近年は中規模や小規模の調剤薬局の売却が目立つ世の中となっています。その理由は売り上げが見込める業界であったとしても自ら経営を継続していくことが困難であることが言えるからです。
今や調剤薬局の多くは資金力のある企業へ譲渡する形で存命し、担い手がいなくなったからといって単に第三者に事業を継続するだけではなく、グループとして事業を大きくする形で経営していくことが可能です。こうした事業継続の図り方はM&Aと呼ばれており、ここ数年M&Aによって救われた調剤薬局は多くなっています。
ただこの記事を見る人の多くは自身の調剤薬局の売却価格が気になることでしょう。相場がいくらなのか、そしてどのように価格が決定されていくのかなど知りたいはずです。ここでは、調剤薬局の売却・買収、そしてM&Aを望んでいる方に有益な情報をまとめてご紹介していきます。
■調剤薬局の売却相場とは
調剤薬局の売却相場を最初にご紹介すると、業界の相場では300万円~1500万円ほどとなっています。300万円~1500万円となるかなり金額に大きな差があると感じることでしょう。それもそのはず調剤薬局は様々な条件によって売却値が決まっていくので、相場の差異は大きいのです。
それではその金額を決めるとなる条件にはいったいどういったものがあるのでしょうか
■売却相場の決まり方について
先ほど挙げた薬局売却時の価格は薬局の企業価値でもあります。将来性やリスクなどを加味して価格を決定するのですが、その中でベースとなってくるのが時価純資産価額です。
・時価純資産価額とは? 時価純資産価額というのは、将来の価値的な価値ではなく現段階の企業価値を表すものです。調剤薬局には薬局の建物自体だけではなく様々なものが資産として売却値の向上につながっていきます。売掛金や薬局で使用するレセコン(調剤報酬証明書を作成する機器)、調剤機器、在庫の医薬品、ソフトウェア資産など、薬局に残る多くのものが価値となります。
時価純資産価額の詳しい金額の出し方は企業が所有する全ての資産から負債を額引いた金額の純資産に、現在の価値に換算した企業価値、つまり時価として現在の市場価格に置き換えることで求められます。
譲渡価格が300万円~1500万円といった相場よりも高くなった場合は調剤薬局が保持する資産の価値が大きかったのかもしれません。他にはない資産が多くなることに比例して時価純資産価額は高くなります。
・営業権 時価純資産価額の他にも売却価格や相場の基準を作る要因があります。それが営業権です。営業権とは営業利益から将来のリスクを引き、買収による付加価値を加えて、企業の価値を算出して出た企業価値です。これは直近1年分だけではなく、3年~5年先の利益も含めて計算しなければいけず、「1年の営業権×3年~5年」の計算で算出できるようになっています。
時価純資産価額とは違い将来の価値が含まれ、売却価格が相場とは大きく異なり低い場合には、営業権が反映されているかの同化を確認するべきでしょう。場合によっては反映されずに譲渡されてしまうこともあるので注意してください。
・調剤技術料、処方箋応需枚数 調剤薬局はさらに調剤技術料と処方箋応需枚数によっても価値が決められていきます。これは先ほどの営業権とは違い、ひと月の調剤技術料と処方箋応需枚数によって確かめていきます。
調剤技術料が分かれば売上に占める調剤技術料が把握でき、処方箋応需枚数で顧客の数をつかめれば従業員の数すらも想定できてしまうのです。この計算も加えることで企業価値となる店舗がの売上に、黒字か赤字であるかどうかも分かってしまいます。
■赤字経営でも買取はしてもらえる?
