近年、調剤薬局のM&Aをするケースが増えているのです。調剤薬局を売りたいと考えている人だけではなく、調剤薬局を買ってオーナーになりたいと考える人も多く見られます。調剤薬局を買収して成功するためには、具体的にどのような流れで行われるのか、薬局選びのポイント、M&Aを行う場合のメリットとデメリットなどについてご紹介します。 調剤薬局を買収してオーナーになりたいと考えている人は、ぜひ目を通してみてください。
目次
■調剤薬局M&Aの流れについて
まずは、調剤薬局M&Aの流れから見ていきましょう。ここで紹介する流れは、買い手目線の流れになります。①事前相談をする 事前相談では、調剤薬局の譲渡や承継、M&Aなどに関する説明や必要な書類の受け渡しなどが行われます。売買に関する基本的な情報はこの段階で教えてもらえるので、分からないことや不安なことは質問するようにしましょう。
②秘密保持契約を結ぶ 事前相談を済ませて買収することを決めたら、コンサルタントと秘密保持契約を結びます。秘密保持契約を結ぶ段階で、事業契約書や詳細情報が開示されます。
③価値を評価する M&Aのコンサルタントが、譲渡先にどのくらいの価値があるのか評価します。
④条件などを交渉する 価値の算出をしたら、譲渡先に情報開示を行います。譲渡先と交渉をしなければいけませんが、M&Aコンサルタントが交渉をしてくれるケースが多いので、任せておくと確実に話を進めやすくなります。また、譲渡先のリストアップもしてくれるので、参考資料としてチェックしておくと良いでしょう。
⑤当事者同士で面談をする 価格や条件の交渉が済んだら、当事者同士で面談を行います。面談の際に、条件などに間違いがないか話し合いをします。
⑥合意書の締結する 当事者同士で面談を行ったら、合意書の締結をします。このタイミングで、買収の手順や必要な書類、契約事項に関する説明などもされるので、細かい部分まできちんと確認しておきましょう。
⑦契約成立 合意書の締結を行い、必要な書類が揃ったら本契約が成立します。本契約の成立によって調剤薬局の譲渡や承継、M&Aを行うためのスタートラインに立てるのです。
本契約が成立したら、M&AコンサルタントやM&Aを斡旋してくれた会社からアフターサポートを受けられます。アフターサポートには、薬剤師や医療スタッフの派遣、調剤薬局の環境整備、システム構築といったものがあります。買収後に軌道に乗せるためにも、このようなサポートは積極的に活用していきましょう。
■調剤薬局を買収する際に知っておきたいポイント
調剤薬局を買収しようと考えているのであれば、いくつか知っておいた方が良いポイントがあります。続いては、どのようなポイントを知っておくべきなのか見ていきましょう。・応需枚数がどのくらいか 薬剤師1人体制で経営をしようと考えているのであれば、1人での応需枚数がどのくらいになるのか理解しておく必要があります。例えば、一包化するための作業や在宅作業が多くなってしまうと、応需枚数は少なくなってしまうでしょう。1日でどのくらいの処方箋数が予想されるのか、前もって確認しておくのがおすすめです。
・薬剤師の人数をどうするか 近年、慢性的な薬剤師不足に陥っていて、採用をするのはとても難しい状況になっています。調剤薬局を買収して採用活動で悩まされないように、在籍している薬剤師がどのくらいいるのか確認しておかなければいけません。
・買収金額がどのくらいか 薬価や調剤報酬の改定によって、調剤薬局のM&Aの相場は下がりつつあります。しかし、応需枚数が50枚~60枚くらいだと高い金額が提示されるケースも多く見られます。
基本的に買収金額は、営業権や商品在庫、固定資産、店舗保証金などを含めると1,500万円~2,500万円が相場です。しかし、これはあくまでも相場なので、この金額を基準に提示金額と予算が見合っているか確認してみましょう。
個人薬剤師が独立しようと考えている場合は、どのくらいの資金を用意しておくべきか悩んでしまうことも少なくありません。買収してから何年間経営すれば資金の回収ができるのか、経営が軌道に乗るのはどのくらいかかるのかといった部分を考えた上で、買収金額を確認することポイントです。
