1990年代から急速に拡大を見せてきた医療分野。しかし、ここへきて調剤薬局のM&Aの動きが増えているのです。その理由はいったい何なのでしょうか? この記事では調剤薬局のオーナー向けに、リタイアを考える際に覚えてきたい知識をご紹介していきます。事業承継に悩んでいる方は、ぜひともご覧ください。目次■リタイアを考える理由とは?■リタイアを考えたら準備を始めよう!そのタイミングとは?■後継者探し…それぞれのメリット・デメリットとは?■後継者を選んだら事業承継!その流れとは?■M&Aという選択肢も存在する!■M&Aならアテックに相談しよう!■リタイアを考える理由とは? この記事を見ている大半の方が調剤薬局のオーナーか薬局に勤務している人でしょう。 絶対に安定していると呼ばれる医療分野の調剤薬局で、なぜリタイアを考えるべきなのか?と疑問に思う方も多いはずです。 そこでまずは、そもそも調剤薬局のオーナーがリタイアを考える理由について触れていきます。 ・オーナーが高齢になった この理由は調剤薬局でなくても、どの分野の経営者でも言えることではあります。 しかし、調剤薬局というのは毎日薬局に顔を出す仕事です。自身が風邪を引いたとしても、辛い症状を抱えて薬を求めに来る患者はたくさんいるため、ついつい頑張って働いてしまう人は多いです。 患者のためになっているからこそ、非常にやりがいのある仕事ではありますが、年齢を重ねてくると気持ちが体についてこないことがしばしばです。そうなった時に多くの経営者はリタイアを考えるのです。 経営者がリタイアするべきだと思う年齢については、多くの方が60歳〜65歳だと答えています。どの調剤薬局のオーナーも一般的なサラリーマンの定年と同じくらいまで働きたいと思っているようです。 60代になっても元気に働けるのであれば問題はありませんが、60代手前の50代後半にもなれば、体の不調は見られるようにもなるため、リタイアすることを考えざるを得ないのです。 ・法律や規制による報酬の改訂で 調剤薬局というのは、法律や規則によって報酬の改訂がある仕事です。 報酬の改訂は国の決まりから6年に1回はあるようになっています。調剤報酬と介護報酬が改訂されるため、近年では国が医療費の高騰を抑制するために調剤基本料を引き下げようと試みています。そのため調剤報酬は下がり気味になっています。 最近では2018年4月の改訂が良い例でしょう。多くの調剤薬局の点数が減算された事実があり、この当時はたくさんの薬剤師の頭を悩ませたのです。 2020年現在、次の改定時期となるのは2025年です。2025年の改訂ではさらに点数が減算されると噂されており、調剤薬局のオーナーもリタイアを考えるはめになってしまう恐れがあります。 高齢化が進むことによって医療のニーズが増えてはいきますが、一方で無資格でも医療の業務ができるようになってきたり、技術料を減らしたりする動きも見られる世の中になってきています。こうなってくると調剤薬局の経営を危うく感じてしまうのは仕方がないと言えます。 これまで通りの経営では先行き不安と感じることから、ここ数年は2025年をめどにリタイアを考える人が増えています。■リタイアを考えたら準備を始めよう!そのタイミングとは? 先ほどご紹介してきた理由2つが、リタイアを考えさせるものとなっていますが、どちらも限界を感じた際にリタイアを考え、事業承継をすべきだと思うようになることでしょう。 しかし、リタイアというのは簡単にできるものではありません。続いては、リタイアするまでに時間がかかってしまうという理由から、いつどのタイミングで事業承継をすべきなのかご紹介していきます。 ・リタイアは50代半で考えよう 高齢によるリタイアでも挙げたように、多くの方は60〜65歳で調剤薬局の仕事から離れたいと思っています。しかし、60歳に入っていきなりリタイアするというのはできないのが仕事の大変なところです。もし、60歳丁度でリタイアを考えるのであれば、5年間の余裕を持った50代半ばにリタイアの準備を行っていくことが理想だとされています。 特に事業承継となると、後継者探しに後継者の育成、さらには全社員への引継ぎ業務など、数多くのことをしなければならないのです。