している場合であれば、他の場所から人員を引っ張ってくるということもできますが、担い手が少なくなってきている分そういった急な人手不足には対応しきれないというのが今の世の中の現実です。

「募集をかけても就職希望者がいない」こうしたことからM&Aを行うことを余儀なくされるのですが、この事例の場合ではM&Aをすることによっていくつかの買い手候補がすぐに見つかったため、早急にM&Aによる買収手続きができるようになったのです。

本来ならばなかなか見つけられない担い手もM&Aによって全国の色々な人が見られる情報としてデータ化されるため、非常に後継者が見つかりやすくなります。データとして広めていくのはM&Aの手続きを委託された企業が行います。

自分自身で行わないからこそ楽に、そして企業がスムーズにM&Aの手続きをするため、大変便利です。こうした利便性の良さもM&Aのひとつの売りとなっています。

■調剤薬局のM&Aは失敗事例もある



成功事例ばかりではないのがM&Aです。失敗する可能性もあると聞いたらM&Aを始めることを躊躇ってしまうかもしれませんが、成功させるためにもぜひとも失敗事例から学習すべきと言えるでしょう。続いてはM&Aの失敗事例を見ていきます。

・事業継承後に経営が悪化したことによる失敗

買収前は経営に問題なく運営されていた薬局がさらなる安定を図るために行ったM&Aで経営が悪化して失敗となった事例がいくつかあります。買収された後になって経営が悪化し、結果的にM&Aで失敗してしまったのです。

たとえ信頼できるような企業に売却したからといって必ずしも成功しないのがM&Aのデメリットでもあります。安易に買い手を選んでしまっては、経営を楽にするどころか多くの借金を抱えてしまう可能性もあることを理解しておきましょう。

特に譲渡する企業の財務状況はよく確認すべきだと言えます。債務超過などで悪化しているのであれば、買収後は間違いなく危険です。買収されて初めて経営実態が明らかになったとならないためにも、専門家の力を借りてきちんと事業及び財務状態の把握、そしてデューデリジェンスを行うこと求められるのです。

・人材の離脱によって招いた失敗

薬局M&Aの失敗事例には、譲渡後にこれまで活躍してきた人材が離脱することによって失敗を招くこともあります。オーナーの人脈でつながり仕事をしていた人が薬局が譲渡されると聞けば辞めたくなってしまうことでしょう。これまでの経営スタイルと変わって大きく一変するのであればなおさらです。

また買収した企業の人材の扱い方も重要となります。従業員を見下す、丁寧なコミュニケーションを行わずに仕事がやりづらいとなれば、これまで携わってきた人たちが離れるのも時間の問題です。以前のオーナーの良さを知り薬剤師として続けて来れた人ならば残念ながら離職を選んでしまいます。

そうならないために譲渡先の企業には、社員とのコミュニケーションを大切にしてもらうことが必要です。買収後も社員がそのまま薬局に残りたいと思えるような雰囲気づくりが不可欠となってくるでしょう。

・交渉決裂による失敗事例

M&Aの失敗事例は譲渡後によるトラブルだけではありません。M&Aのやり取りの最中でも起こりうることなのです。

以前あった失敗のケースでは、ある調剤薬局のオーナーが将来に不安を感じてM&Aを行う選択をしたのですが、交渉を進めていくうちに自信がM&Aを進める権利がないことに気づいて失敗に終わってしまったということがありました。

M&Aというのは出資比率の2/3以上の自社株を保有していないと、調剤薬局の経営に参画していない他の株主に売却を反対されてしまうものでもあります。そのため、反対されてしまえばM&Aの願いは叶うことなく、交渉も決裂。新たなスタートを切ることなく交渉の時点で失敗となってしまったのです。

調剤薬局をM&Aで引き継ぐ場合には、自身がM&Aを進める権利を持っているのかどうか確かめなくてはなりません。

■失敗させないためのポイントとは?



