厳しい状況の中でも、調剤薬局の経営をしていかなければいけません。しかし、どのような取り組みをすべきなのかわかっていなければ、何から始めればいいのかも分からないものです。そこで今回は、コロナ禍でどのような変化が生まれたのか、また薬局経営を支えるためにはすべきか解説していきます。
調剤薬局の経営者やこれから調剤薬局の経営をスタートさせようと考えている人はぜひ目を通してみてください。
■コロナ禍で生まれた変化とは?
コロナ禍の現在、調剤薬局業界にも影響が広がっています。ここでは、調剤薬局業界の現状を解説していきます。・地域に密着した取り組みが求められるようになってきた
新型コロナウイルスの蔓延により、私たちの生活には様々な変化が生まれましたが、同時に各企業の取り組みにも大きな変化が生まれています。調剤薬局に関して言えば、地域に密着した取り組みが求められるようになってきました。
その変化に伴って、薬機法や調剤報酬の配分、要件の改定なども進められています。これまで通りの既存のやり方では、今以上に厳しい状況になってしまう可能性が高いと言われています。
また、医療費や社会保障費を少しでも抑えるために、薬価の引き下げも改定の度におこなわれているため、医薬品の卸売も非常に厳しい状況です。個人薬局の場合は、医薬品の卸業者に対して強気な価格交渉ができるわけでもありません。今までと同じような価格交渉ができないと、薬価の差益が得られなくなってしまうため、収益を増えずに頭を抱えている調剤薬局も多いのが現状です。
最近では、新型コロナウイルスの蔓延によって外来患者が減少しています。外来患者数が減少すれば、処方箋の受付枚数も減少するということです。つまり、調剤薬局が得られる利益にも大きな影響を与えてしまうのです。
・影響の大きさは調剤薬局によって異なる
調剤薬局が受ける影響は、全体に一律というわけではありません。
影響が大きいのは、感染者数が多いエリアの調剤薬局です。小児科や耳鼻咽喉科、整形外科、呼吸器科などの病院やクリニックの処方箋をメインで取り扱っているところも、影響が大きいです。
感染者数が多い分、感染のリスクが高くなってしまうからです。感染の恐れから、足を運ぶ患者数が減少傾向になります。
一方、影響が出にくいのは、感染者数が少ないエリアの調剤薬局です。もちろん影響を全く受けないというわけではありませんが、感染者数が多いエリアと比べるとそこまで大きくはありません。また、地域に密着しているような調剤薬局、色々な医療機関の処方箋を受け付けている調剤薬局も、影響がそこまで大きくない傾向があります。
外出の自粛をしなければいけない現在、在宅介護や在宅医療のニーズも高まっているため、そこに力を入れている調剤薬局も影響を受けにくいです。特に在宅医療に力を入れている調剤薬局は、患者数が変わらない、もしくは増加傾向にあります。
物販も右肩上がりとなっていて、健康食品や衛生用品などの販売、独自ECサイトの通販を積極的に取り入れている調剤薬局も安定しているところが多く見られます。
■コロナ禍で薬局経営を支えるための取り組みとは?
コロナ禍で薬局経営を支えるためには、様々な工夫を凝らす必要があります。ここでは、コロナ禍で薬局経営を支えるための取り組みにはどのようなものがあるのかみていきます。・システムの効率化
薬剤師の業務は、対物から対人への業務が求められるようになっています。そんな中、薬剤師がよりプロフェッショナルな仕事ができるような環境作りが重要です。利用する人の満足度を高めることによって、点数の加算を取れるようになると考えられているからです。
人口の減少や少子高齢化が進んでいることから、薬剤師の人手不足もより大きな問題になると考えられます。人手不足によって、需要と供給のバランスが崩れてしまう可能性も高まります。
人手が不足してしまっても、適切なサービスを提供するためには薬のピッキング、塗り薬の混合、散財の分包、一包化といった作業だけでなく、在庫管理やレセコンなどに関するシステムの効率化も必要不可欠です。今後は、さらにシステムの効率化が重要になると予想されるため、今までのやり方に固執しないことが重要なのです。
・物販の導入
物販は、一般医薬品を取り揃えたり、健康食品や衛生食品を販売したりすることを指します。物販をうことで、処方箋がない人も薬局に足を運ぶようになります。また、物販を機会に処方箋を持ってくるようになる患者も少なくありません。
つまり、物販の導入がコミュニケーションの1つとなり、かかりつけ薬局になるきっかけになるのです。物販は実店舗だけではなく、ECサイトの開設をすることでも始められます。ECサイトであれば、来店しない期間にも接点を生み出せるというメリットがあります。
今後は、医療費の削減に向けて保険適用にならない医療用薬品や処方に制限がかかってしまう医療用薬品も増えておくことが想定されているため、零売をおこなう調剤薬局も増える可能性が高いです。零売というのは、処方箋がなくても医療用医薬品を販売するという方法で、地心部では専門的に零売をおこなう薬局も増えつつあります。
・在宅医療への対応
在宅医療は、都心部と地方で状況に大きな差があります。一概に言えませんが、将来的に需要が高まる可能性は高いと言われています。したがって、在宅医療に力を入れることは売上を高めるための要素になると考えられます。
ただし、在宅医療に対応するハードルはとても高いです。4時間体制に対応したり、夜間緊急対応したりできるよう進めなければいけません。勤務している薬剤師の負担が大きくなることから、積極的な参入を懸念してしまうケースも少なくありません。
