もし、調剤薬局オーナーという立場から引退したくても後継者がいなかった場合、考えたいのが事業承継です。
今回は、事業承継のタイミングや方法、相場、成功のポイントなどについて解説していきます。また、事業承継を行う際の相談先としておすすめしたいアテックについてもご紹介します。調剤薬局の後継者探しで悩んでいる人はぜひ目を通してみてください。
■事業承継のタイミングと理由について
事業承継はどのタイミングで行うかが重要なポイントです。では、事業承継はどのような理由から選択するケースが多いのでしょうか。ここでは、事業承継のタイミングと理由について解説していきます。・事業承継のタイミング
事業承継のタイミングは、現在の経営者が引退を考えた時、後継者が新しい挑戦をするために開拓を考えた時です。調剤薬局のオーナーの全国的な平均年齢は、おおむね60歳となっています。60歳前後のオーナーは、65歳~70歳くらいに承継したいと考えているケースが多いです。
既に後継者が決まっている場合は、スムーズに引継ぎができるでしょう。しかし最近は、後継者が決まらずに時間がかかってしまうケースも珍しくありません。例えば、誰を後継者にするかという問題はオーナーにとって極めて重要なことです。将来のためにしっかりと考えなければいけないのも、時間がかかる要因の1つとして挙げられます。
調剤薬局の次期オーナーになりたいと考えている場合、40代のうちに承継した人は「ちょうど良いタイミングだった」と感じやすい傾向があります。もちろん、ただ若ければ良いという訳ではなく、リーダーシップを発揮できるかどうかがポイントです。40代は、それまでに培ってきた経験や失敗の実績などのバランスが整う年齢とされていることから、事業承継のタイミングとして適していると言えるでしょう。
・事業承継の理由
事業承継を考える理由は、オーナーの高齢化や後継者問題の解決、薬剤師不足の解消、経営状態の改善など多岐に渡ります。また、資本力を持った競合が調剤薬局業界に参入していることも、事業承継を考えるきっかけになっています。規模が小さい調剤薬局は、後継者問題や薬剤師不足などの問題を抱えていても、解決への糸口がつかめずに閉業を余儀なくされてしまうケースもあるのが実態です。
オーナーがこれまでに積み上げてきたものを簡単に手放してしまうのは気持ちが良いものではありません。こうした理由も、事業承継を考えるきっかけになっています。
■事業承継の方法は?
調剤薬局の事業承継にはいくつかの方法があります。ここでは、調剤薬局の事業承継における方法を解説していきます。・親族内承継
親族内承継は、“親族”という名前の通り、現経営者の子どもや身内などの親族に引き継ぐ事業承継のことを言います。親族への事業承継ができれば、それが最も理想的だと考える経営者は多く見られます。
親族内承継のメリットには、現在の経営者から近い人が引き継ぐことで、社内外からの理解が得られやすい・地位だけではなく自社株の引き継ぎもできるので、所有と経営が分離しにくいといった点が挙げられます。
デメリットは、親族内に後継者になる意思を持つ人がいない可能性がある・後継者だけに経営が集中するため、親族間の対立が生まれやすくなる・経営者としての素質・意欲が乏しくて経営経験が浅いと、運営や組織の体制に不安な部分が生じるといった点です。
・従業員承継
従業員承継は、従業員を後継者として事業承継する方法です。会社の役員に承継することも含むため、“会社内承継”と呼ばれることもあります。従業員は、これまでに辛苦を乗り越えてきた仲間でもあるため、安心して任せられると感じる後継者もいます。
しかし、従業員がオーナーの地位を引き継ぐことはできたとしても、株式の取得ができないと所有権は取得できません。後継者になる従業員が株式を買い取ることになりますが、買い取り資金が問題となるケースが往々にあります。場合によっては、金融機関から借入をしているため、新たなオーナーが連帯保証人にならなければいけない可能性があります。
従業員承継のメリットには、親族の後継者候補がいなくても後継者を探せる・経営状況を良く知る人が引き継ぐため、他の従業員や取引先からの理解が得られやすい・後継者教育にかける時間を短縮できるといった点が挙げられます。
デメリットは、後継者候補となる従業員が株式を取得できる資金力を持っているとは言い切れない・会社の借入金は連帯保証になるといった点です。
・M&Aによる承継
親族にも従業員にも、後継者候補となる人がいなかった場合は、M&Aによる承継を検討します。M&Aによる承継は、調剤薬局業界において従業員への承継よりも採用する割合が高いのが特徴です。金銭的面からみた時に従業員の承継が難しいとなった場合、この選択を取らざるを得ないというのも、選ばれる要因の1つだと考えられます。
M&Aによる承継を行うメリットは、事業の継続だけではなく拡大が見込める・創業者利益を獲得できる・廃業コストをかけずに済む、といった点が挙げられます。事業の継続だけではなく拡大が見込めるのは、どちらかというと買収側が得られるメリットです。そして、創業者利益を獲得できること、廃業コストをかけずに済むことは、現オーナーが得られるメリットです。
デメリットは、思っていた売却価格にならない・交渉に時間がかかる可能性がある、といった点が挙げられます。M&Aでは、将来の利益も見越した価格が設定されるので診療報酬の改定などにより売却価格が右肩下がりになってしまいます。また、条件や時期などの調整を綿密に行う必要もあるため、決まるまでに時間を要する可能性も高いです。
事業承継には、このような方法があります。身内や従業員の中で後継者が見つかるのが理想的ですが、実現できないケースの方が多いのが現実です。そのような場合、M&Aによる承継を行うのがベストだと言えるでしょう。
■調剤薬局の継承の相場を決める基準