それではここからはM&Aを失敗させないためのポイントをいくつかご紹介していきましょう。

・調剤薬局に詳しい企業を選ぶ

調剤薬局の業務は増加する高齢者の影響からか、多種多様な企業から注目されている分野ではあります。しかしながら専門性の高い業務を必要とされるため、知識を得ていない人に任せるのは多くの苦労を強いられます。

譲渡したことでこれまでの職員がなおさら大変になれば離職してしまう危険も考えられます。譲渡先は調剤薬局の分野に詳しく、十分にシナジー効果を発揮できる企業を選択するようにしていきましょう。

・譲渡や統合のプロセスを計画的に行う

M&Aを計画なしに無理矢理行うのは従業員の混乱を生み、薬剤師を続けるモチベーションも下がってしまうことでしょう。「いきなり統合を図るような経営者の元では働けない」となれば離職の原因にもなります。

そうならないためにも、譲渡や統合のプロセスは自分だけではなく他の従業員にも説明できるよう、よく考えて計画的に行うようにしてください。納得が得られなければ、M&A成功とはなりません。

・相手企業にはきちんと情報開示をする

M&Aでは両者の企業状態をよく見せようとする傾向にあります。そのため、譲渡後に事前に聞いてた情報と事実が異なるケースも多々あり、M&Aの手続きを終えてから企業の実態が明らかとなったことがたくさんあるのです。

お互い都合の悪い情報を隠してはいい事業継承はできません。それどころか後の誤った情報が発覚すると裁判沙汰になる可能性が高いため、しっかりと事実を情報開示するようにしましょう。

誠実な情報開示が互いの信頼度を高め、M&Aの強みである相互の力強い支えが十分に得られることでしょう。

・デューデリジェンスを徹底してもらう

M&Aを成功させるにあたってデューデリジェンスは欠かせません。デューデリジェンスを徹底してもらうことでM&Aを行うことで得られるメリットが明確となり、これから出てくるリスクや課題の洗い流しも相手企業はできるようになります。

リスクと課題が分かると譲受企業は、買収した際の十分な対策を考えることができ、対策を講じたうえで従業員に負担のない働き方ができるようになるでしょう。また、デューデリジェンスによって適正価格での交渉が可能となり、「譲渡価格の割に物足りない状態だった・・・。」というような後に起こりうる問題を未然に回避することもできます。

・M&Aの専門家に依頼する

M&Aは専門家に依頼するのがおすすめです。M&Aアドバイザーは、調剤薬局のM&Aを何度も行ってきたプロです。M&Aを総合的にサポートし、コンサルティングをしてくれる偉大な存在となっています。有しているのは基本的な知識だけではなく、業界に欠かせない知識と最新の情報も得ているため、M&Aに最適な企業を紹介することも可能です。

交渉のアドバイスを受けながらスムーズにかつお互いが不快に思うことなく進められるため安心です。ただし、M&Aアドバイザーによって成功か失敗かに大きな差が生まれているのは確かなこととなっています。実績の少ないアドバイザーになると信頼度は下がってしまうので、ベテランアドバイザーが在籍している専門企業に依頼するように心掛けましょう。

■調剤薬局M&Aならアテック!



先ほどM&AをするならばM&Aアドバイザーを活用すべきとご紹介してきました。ただ、信頼できる業者を選ばなければ失敗する恐れもあるため、アドバイザー選びはとても需要です。

そんな中でおすすめするのが多数のM&A実績を誇るアテックです。アテックは薬局経営M&A総合支援の専門家として、日本で初めての薬局M&A専門の会社となっています。そのため在籍するスタッフは皆ベテランで一人ひとり調剤薬局に関する詳しい知識を備えています。

そしてアテックでは売り手企業の仲介料がかからないという特徴を持ち、M&Aにかける費用を安く収められるようになっています。またアテックが運営しているファーママーケットという場所を活用して調剤薬局M&Aのマッチングサービスを用いてスムーズに、そして安心できる企業選びができるのも特徴となっています。

調剤薬局のオーナーの希望を多く叶えてきたアテックでは、「引退を考えている」「新たな経営者を見つけてほしい」「薬局業界の変化に追いつけない」といった様々な悩みを聞き、問題の根本を解決できるようにM&Aを進めていきます。後悔のないM&Aができるよう多くのことで支えてくれるので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか?

今回は、調剤薬局M&Aにおける成功事例や失敗事例から分かるメリット・デメリットをご紹介してきました。どちらも見ることで何に注意してM&Aを進めていくべきかがお分かりいただけたのではないでしょうか?

順調な滑り出しと成功に導くためにもご紹介してきたポイントがしっかり押さえておくようにしておきましょう。最後に触れたアテックの力を活用するのも有効的です。しっかりと対策して調剤薬局に携わる全員が今後も快適に仕事できるようにすることで、お客様にも長く愛される調剤薬局が成り立つことでしょう。
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