今回は、そんな調剤薬局業界の現状や動向、調剤薬局が抱えている課題や悩み、生き残るために知っておきたいヒントについて解説していきます。さらに、調剤薬局のM&Aを考えた時におすすめの相談先についてもご紹介するので、参考にしながら今後の経営について考えてみてください。
■調剤薬局業界の現状や動向
まずは、調剤薬局業界の現状や動向からみていきましょう。・市場は成熟している
調剤薬局業界の市場は、医薬分業率が限界を迎えていることから、成熟しているという見方が強まっています。分業率は69%にも達しているのですが、医薬分業率の限界は70%だと言われています。このことから、規模を拡大しようと考える大手企業が中小の調剤薬局を集約していく動きが活発化するのではないかと考えられているのです。
またマーケットは、医療費削減などによって利益率が下落傾向にあります。これによって、売り手市場から買い手市場へと変化をしようという動きも見られるようになってきました。
・収入が減少している
調剤薬局の収入は、医療費がメインとなっています。メインとなる収入源が削減されることによって、経営環境はさらに厳しくなっていくと予想されます。医療費の削減だけではなく、消費税の増税やジェネリックが増えることによる在庫の圧迫なども経営を厳しくする要因だと考えられるでしょう。
・異業種の参入によって競争が激化している
調剤薬局業界に対する異業種の参入は活発に行われています。大手の調剤薬局チェーンの出店やM&Aだけではなく、医薬品の卸売会社やドラッグストアといった隣接する業種からの参入も目立つようになってきました。中には、商社やスーパーといった異業種から参入するケースも増えているため、競争は以前と比べるとかなり激化しています。
・薬剤師不足や後継者不足が顕著になっている
調剤薬局の経営が困難になってしまう背景には、薬剤師不足や後継者不足といった問題もあります。これには少子化だけではなく、薬学部が6年制になったこと、国家資格の合格率が低下していることなどの多面的な要因があると考えられます。また、大企業では採用費や月給アップなどを取り入れた積極採用が行われているため、中小の調剤薬局では人材の確保が容易ではなくなっているのです。
さらに、医薬分業が進み始めた1990年代に調剤薬局のオーナーになった方は既に60代半ばになっているケースが多いです。子どもが後継者になってくれれば問題ありませんが、子息不足や業界に対する不安から適切な後継者を見つけられない調剤薬局が増えています。これも、調剤薬局業界が解決しなければいけない課題の1つだと言えるでしょう。
■調剤薬局が抱えている課題や悩み
続いては、調剤薬局が抱えている課題や悩みにはどのようなものがあるのか、いくつかピックアップしながらご紹介します。その対策や解決方法についてもあわせてみていくことにしましょう。・何かあった時に門前のドクターや患者様に迷惑をかけないか不安を感じているケース
開業してから年数が経ち、将来のことを考えて不安になってしまうオーナーは少なくありません。門前のドクターや患者様に迷惑をかける結果にならないか不安になってしまうのです。かつては薬剤師の人数を増やして負担軽減を目指すこともできましたが、収益の減少によってそれが難しくなっている調剤薬局も少なくありません。
そのような場合は、現オーナーの意向を汲み取ったM&Aを提案してくれるような仲介会社に依頼するのがおすすめです。M&Aには決まりきった形があるわけではないため、それぞれのニーズに合わせた形で進めることができます。門前のドクターや患者様のことを考えた経営を継続できるような後継者を探してくれる仲介会社にであうこともできるはずなので、よくリサーチしてみると不安を払拭できるようになるでしょう。
・経営や業界に関する今後の先行きに不安を感じているケース
中には1人で調剤薬局を経営しているオーナーもいます。そのようなケースでは、将来に不安を感じてしまう場面が多くなると考えられます。診療報酬の改定で収益が悪化したり、慢性的な薬剤師不足によるリスクがあったりすると、独自の企業努力だけではどうにもならないという状況になってしまう可能性もないとは言い切れません。
M&Aをすればそのような不安も払しょくできますが、オーナー自身の仕事がなくなってしまうことに懸念を抱く場合もあります。そんな時には、資本と経営の分離を検討するのがおすすめです。資本と経営を分離することによって、現オーナーは経営だけに専念できるようになるため、仕事を失ってしまうこともありません。
M&Aには色々なやり方があるので、それぞれの状況に応じて柔軟に数ある方法から選択することができます。
・後継者はいるけれど財務状況などを目の当たりにした時どうなるか不安になってしまうケース
オーナーの子どもが薬剤師として働いていれば、後継者問題は生まれないと思うでしょう。確かに後継者になってくれる可能性もありますが、財務状況などを目の当たりにした時に受け入れてもらえないことがあるのです。後継者は雇われる側の経験はあっても自信が経営したことはないので、根本的な価値観の違いによってこのような状況になってしまいます。
特に、引き継ぎをする段階で多額に負債があると後継者になることに対する抵抗感が強まってしまう可能性も考えられます。そのような場合もM&Aの仲介を行っている会社に相談すると適切なアドバイスをもらうことができるのでおすすめです。財務状況の見直しをする良い機会にもなるため、M&Aに関する相談をしてみる価値は大いにあるでしょう。
・薬剤師不足で悩んでいるケース
薬剤師不足は、調剤薬局にとってかなり大きな問題となっています。特に小規模な調剤薬局では、薬剤師の確保が非常に難しいという状況になっているのです。数少ない薬剤師が退職してしまうと、薬局の運営が困難になってしまうこともあるので致命的な問題だと言えるでしょう。
薬剤師不足は簡単に解決できる問題ではありません。それでも何とかしたいなら、M&Aで大手企業の傘下に入るという方法があります。大手企業と提携することにより、管理薬剤師の補充などをしてもらえるようになるため、薬剤師不足という致命的な問題を解決へと導けるようになるのです。
■調剤薬局が生き残るために知っておきたいヒントとは?