・固定資産は適切な価格かどうか 調剤薬局を買収する際の固定資産(土地や什器、建物など)は、時価で計算されます。減価償却が正常なのかを確認するためにも、固定資産が適切な金額になっているか確認するようにしましょう。
・その他にも確認すべきポイントがある 上記以外にも、店舗を内覧し、店舗の雰囲気なども確認しておきましょう。薬歴記載状態や旧式の機器を買い換えなければいけない可能性、近隣薬局との連携などは確認すべきポイントです。書面だけのやり取りだけではなく、きちんと自分の目で確認することで、細かい部分まで見えるようになります。
さらに、医師と円滑なコミュニケーションができるか、従業員の承継はどうなるかといった点についても確認しておく必要があります。譲渡をする経営者と事業譲渡契約を結ぶ前に、きちんと確認ができれば後々後悔せずに済みます。トラブルを未然に回避するためにも条件などは細かい部分まで確認し、理解しておきましょう。
■買い手側のメリットとデメリットについても知っておこう
調剤薬局のM&Aを行い、納得できる結果を手に入れるためには、買い手側にどのようなメリットとデメリットがあるのか把握しておかなければいけません。続いては、どのようなメリットとデメリットがあるのか見ていきましょう。【メリット】
・人材を確保できる 調剤薬局では薬剤師の人手不足に悩まされています。新規で開業することももちろん可能ですが、薬剤師の雇用が難しければ開業が難しくなってしまいます。しかし、M&Aを行えば薬剤師も承継できる可能性があるため、人手不足を解消につながるでしょう。
そのメリットの恩恵を受けるために、調剤薬局の買収を積極的に行っている企業もあります。薬剤師を確保できれば、その分収益が上がっていくからです。
・規模拡大のコストを抑えられる 規模を拡大するためのコストを抑えられるというメリットもあります。事業を拡大できれば、取り扱う医薬品の数も増えていき、大量に仕入れられるようになります。大量仕入れができれば、仕入れのコストも削減できるでしょう。
それだけではなく、店舗数が増えることでノウハウを共有できるようになります。効率的に業務を行えるようになっていくため、業務コストも削減にもつながります。
・事業拡大が加速化する 調剤薬局M&Aによって、事業拡大を加速化することもできます。売り手側の調剤薬局が持っている業務や経営に関するノウハウを得られるため、売上を効率よく高められるようにもなるでしょう。0から事業をスタートするのは大きな労力と莫大な時間がかかってしまいますが、必要なノウハウを持つ調剤薬局を買収できれば、より地域に貢献できる調剤薬局へと成長していくと考えられます。
それによって地域での知名度が高まっていけば、薬剤師などの人材確保も容易になるでしょう。
【デメリット】
・薬剤師やスタッフが離職してしまう可能性がある 薬剤師やスタッフが離職してしまう可能性があるというのは、デメリットに含まれます。このリスクを回避することは難しいですが、薬剤師やスタッフから聞き込みを行うことで、離職する可能性が低くなるでしょう。
・簿外債務などを引き継がなければいけない M&Aを行う場合、売り手側はどのような負債を抱えているか申告する必要があります。しかし、簿外債務などマイナスな要素が大きすぎると売却価格が大幅に下がってしまう可能性もあるため、申告しないケースもあります。それでは、隠された簿外債務も引き継ぐことになってしまうので、細かい部分まできちんと確認するようにしましょう。
■調剤薬局M&Aを成功させるには
調剤薬局M&Aを行うのであれば、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。最後にそのポイントについてみていきましょう。・M&Aのマッチングサイトや仲介会社を利用する M&Aで買収しようと考えた時に、マッチングサイトの利用を検討してみるのがおすすめです。マッチングサイトでは、売却希望が掲載されているだけではなく、買収希望を掲載することもできます。そのため、自分が希望する条件を掲載しておくと、好条件の売り手に出会える可能性も高いです。