調剤薬局の企業価値が判断できたことで結果として赤字で運営していることが公になることを懸念している人が多いことでしょう。おそらくこの記事を見ている多くの人が赤字であると売却すらも厳しいと感じているかもしれませんが実際調剤薬局は年々売却件数は多くなっていて、たとえ店舗が赤字経営であっても、売却はできるようになっています。
赤字で業績が悪化している店舗であっても、買取手から見て今後が期待できる技術や魅力的なビジネスをモデルを形成しているのであれば、マルチプル法、DCF法といった方法で会社の将来や事業の価値を図ることで、現在は赤字状態でもそれ以上の価値のある店舗として見てもらうことが可能なのです。さらにはブランドのネームバリューがあるところや、財務諸表に記載されない資産を多く有している会社は高額売却できる可能性が高くなります。
そして調剤薬局はなにも売る側の企業価値だけに左右されるものではありません。買い手側の目的にも影響を受けるやり取りであり、M&A市場となると財務諸表の身から資産できるとような売却価格のきちんとした相場はないと言っても過言ではありません。
さらにはM&Aの仲介を担う専門業者でもアドバイザーによってもまた売却価格に変化が出るものです。ベテラン担当者であれば過去の事例や現状の市場環境から予測することができますが、そのようなことが行える人間ばかりではないこともしっかりと頭の中に入れておきましょう。つまり複数の担当に依頼をして自身の店舗の相場を見つけることが大事になります。
ちなみに買い手側はなぜ赤字会社買い取るのでしょうか?それは買い手側にも赤字の調剤薬局を求めるメリットがあるからです。メリットは2つ。以下のことがあります。
・安く買える 赤字の調剤薬局は黒字企業と比べて安く買える特徴があります。人材を多くしたい方、設備をもっと整えたいと希望する方には赤字企業を買うメリットがあるでしょう。
・節税が可能 買い手側は赤字の調剤薬局を買収した後、買い手企業の利益が出ている事業や会社と合わさることで節税につなげることも可能です。
これらの2つのメリットがあり、決して買い取ってもらえないわけではないのです。赤字だからと敬遠されることはないから大丈夫です。
■高額で買取してもらえるテクニックをご紹介
続いては高額で買取ができるテクニックをいくつかご紹介していきましょう。参考にすることで期待以上の高値を実現できるかもしれません。
・所有する調剤薬局の強みを活かす 経営している調剤薬局の強みを再確認することで高額買取の実現もできます。買い手にとってのメリットを増やすように、他の薬局よりも優れている部分をリスト化しましょう。特に数値で表すと強みを感じられやすいですし、実績も表すことができれば、赤字であっても買い手にとって魅力的な調剤薬局に見えるものです。
・買取需要がある時に売却を 調剤薬局も買取需要に左右され売却時の市場によって高額で取引も可能です。最近では少子高齢化による医療費の増加でそれなりの利益が見込める理由から資本が豊富である企業がたくさん参入してきています。それは他業種も多くあり大手企業も次々と調剤薬局の事業を手掛けるようになっているのです。
さらには調剤報酬改定によって地域医療が充実してきている傾向から、大手チェーンで経営している調剤薬局も新規出店ではなく、地域に密着するような形で既存店舗の利益向上に力を入れてきている状況になっています。今後はさらに調剤報酬改定が起こり業界全体が縮小する可能性が高いと言われています。
需要が低くなる前には売却する手を打っておきましょう。今が丁度その時であります。気になるようでしたら売却を検討してみるのがおすすめです。
・地域からの評判を高めておく 地域に貢献する調剤薬局は事業売却時に地域住民からの評判を高めておくことが大事です。地域住民からの信頼が厚いと評判が良いと、多くの人がその評判を聞き付けて利用者の増加と拡大につながります。
評判が高いのであればネットの口コミサイトにも評判が高いと書かれることでしょう。そしてそれを見つけた買い手側が買取を希望するようにと、スムーズな売却につながっていきやすいので地域からの評判が非常に大切なのです。