だからこそ今が参入のチャンスだと考える調剤薬局オーナーもいます。まだ在宅医療に対応できる調剤薬局はそこまで多くないため、チャンスだと考えているのです。新たな取り組みをして売上につなげたいと考えているオーナーは多く、業務の効率化も考えた上で参入を決めています。
・予防に関する取り組み
医療費を抑えることは国の課題になっています。医療費を負担する側も同様で、慢性疾患の重症化を予防し、がんの早期発見や早期治療に力を入れることが重要視されています。所謂予防分野に、調剤薬局の参入も求められているのです。
調剤薬局がおこなえるのは、簡易的な健康チェックができる検体測定室の設置、健康に関するイベントの実施、がんを早期発見するための受診推奨といったものが挙げられます。薬局の付加価値を向上させるための取り組みとしても有効です。
・共同購入する
医薬品の卸業者に対して個人の薬局は強気に対応をするのが難しくなっています。以前と同じだけ薬価差益を出せなくなっているのです。そんな時におすすめなのが共同購入です。
共同購入は、調剤薬局と医薬品の卸業者の間に他の会社が入り、価格交渉してくれるというものです。大手チェーン薬局に近い価格で購入できる点がメリットです。最近では、ボランタリーチェーンに加盟する個人薬局も増えつつあります。
ボランタリーチェーンに加盟するためには、加盟料や毎月の手数料がかかってしまいますが、それ以上に大きな利幅が出ることが期待されています。今後はさらに薬価差益が出にくくなると予想されるため、共同購入は魅力的な方法です。
■コロナ時代を生き抜くためにM&Aという方法も
コロナ時代を生き抜くために体制を変えたいなら、M&Aという方法もおすすめです。M&Aによる業界再編も積極的におこなわれているため、今後も増えていくことが予想されます。コロナ禍で経営が厳しくなったとしても、地域医療を維持しなければいけないため、大手の傘下に入って調剤薬局を存続させようと考えた場合に、M&Aを検討するケースが多いです。では、M&Aによってどのようなメリットが得られるのかみていきます。
・人材を確保できる
M&Aをおこなうことで、人材を確保できます。調剤薬局における人材確保は、コロナ禍以前から問題視されていました。募集をかけても優秀な人材を確保できないというケースは珍しくありません。
個人薬局で人材確保が難しかったとしても、大手チェーンの傘下に入ると確保しやすくなることもあります。若い世代の薬剤師も確保しやすくなります。採用活動も本部でおこなってくれるため、本業に専念できる点もメリットです。
・閉店せずに済む
経営難に陥ると、最終的に閉店しなければいけない状況になってしまう可能性もあります。地域医療を維持するために存続させたいという思いがあても、状況的にそれが難しいというケースもないとは言い切れません。しかしM&Aをすれば、営業を続けられるため、地域医療の維持にもつながります。
・後継者問題の解決につながる
個人経営の調剤薬局は、後継者がいないという理由で閉店を余儀なくされるケースもあります。閉店してしまうと地域医療に大きな影響を与えるだけではなく、スタッフにも迷惑をかけてしまいます。突然の閉店起こる負担を考えM&Aをおこなうケースもあるのです。
・事業を拡大できる
M&Aをすることによって、事業を拡大できるメリットもあります。特に、多角化経営をおこなっている企業だと得られる可能性が高いです。多角化経営をおこなっている場合、他の事業とのシナジー効果を得て、事業を成長させようと考えるためです。
・創業者利益を獲得できる
コロナ禍で経営が悪化してしまい、廃業を余儀なくされてしまう可能性もあります。廃業を選択した場合、スタッフの再雇用や廃業コストの負担が大きくなります。
しかし、M&Aによって売却すれば、経営者は売却益を手にすることができるのです。また、スタッフを解雇する必要もありません。調剤薬局の場合、許認可制で薬剤師という専門的な知識を持つスタッフの雇用が必須なので、他の業界と比べてみるとより大きな売却益を得られる可能性が高いです。
■M&Aに関する相談はアテックへ!
最後に、調剤薬局のM&Aを検討したら相談していただきたいアテックについてご紹介します。・アテックとは?
アテックは、1991年に調剤薬局M&Aを専門的におこなう会社として創業しました。日本で初めての調剤薬局M&A専門の会社です。調剤薬局の経営者になりたいと考える人の理想を実現するためのサポートをおこなっています。
調剤薬局の売却を考えている人が理想的な後継者に出会えるように、大手チェーンや独立を希望する薬剤師に出会えるような環境を整えています。資金繰りに関するサポートも大手金融機関と提携することでおこなえるようになっているので、安心して次期オーナーを目指せるという点が魅力的なポイントです。
・アテックが運営するファーママーケット
ファーママーケットは、アテックが運営しているマッチングサイトです。調剤薬局の経営者と独立を検討している薬剤師や調剤薬局の買収を考えている経営者を結び付けます。
売却希望者の条件と購入希望者の条件を確認できるようになっていて、双方の条件に合致する相手を見つけることができます。売却希望者も購入希望者も多く掲載されているため、条件が合えばすぐに後継者を見つけられる可能性が高いです。
コロナ禍で調剤薬局の経営も厳しい状況になっています。そんな中、薬局経営を支えるための取り組みをおこなうことが重要になっています。M&Aという方法もあるため、どれが一番自分たちに適しているか見極めた上で、どのように進めていくか決める必要があります。
M&Aを検討している場合は、ぜひアテックまでご相談ください。