マッチングサイトに登録したことによって、売り手から声がかかるケースもあります。条件のいい調剤薬局を買収できる可能性も高まるので、マッチングサイトに登録してみる価値はあるでしょう。
また、M&Aの仲介を行っている会社の利用を検討してみるのもおすすめです。M&Aには専門的な知識が必要になるため、専門家のサポートはなくてはなりません。特に、調剤薬局の場合は他の業種と比較してみると時間がかかる傾向があるので、効率的に進めるためにもM&Aの仲介を行っている会社に相談すると良いでしょう。
M&Aの仲介を行っている会社が持っているノウハウやネットワークなどを駆使することができれば、成功する可能性も大幅に高まります。
・M&A先がどのような状況になっているのか把握しておく M&Aを成功させるためには、買収する調剤薬局の状況を全体的に把握しておくことも重要なポイントになります。買い手側と売り手側のどちらかが主導権を握ることになると後々トラブルにつながる可能性が高くなってしまうので、お互いに状況をきちんと把握しておくようにしましょう。
売却先の中には、情報を後出ししてくる企業や薬局もあります。それでは状況を正しく把握できないまま話が進んでしまいますし、信頼することができなくなってしまいます。そのため、取引の全体像を正しく把握しておくことがM&Aを成功させるためにも重要になるのです。
・情報漏洩に注意する 情報漏洩に注意しることも大切な要素の1つです。情報が漏洩してしまうと、株価が大きく変動してしまったり、従業員が離職したりするリスクが高くなってしまいます。利害関係にネガティブな影響を与えることは避けたいので、情報漏洩には細心の注意を払いましょう。
機密保持の締結は必ず行うようにしてください。
・計画的に進める M&Aは簡単に契約を結べるわけではなく、戦略を考えたり、交渉したりといった段階を踏んで行われます。そのため、計画性はとても重要なポイントになるのです。
また、調剤薬局のM&Aは対象となる企業がかなり限られてしまいます。そのため、一般企業のM&Aと比べてみると時間がかかるケースが多いです。状況にあったM&Aを行うためにも、できるだけ早めに計画を立てて、実行に移すようにしましょう。
・目的を明確にする 目的によって適した手法が異なります。漠然と調剤薬局の買収をしたいと考えるのではなく、事業譲渡や合併などの中から適した手法はどれなのかを選択しなければいけません。どの手法が適しているか悩んでいるのであれば、M&Aの仲介を行っている会社に相談しながら決めていくと良いでしょう。
■調剤薬局の買収を検討しているならアテックに相談を
調剤薬局の買収を検討していて、計画を立てようと考えているのであれば、アテックへの相談がおすすめです。最後に、アテックやアテックが提供しているサービスについてご紹介します。アテックは、1991年に操業して以来、調剤薬局のM&Aを行っています。日本初の調剤薬局のM&A仲介会社として誕生しました。調剤薬局の承継を検討しているオーナーと経営者になりたいと考えている人のマッチングサービスを提供しています。
アテックは調剤薬局を譲渡したいと考えている人と買収したいと考えている人を結び付けるマッチングサイト・ファーママーケットを運営しています。調剤薬局M&Aのサポートをしてきたアテックだからこそ持っているノウハウを活かすことによって、多くの希望を叶えてきました。後継者問題を解消することが重要な課題になっているこの業界だからこそ、このようなサービスのニーズが高まっていると考えられます。
ファーママーケットでは、売却希望や購入希望の条件を確認できるようになっています。条件が合いそうな案件があれば連絡を取り合うこともできますし、アテックに仲介してもらいながら安心感のある話し合いができるでしょう。個人M&Aを成功させるのはハードルが高すぎるため、買収を検討しているのであればぜひアテックに相談してみてください。