調剤薬局の事業承継が親族間で実施される場合は、金銭的なやり取りが行われないケースが一般的です。しかし、従業員への承継やM&Aによる承継を行う場合は、譲渡価格を決める必要があります。ここでは、調剤薬局の継承の相場を決める基準についてみていきましょう。・時価純資産価額
時価純資産価額は、対象となる調剤薬局の企業価値を時価で測るためのものです。調剤薬局が有する資産には、レセコンなどの専用機器や調剤機器、在庫の医薬品、薬局自体の建物などが含まれます。
また、純資産は、全ての資産から負債を差し引いたものになることも覚えておきましょう。したがって、時価純資産価額は対象となる調剤薬局が事業承継する際に有している資産から負債を差し引いた金額となります。
・営業権
営業権は、継承する調剤薬局の営業利益から算出される価格基準を差します。基本的には、調剤薬局が1年間で得た利益が企業価値として算出されます。しかし、価格相場を決める際は、3年~5年の営業権を踏まえた上で譲渡価格価値を決定されるため、勘違いしないよう注意が必要です。
・月の技術料と処方箋応需枚数
月の技術料と処方箋応需枚数も、相場を決めるためにチェックされます。この2つは、毎月の売上に大きな影響を与えるため、価格相場を決める際の重要な指標になっているのです。
1ヶ月あたりの調剤技術料がわかれば、売上に占める技術料の割合も算出できます。そして、処方箋の枚数がわかれば、売上がどのくらいになるのか把握できるようになります。このことから、月の技術料と処方箋応需枚数は事業承継の相場を決めるためにも重要だと言えるでしょう。
調剤薬局の事業承継では、金銭的なやり取りが行われます。その時の価格を決めるには、この3つを押さえておくことが重要です。これから事業承継を行おうと考えているなら、調剤薬局の事業承継はきちんと把握しておくようにしましょう。
■事業承継を成功させるためのポイント
後継者が見つからずに事業承継をM&Aなどで行う場合、成功させるためのポイントを把握しておく必要があります。では、どのようなポイントを把握しておくべきなのかみていきましょう。・オーナーが全体像を把握しておく
M&Aによる事業承継を行う場合、オーナーが全体像を把握しておくことが重要です。オーナーがしっかりと把握できれば、買い手側が完全に主導権を握らずに済むため、対等な立場でやり取りできます。
この時に気をつけたいのが、主導権を握ろうとして情報を後出しにすることです。少しでも有利に話を進めるためには不利な情報をできるだけ出したくないと考えるのは仕方ありません。M&Aもビジネス上の取引なので、売り手と買い手の間の信頼関係が非常に重要です。
対等な関係で話を進めるためには、オーナーが全体像をしっかりと把握し、条件に合う買い手を妥協せずに探すようにしましょう。
・M&Aのマッチングサイトを利用する
M&Aを行う場合は、マッチングサイトを利用するのも成功への近道になります。売却希望の案件を掲載するだけであれば無料の所もあるので、興味を持ってくれる人がどのくらいいるか知る指標になるでしょう。
マッチングサイトに登録し、声がかかったことで自身が経営する調剤薬局を買収したいというニーズに気が付いたというオーナーも実際にいます。また、大手調剤薬局の目に留まる場合もあり、想定よりも高い金額で売却できたケースもあります。 これまでに構築してきた経営基盤や従業員、顧客を任せられる買い手をゆっくりと探すためにも、マッチングサイトの利用は大切です。
・納得できる買い手を探し続ける
納得できる買い手を探し続けることも、事業承継を成功させるために重要となります。事業承継後、従業員は新しいオーナーのもとで働きます。従業員が安心して働ける環境を構築するには、信頼できる買い手を納得できるまで探さなければいけません。
切羽詰まっていると「何とかして早く売却しなければ」と焦ってしまうかもしれませんが、妥協は注意が必要です。誠実とは言えない買い手の手に渡ってしまった場合、従業員が不幸になりかねません。しっかりと買い手と対話し、現オーナーが納得できる買い手を探し続ける必要があります。
事業承継を成功させるためには、以上のようなポイントを押さえておきましょう。今回紹介したポイントを押さえておけば、後継者問題や薬剤師不足といった問題を解消し、調剤薬局も存続できます。
■調剤薬局の後継者を探すならアテックにお任せ!
調剤や局の後継者探しは、時間がかかってしまうものです。納得できる買い手を見つけようとすると尚更です。後継者探しの効率的な方法がわからない人もいるでしょう。後継者探しに悩んだら、アテックにお任せください。
・アテックとは
アテックは、1991年に創業して以来、調剤薬局のM&Aを数多く手掛けていた会社です。日本で初めての調剤薬局M&A仲介会社として、今まで多くのオーナーや後継者候補をマッチングしてきました。薬局の売却を行いたいオーナーと後継者候補のマッチング数を実現できるように日々取り組んでいます。
薬局オーナーが理想とするM&Aを実現するためのサポートも充実しています。老舗仲介会社ならではの強みとなる実績もあり、後継者候補となる薬剤師が多く登録している点も、アテックならではの魅力です。
・アテックが運営するファーママーケット
ファーママーケットはアテックが運営するサイトで、薬局を譲渡しようとしているオーナー側と、買収を検討している後継者候補を結び付けるマッチングを行っています。これまでの経験から培ってきた知識やノウハウを駆使し、それぞれが理想とするマッチングを実現しています。
調剤薬局のM&Aは、妥協してしまうと思ったような結果を得られなくなってしまいます。オーナーが目指す理想的な結果を手にしたいのであれば、ぜひアテックにご相談ください。アテックが運営するファーママーケットを利用すれば、理想的な買い手に出会える可能性が高まります。