現在は、調剤薬局にとって厳しい状況となっています。特に中小の調剤薬局は、様々な問題が起こっているにも関わらず、解決への糸口が見つけられないと言った状況になっているところが多いです。そこで続いては、調剤薬局が生き残るために知っておきたいヒントについてみていくことにしましょう。・門前薬局から地域薬局へ
これまでは、大型病院やクリニックなどの近隣に店舗を構える門前薬局が一般的でした。門前薬局では、医師の処方をダブルチェックするという役割も担っています。そうすることで、患者様がスムーズに薬を受け取れるような体制を整えることができていたのです。
しかし、厚生労働省が「患者のための薬局ビジョン」を打ち出したことで、調剤薬局に変化が起きようとしています。このビジョンでは、門前薬局ではなく地域薬局を推進しています。高齢者や車いすの方が通いやすい薬局作りをするというのが目的の1つです。 中には、わざわざ病院へ行くほどでもないけど相談に乗ってもらいたいと思っている方もいます。そのような人向けのサポートをするためにも、地域薬局が推進されていると考えられます。つまり、私たちの生活により密着した調剤薬局が増えていき、門前という立地に依存していたところは経営がより苦しくなってしまうとも考えられるでしょう。
2020年4月からスタートしたオンライン服薬指導による影響も無視できません。オンライン服薬指導は、自宅にいながら薬局とコンタクトを取ることができます。このような仕組みが導入され始めていることも、立地に依存している門前薬局を苦境に追いやってしまう要因になりかねません。
・健康相談ステーションとしての役割を担う
調剤薬局は、病院から処方された薬を調剤し、患者様に受け渡す場所です。それが本来の役割ですが、これからは健康相談ステーションとしての役割を担っていく必要があると言われています。厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」の中に健康サポート機能が含まれているからです。
取り組みの方法は色々と考えられます。患者様の健康に関する冊子を作成したり、多く寄せられる相談内容とその回答をまとめたポスターを薬局内に貼ったりするのも良いでしょう。市販薬や健康食品の販売にも注力し、利益を高めている調剤薬局もあるので、そのような取り組みも有効な手段だと言えるでしょう。
さらに最近では、介護に関する相談を受け付けている調剤薬局も増えているのです。薬剤師や事務スタッフがケアマネージャーの資格を持っていれば、的確なアドバイスができるようになります。周囲の介護施設と連携し、専門的な視点からアドバイスができるような体制を整えているところもあります。
・在宅医療にも対応する
近年、在宅医療を取り入れるケースも増えてきました。処方箋自体はそこまで伸びていないのですが、居宅療養管理指導は右肩上がりになっています。居宅療養管理指導というのは、要支援や要介護の認定を受け、通院が難しい方を対象にして行われているサービスです。
ご利用者様の自宅にドクターやナース、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士などの専門スタッフが訪問し、健康管理やアドバイスなどを行います。自宅にいながら安心した生活を送れるようにするのがこのサービスの目的です。調剤薬局では、介護付有料老人ホームと連携したり、服薬チェックを週に1回したりといった業務を取り入れているケースがあります。
居宅で薬の管理や在宅訪問といった機能を備えておくと、高齢になって薬局に通えなくなってしまった場合の不安を解消できます。調剤報酬の改定では、在宅訪問による調剤報酬加算が強化されていることからも、在宅への対応は必要不可欠だと言えるでしょう。患者様のニーズを見逃さないようにするためにも、将来を見据えた対応を検討することが最重要課題になることを忘れてはいけません。
■調剤薬局のM&Aを考えているならアテックへの相談がおすすめ
調剤薬局は、時代の流れや調剤報酬の改定によって、今までのやり方では存続が難しい状況になりつつあります。異業種の参入によって競争が激化していること、薬剤師不足や後継者不足が顕著になっていることは、特に大きな影響を与えていると考えられます。少しでも影響を小さくすべきなのですが、どのような対策を講じれば良いのか分からないというケースも少なくないでしょう。そのような時におすすめなのがM&Aです。M&Aをすることによって、買い手と売り手の双方にメリットが生まれます。最後に、調剤薬局のM&Aを創業以来行っているアテックについてご紹介します。
・アテックとは
アテックは、日本初の調剤薬局M&A仲介会社です。1991年に設立して以来、多くのM&Aをサポートしてきました。「21世紀の薬局を元気にする!」というスローガンを掲げ、調剤薬局のオーナーと後継者候補を結び付けるために奔走しています。
・ファーママーケットとは
アテックは、ファーママーケットというマッチングサイトを運営しています。このサイトは、調剤薬局を売りたいオーナーと独立を検討している薬剤師もしくは調剤薬局の買収を検討している経営者を結び付けるためのサイトです。
ファーママーケットの登録者は多いので、それぞれの希望に合うマッチングを実現しやすくなっています。アテックはこれまでに多くのマッチングを成功させてきたという実績も有しています。自分の力だけでは出会えなかったような薬剤師や経営者と出会える可能性も格段に高まるため、利用を検討してみる価値は大いにあるでしょう。
調剤薬局の経営が苦しい状況になってしまい、M&Aを検討しているのであれば、実績を豊富に持つアテックまでお気軽にご相談ください。それぞれのニーズに応えられるような提案をさせていただきます。そうすることで、より効率的に調剤薬局の経営を立て直すことができたり、後継者を見つけられたりするでしょう。