調剤薬局業界では後継者不足が深刻化しています。
オーナーの年齢が高いことで世代交代を考えることも多く、事業継承を頭に入れながら経営を行っているオーナーも多いでしょう。
ですが、事業継承やM&Aに興味があっても種類やその手法についての詳細がわからなく、一歩を踏み出せない人もいます。
そこで、今回は薬局M&Aや事業継承の種類、手法について解説していくので、オーナーの方々はぜひ参考にしてみてください。
薬局M&Aの種類について
薬局M&Aでは「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つの手法によって利用されることが一般的となっていますが、その他の種類もあるので解説していきましょう。
【会社の全てを譲渡する場合の手法】
・株式譲渡
第三者に株式を譲渡して経営権を移動させる方法です。
・株式交換
第三者とオーナーの株式を交換する方法です。
買収資金が少なく済むことがメリットでしょう。
・合併
複数の企業を一体化させることです。
結合関係を形成することが可能となっています。
【会社の一部を譲渡する場合の手法】
・事業譲渡
事業の一部、全てをほかの企業に移動させる方法で、従業員や債権債務、企業で培ってきたノウハウなども部分的に継承することが可能となっています。
・会社分割
事業の一部を切り離すことで子会社化する方法です。
株式は他の企業に譲渡され、資産や負債の移動は選択することが可能です。
事業譲渡・株式譲渡の特徴を解説
事業譲渡と株式譲渡、それぞれの特徴について解説していきましょう。
【事業譲渡について】
・対価の受け取り:法人
・各種移転、継承:資産については事業に関連した資産は個別に移転することとなり、債務については債権者への承諾が必要になる可能性があります。
許認可に関しては、継続できないために新規で申請手続きを行う必要があります。
従業員は、一度退職する形となり再雇用の手続きが必要です。
・営業権:税務上焼却を行うことが可能で、節税効果を期待できます。
営業権を含む課税審査に消費税が課税されます。
・資産移転に掛かるコスト:登録免許税、不動産取得税が必要です。
・偶発債務:偶発債務を負う可能性は低いので安心です。
・課税対象:譲渡益課税に関しては法人税などで40%強となります。
【株式譲渡について】
・対価の受け取り:個人
・各種移転、継承:株主変更に伴う代表者と開設者変更で移転と継承が可能です。
事業譲渡のような面倒な手続きはありません。
・営業権:税務上の償却はできません。
消費税に関しては非課税です。
・資産移転に掛かるコスト:不要です。
・偶発債務:偶発債務は発生する可能性があります。
・課税対象:株式譲渡益課税は株主に対して20%のみとなっており、退職金を活用することでさらなる負担軽減が可能です。
事業譲渡と株式譲渡のメリット・デメリット
次に事業譲渡と株式譲渡それぞれのメリット・デメリットを解説していきましょう。
【事業譲渡のメリット】
現実にはまだ発生していない債務で将来負担する可能性のある債務のことを偶発債務と言いますが、事業譲渡においては発生リスクが少ないので安心でしょう。
買い手側の税務メリットも高く、無形資産についても譲渡の対象となる点が魅力となっています。
【事業譲渡のデメリット】
最大のデメリットとしては手続きが多いので面倒に感じる点でしょう。
手続きが多い分、時間も掛かってしまうのであらかじめ多くの手間や時間が必要になることを把握しておくことが重要です。
また、契約を継承できないリスクや売り手企業側の税負担が多くなるなどのデメリットもあります。
譲渡を行う前には従業員は一度退職することとなるため、従業員に告知する必要性もあるでしょう。
【株式譲渡のメリット】
事業譲渡のように許認可や従業員などの移転に必要となる手続きがないため様々な手続きが簡単に行えます。
そのほかにも、繰越欠損金の利用が可能な点や売り手側の税務メリットが高いこと、一部出資が可能な点がメリットとなっています。
【株式譲渡のデメリット】
事業譲渡とは反対に偶発債務が発生する可能性があります。
買い手側に節税のメリットがなく、不要資産負債の引き継ぎを行う必要があります。
vまた、経営権を失う点もデメリットとなるでしょう。事業継承の種類について
調剤薬局においては、事業継承を行う際に薬局M&Aだけではなく、親族への継承や親族以外への継承によって事業継承を行うこともあります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説していきましょう。
【親族への事業継承の特徴】
オーナーの子どもや妻、親族に継承してもらうことを言います。
事業継承の中でも最も多いケースとなります。
親族内継承のポイントとしては、無理に継承を進めないことが大切です。
息子や娘に後継ぎになってもらうことが当たり前だと思っているオーナーも中にはいるでしょうが、本人の意思を確認しないで行ってしまうとトラブルに発展する可能性もあります。
また、継承者としてやる気があったとしても経営に関する教育を受けることが大切です。
短期間で身に付くことではないため、早い時期から知識を付けていくことが大切となるでしょう。
そして、後継者以外の相続人への配慮も重要となります。
・メリットやデメリット
メリットとしては、親族となるので従業員などの関係者の理解を得やすいことが挙げられます。
早い段階で後継者を決めておくことで十分な教育を行えるでしょう。
ただし、相続人が複数いる場合には後継者を決めることが難しくなる可能性もあり、相続紛争などのトラブルに発展しないよう気を配る必要があります。
【親族以外への事業継承の特徴】
働いている従業員や取引先、または募集などによって選ばれた人物に継承することを言います。
親族外継承のポイントとしては、本人の意思確認が重要となります。
従業員においては、経営者として働く意識がない場合が多いです。
早い段階で意思確認を行い、後継者として働く意欲があるのか話し合いを行いましょう。
・メリットやデメリット
メリットとしては、優秀な従業員であれば面倒な教育を抑えられる点となります。
元々、薬剤師や販売士として働いていた人物なので経営以外のことについては知識を持っています。
経営の一体性も保ちやすいのでほかの従業員に与える不安も少ないでしょう。
ただし、関係者の理解を得るまでに時間を有する場合もあります。
個人債務保証の引き継ぎや株式取得の資金力についても不安が残るので、しっかりと考えておく必要があるでしょう。
薬局M&Aの手法について相談はアテックがおすすめ
事業継承には様々な種類がありますが、薬局M&Aを利用することになった場合、様々な手続きもあるので難しいと考えるオーナーも多いのではないでしょうか?
ですが、M&Aをスムーズに行うための仲介会社は多く存在しています。
中でも日本で初めて薬局M&Aの仲介会社として創業した「アッテク」は、多くの実績を持つ企業なので安心して利用できることが考えられます。
また、アテックでは薬局を譲渡したいと考えるオーナーと買収したいと考えるオーナーを結びつけるマッチングサイト「ファーママーケット」の運営も行っています。
M&Aの専門家に全て任せたいと考えているのであればアテックを利用し、自分で事業継承を行う相手を探したり反応を確かめたいと思っているのであれば、ファーママーケットを利用するなど自分に合ったM&Aを進めていくことができます。
事業継承で悩んでいる薬局オーナーは一度活用してみてはいかがでしょうか?