そのため、今からスタッフの言動に気を配るようにも心掛けましょう。調剤薬局の雰囲気が明るく和やかであると利用者も安心して利用でき、かかりつけの薬局にしたいと思えるようになってもらえるはずです。
・売却前に設備を新しくする 買い手側が調剤薬局を探す時には備わっている設備も重要視されます。最新の設備が揃っているとスタッフもストレスを抱えることなく働けるため、離職率の低下につながってくるのです。これにより、スタッフの負担が減ることで、先ほど挙げた地域からの評判を高めることに貢献します。薬を調剤する時間に余裕が生まれ、利用者への対応にも余裕ができ、薬局の評判が高くなります。
高額売却できるよう設備はそのままと考えている方は、設備を新しくすることで売却金額が伸ばせることも視野に入れておきましょう。入れ替えた分だけ売却金額が高くなり得をする可能性は十分にあります。
・薬剤師の人数を確保する 調剤薬局では現在担い手不足によって売却を考えたり、買取によって人材不足を解消しようとしている人が多いです。そう考えてM&Aに臨む方は、できれば人材が多く揃っている店舗を買い取りたいと思うことでしょう。
いくら売り上げが素晴らしく設備が整っている店舗であっても人材不足で働くスタッフ1人ひとりの負担が大きければ、買取手は手を出すのを躊躇ってしまうものです。売却前はできるだけ薬剤師を多く揃えられるようにしておきましょう。
ただしこの問題は早急に解決できるものではありません。その間にもスタッフが辞めることを決意する場合あるので、早いうちから手を打っておきましょう。その具体的な対策となるのが次にご紹介する対策です。
・スタッフや利用者に売却することを告知する いきなり売却することを伝えてしまっては、スタッフも利用者も急な変化に戸惑ってしまいます。買取先の方針に移行して様々なものが変わってスタッフや利用者に影響が出るのであればなおさらです。
売却するというのは、多くの人が、利益が下がった、従業員に頼れる人間がいない、といったようにネガティブな原因があるのだと捉えてしまうことが多いです。そういった理由で売却する時でもスタッフや利用者に安心感を与えるために、適切な告知が必要になってきます。
告知するベストなタイミングとしては買い手との交渉を進めていき事業売却が確実になった時です。その時になれば売却後の不安に駆られることなくスタッフは安心して働くことができ、利用者も続けて利用できると考えることができます。
・M&Aの専門家に相談 調剤薬局売却し買い取ってもらうといった一連のM&Aは専門知識を有する人間の力に頼るのがおすすめです。M&Aの専門家に相談し、納得できる売却につながりやすくなっています。
専門家のノウハウを活用し譲渡評価価値を適正に算出、後悔のない売却先の選定、取引に必要になってくる資料整理、さらには取引中の交渉のサポートを行ってくれるので、利用して損は一切ありません。そしてそんなM&A専門業者の中でも特におすすめなのがアテックです。
■M&Aを成功させたいならアテックに相談しよう
最後に頼れるM&A仲介業者のアテックをご紹介していきましょう。アテックは1991年に創業された会社であり調剤薬局のM&Aを専門的に事業として行う会社です。誇れる点として日本初の調剤薬局M&A仲介会社であることが挙げられ、これまでにはたくさんのM&Aの成功に導いてきたのです。アテックでは匿名の相談からでも依頼を受けられます。あまり公にしたくないという方のために、きちんと秘密保持契約の締結を行います。電話相談で十分にアテックスタッフと話し合った後に、直接顔を会わせて譲渡の目的や時期譲渡の条件などを聞いていきます。
そして重要となる調剤薬局の評価は、「薬局評価シミュレーションシステム」により、第三者の立場で精度の高い評価していきます。そして売却主にベスト となる譲渡プランを作成。譲渡価格や従業員の雇用、支払方法、税務対策、医療機関、利用者への対応策などを協議を重ね無事媒介委任契約を交わした後、譲渡先の選定と紹介を行います。
希望に沿った譲渡先が見つかれば、1回の顔合わせを行うだけで後はアテックがすべてを担います。譲渡条件や譲渡日の調整、引き渡しまでの面倒な書類作成も全て受け、M&Aにおける様々なことをサポートしながら、満足いく売却と買取ができるようになっています。