これらのことをやるだけならまだしも、調剤薬局としての経営の仕事を同時にやらなければいけないので、その大変さはやってみなくてもきついことが分かるかと思います。 事業承継は、「まだ続けられる」と思える段階で考えておくことが良いタイミングとなります。承継の準備と薬局の経営、どちらも大変だからこそ、元気がある時から手を付けておくべきなのです。 ・経営状態が悪化する前に検討 もし、経営状態が傾いていることでリタイアを検討しているのであれば、利益がギリギリの状態になる前にリタイアの準備を始めていきましょう。 経営状態が悪いというのは、後継者が見つかりにくいという問題に直面します。負債があるということは、どの企業でもあることなので大した問題点にはなっていませんが、利益がカツカツなのは負債を返済できない危険性もあるため、担い手は見つかりにくいです。 ギリギリの経営状態となっている調剤薬局をわざわざ引き継ぎたいという方は極めて稀です。親族や従業員、知人でなければまずそんな人は見つからないことでしょう。そして、経営がギリギリの状態であると、自分の親族や従業員に継がせるのは申し訳ないと思う方もいると思います。 こうなる前に事業承継を行っておくことがおすすめでしょう。■後継者探し…それぞれのメリット・デメリットとは? ここからは、継承者探しで挙げられる親族と親族以外のメリット・デメリットについてご紹介していきます。果たしてどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか? ・親族 まず親族についてですが、親族というのは事業承継を考えるうえで最初に候補として出やすい人物です。 家族で経営している調剤薬局であれば特に当てはまると思いますが、息子や娘に事業を引き継いでもらいたいと思う経営者は多いはずです。実際に自身も親から調剤薬局を引き継いできたという方もいることでしょう。 親族というのは親しい分、アドバイスや指摘を言いやすいというメリットがあります。そして調剤薬局の仕事のことを家庭でも話していれば、家族がよく理解しているということも挙げられます。任せる人物が身内であるという安心感も得られるようになっています。 しかし、一方でデメリットもあります。「後継者はすでに親族で決まっている」と自分の中だけで決めてしまっては大変なことになるのです。 事業承継というのは一方的な想いでできるものではありません。承継希望の親族にやりたい仕事があれば、調剤薬局の仕事を優先的に選んでくれないという可能性も出てきます。いきなり継いでほしいと言えば断られる可能性が高く、また強引に説得したとなれば承継中に「やっぱり辞退したい」と言われる可能性も高いです。 こうなれば大切なお店を存続できない可能性もあるので、親族間でもしっかりと話し合いを行いましょう。 ・親族以外 次に親族以外の人への事業承継のメリット・デメリットを挙げていきます。 親族以外では従業員や知人が挙げられます。特に共に働いて仕事の内容もよく知っている従業員は、親族以外の後継者として挙げられる人物です。 仕事内容だけではなく社風も知っているが故に、事業承継にかける時間を短縮できるというメリットがあります。経営者としてのリーダーシップを教育することが必要にはなりますが、それでも普段の仕事を行ってもらいながら教育ができるので、教えやすいということも挙げられるのです。 ただ、調剤薬局の従業員から選ぶ際は、慎重に選ばなくてはいけないことを覚えておきましょう。仕事ができるからといって、周りから信頼されていない人を選んでしまうと経営がうまくいかなくなる恐れがあります。 経営者というのは仕事ができることだけではなく、周りを支えられるような人物でなくてはならないのです。選択に失敗してしまうと従業員が調剤薬局から離れてしまい、経営悪化につながりかねないので十分注意した上で選んでいきましょう。■後継者を選んだら事業承継!その流れとは? 後継者が決まったら早速事業承継の準備へと取り掛かりましょう。流れについては以下のようになっています。 ㈰本人への意思確認 親族であっても本人の意識はしっかりと確認しておきましょう。必ずやってくれると思い込みで進めていくのはよくありません。 従業員の場合は、もともと経営者になるつもりで入社してきたわけではないことがほとんどなので、早めの意思確認と報告が必要です。今後の会社の方向性や経営方針の確認をしながら、後で方向性が違ったとならないようにしましょう。 ㈪教育 経営についての教育は短期間で身に付くものではありません。特に医療分野に触れていなった人になればなおさらです。できるかぎり早い時期から教育を行っていき経験を多く積めるようにしておくべきです。 ㈫自社株式と事業用資産の承継 後継者が担い手になった後安定して経営を行ってもらうためには持っている2/3以上の自社株式や事業用資産の承継が望ましいとされています。 業用資産の買い取りをあらかじめ行って起き、さらには相続税や贈与税などの資金を準備しておきましょう。 親族外承継の場合は後継者に株式を買い取るレベルの資金を保有していない場合が多いです。そうなると、会社の将来性を担保に金融機関からの融資を利用できるMBOの検討や、株式を受け取るための受け皿になる特別目的会社を設立して取得することも考えておきましょう。 これらは専門家のアドバイスを利用すると計画的に進められます。 ㈬個人補償と担保の処理 後継前のオーナーの個人補償には、後継者の連帯保証人に加わることを求められる場合もあります。事業承継を行うにあたって債務の圧縮を図るとともに金融機関との交渉、後継者の仕事に見合った報酬の設定を行ってあげましょう。 このような流れで事業承継が完了します。■M&Aという選択肢も存在する! ここまで事業承継に携わる人物の選定や継承の流れについて説明してきましたが、万一継承者が見つからなければ、オーナーの座を譲ることができません。そのような場合にはM&Aという選択を選んでいきましょう。 M&Aは他社に調剤薬局を売却したり、業務提携を図ることを指します。このM&Aは近年調剤薬局で行われていることが多くなっています。その理由には譲渡側、譲受側双方にメリットがあるからです。 ・譲渡側(オーナー)のメリット M&Aを行うとなれば事業承継問題となる担い手不足を解決できるメリットが得られます。買い取りによって従業員を増加できることもでき、既に働いている従業員にもメリットを多く感じられるものになっています。 ・譲受側のメリット 譲受側では新規に調剤薬局を設立するよりも時間とコストを抑えられるというメリットが挙げられます。開業予定地の選定や近隣施設への親和性、従業員の確保のための採用などやるべきことは多いです。そんな手間を大幅に短縮しながらも設立にかかる資金をかけなくてもよいため、譲受側にもありがたいメリットがたくさんあります。 このようにどちらにもメリットがあるのがM&Aの特徴です。 在宅医療やかかりつけといった取り組みへの強化が求められている今、調剤薬局のニーズは高くあり続けます。リタイアを考えるのであればM&Aにて双方がメリットを得られる形で承継していけば、非常にスムーズかつ経費をかけることなく事業承継ができるようになっています。■M&Aならアテックに相談しよう! M&Aを検討しているのであればアテックがおすすめです。 アテックとは調剤薬局を限定とした経営総合支援企業です。薬に関する知識や経営知識を持ち、オーナーとしての仕事を任せられる人材が多く在籍しているため、素早い事業承継を実現しています。 老舗であるが故に承継候補者は多く登録しており、リタイア寸前まで頑張ってきた方でも利用できるのが特徴です。調剤薬局を熟知した人材に経営を任せるのは非常に安心できるはずです。 ぜひ、利用を考えてみてはいかがでしょうか? 調剤薬局は運営が困難になっている分、リタイアを考えている多くなっています。しかしニーズが高くなり続けているため、諦めるのは勿体ないです。 事業承継を行うには継承者の選定や引継ぎ作業が必要ですが、どうしても見つからない場合はM&Aができるアテックに相談してみましょう。必ず自社に合った承継候補者を見つけてくれるため、スムーズかつ成功する承継ができて満足いくはずです。