薬局経営から引退する際に、譲り手を探す方法とは?

調剤薬局の市場規模は、高齢化社会の加速と共に医薬分業で拡大が続いています。

そんな中で、調剤報酬や薬価の引き下げなどで利益率が悪化し、個人経営では特に後継者不足で廃業を強いられることも少なくありません。

では、実際に薬局経営から引退しようと考えたときには、どのように譲り手を探せば良いのでしょうか?

今回は、薬局経営引退で譲り手を探す方法についてご紹介します。

1.引退を考えた場合の選択肢

薬局経営と言っても、内部人員移動や管理薬剤師が引退するとなれば、それらに該当する人材の採用がまず考えられます。

しかし、従業員の定着率が良い薬局の場合、他の店舗から移動させるとなっても店舗のバランスを十分に保てなくなってしまう可能性もあるでしょう。

そうなれば、代わりとなる管理薬剤師を採用するしかありませんが、管理薬剤師はなかなか見つからないのが実態です。

では、薬局経営を引退する場合には、どのような選択肢があるのでしょうか?

実は、このような場合は閉局か譲渡しか選択肢がありません。

【閉局】

ただ薬局経営を引退するとなれば、当然ながら閉局を避けることができません。

しかし、長きに渡って地域に親しまれてきた薬局の場合、閉局は苦渋の決断になることが多いでしょう。

【譲渡】

譲渡は、人員異動や採用が困難なときなど、第3者となる譲り手を探す方法です。

薬局経営を引退しようと考えた場合、多くの経営者が譲渡を選択するのではないでしょうか?

譲渡することで、薬局が地域に今後も長く利用され続けます。

処方元や患者さんに必要不可欠な役割を残していくためには、譲渡という選択肢を選ぶ経営者が多いでしょう。

2.薬局譲渡の種類について

薬局の譲渡は、一般的に薬局を引き継いでもらう「事業承継」とも呼ばれます。

事業承継に関しては、以下のようなものがあります。

【親族による引き継ぎ】

薬局業界では、2代目社長として経営を引き継ぐ場合もも少なくありません。

親族に薬局を引き継いでもらえる状態であれば、親族承継をすることもできます。

しかし、薬局経営の競争が今後激化することが予想されるため、これまでの運営のままでは厳しい経営環境になっていく可能性もあります。

【従業員による引き継ぎ】

これまで一緒に携わってきた従業員に引き継いでもらうケースです。

しかし、従業員承継の場合は譲渡対価が期待できないというデメリットもあります。

利益が安定している薬局の譲渡の場合は、従業員が負担できる範囲で安く譲っても良いケースであれば問題ありませんが、引き継ぐ従業員も条件次第でスムーズにいかないことも多いです。

このように、事業継承に関しては、後継者問題は経営者にとって重くのしかかってくる問題でもあり、売り手も譲り手も納得がいく方法を探すことが困難な場合も少なくありません。

3.第3者承継について

では、売り手も譲り手も納得がいく方法としては、どのような方法が適しているのでしょうか?

薬局のM&A(第3者承継)は、売り手の後継者問題を解決し、売り手も納得して引き渡すことができる方法です。

立地・処方箋応需枚数・損益状況によって黒字の場合は営業権がついて売買されます。

M&Aは、創業者が築いてきた薬局を満足のいく条件で譲渡することができるため、様々な理由で経営の引退を考えている売り手が多く選択しているという特徴もあります。

【M&Aのメリット】

現在、薬局の譲り手となる買い手側は、業容拡大の出店戦略や新規出店のリスク軽減などで多くがM&Aを活用しています。

既存の薬局であれば、すでに業績がわかっているため、安心して引き継ぐことができるとされており、スムーズに譲渡できるというメリットがあるのです。

4.M&Aの流れについて

M&Aの流れとしては、まずは売り手側の考えや悩みを仲介会社に相談し、事業内容や業績、財務状況などを踏まえて譲渡可能性を見極めることから始まります。

・秘密保持契約の締結・資料の開示など

個別相談を行った後は、企業価値に算定や打診候補企業を選定するために仲介会社の資料開示と秘密保持契約の締結を進めていきます。

・候補企業の算定・検討

譲渡価格、支払い方法、税務対策、従業員の雇用など、様々なポイントを踏まえ、媒介委任契約を行います。

・譲渡先選定・顔合わせ

売り手側の希望に沿った譲渡先を選定し、より最適な1社をマッチングしてもらうほか、譲渡先の代表者との交渉機会などを設けている会社もあります。

・条件交渉と調整

当事者同士の交渉によるトラブルを避け、仲介会社を通じて条件の交渉や調整を行います。

・基本合意契約の締結

譲渡価格や譲渡財産の範囲や内容、譲渡日など、合意がまとまれば基本合意書作成となります。

・店舗監査

基本合意後には、会計士や弁護士などによる財務調査や法務調査を受け、業務運営状況や設備、備品などの確認を行います。

・最終契約の締結

売り手の店舗監査を終えると、基本合意書の内容や条件の変更、追加事項などに同意して最終調整します。

契約決定後、医療機関や従業員通達が行われるのが一般的です。

・引き渡し

契約締結で譲渡日までの引き継ぎや当日行うことなどを確認し、譲渡翌日からスムーズな業務運営ができるよう移行を行っていきます。

薬局のM&Aとしては、基本的にこのような流れとなっています。

M&Aの仲介会社によって細かな違いがあるため、事前に確認することが重要です。

5.譲り手を探す際に活用できるサービス

M&Aでより納得のいく譲り手を探す方法として活用できるサービスを提供している会社があります。

以下のサイトは、薬局のM&Aをサポートしてくれる仲介会社で、売り手側の希望に沿って最適な譲り手を探してくれます。

逆に、買い手側の希望に沿う売り手も見つけてくれるため、両者が満足のいくM&Aを行いやすいという特徴があるのです。

【アテック】

アテックは、創業以来薬局の数多くのM&Aをサポートしています。

薬局を売却したい経営者と、譲り受けを希望する経営者や経営者候補をマッチングしているのです。

売り手側の仲介手数料も無料なので、気軽に相談することができるのも魅力です。

アテックでは、長年薬局の経営者として携わってきた売り手が、安心してリタイアできるよう、ハッピーリタイアを実現するためのサポートを行うよう進めています。

M&Aを進める上で、譲渡額をはじめ、経営者の人柄や考え方もしっかりと受け止め、対応してくれるのです。

【ファーママーケット】

ファーママーケットは、薬局のM&Aのサポートとして、薬局譲渡希望の経営者と独立や薬局買収を希望している経営者とのマッチングを行うサイトです。

譲渡希望の場合は、売却希望としてファーママーケットに掲載することができます。

売り手側と買い手側の条件が合うかどうか見極めることができるのが特徴です。

前述したサイトは、譲り手を探す方法を模索している薬局経営者にとって、満足にいく譲渡を行うために心強いパートナーであると言えるでしょう。

医薬分業で調剤薬局という業態が開始されて以降、世代交代期を迎えているのも事実です。

しかし、薬局経営から引退するにあたり、譲り手を探す方法に悩んでいる経営者は少なくありません。

その一方で分料率を懸念してM&Aを活用しようとするチェーン薬局や新規出店のリスクを抑えるために既存の薬局を譲り受けたいと考えている経営者も多くいます。

M&Aは、そのような売り手・買い手を最適に導くことができるのです。

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