M&Aを行うのであれば、少しでも早く検討した方が良いと考えられています。今回は、M&Aを検討する中で知っておきたい増加の理由やメリット・デメリット、採用されることが多い手法について解説していきます。
調剤薬局のM&Aを検討しているオーナーは、ぜひ目を通してみてください。
目次
■調剤薬局のM&Aはなぜ増えているのか
まずは、調剤薬局のM&Aはなぜ増えているのか、その理由から見ていくことにしましょう。・売り上げが伸びなくなってしまった
売り上げが伸びなくなってしまったという理由でM&Aを考える調剤薬局のオーナーは少なくありません。調剤薬局が調剤を行うことで得られる報酬は、法律で定められています。薬価もそうですが、国民皆保険の対象となっているため、7割は国から支払われているのです。
それだけではなく、社会保険料を抑制するという目的で調剤報酬を下げるという流れになっています。高齢化によって調剤の数は右肩上がりになっているのですが、調剤報酬額が下がれば売り上げは伸び悩んでしまうのです。
売り上げが下がってしまうと企業価値の低下にもつながってしまいます。そうなることを防ぐためにも、M&Aをなるべく早く検討すべきだと考える人が多くなっています。
・事業承継が難しい
事業承継が難しい場合も、M&Aを検討する理由の1つとして挙げられます。調剤薬局は、許認可制であり、薬剤師を雇わなければいけません。さらに、収益も競争が激化することにより右肩下がりになっているので、後継者を見つけることが難しくなっているのです。
後継者を見つけることができなければ、経営を継続できなくなってしまいます。それでは近隣の病院や住民に対して良くない影響を与えることになってしまうため、M&Aを行おうと考えるのです。
・人材を確保する
人材を確保するためにM&Aを行うというケースもあります。特に地方では、人材をなかなか確保できないという状況になっている調剤薬局が増えています。薬剤師がいなければ経営を続けることができなくなってしまうため、人材確保は非常に大きな課題となっているのです。
M&Aを行うことで薬剤師の確保も可能となります。そのため、人材確保が難しいと感じたら早い段階でM&Aを検討することもあります。
■調剤薬局のM&Aを行うメリットとデメリットについて
調剤薬局のM&Aを行うのであれば、どのようなメリット・デメリットがあるのか把握しておくことも重要になります。では、調剤薬局のM&Aを行うメリットとデメリットについてみていきましょう。【メリット】
●売り手側
・事業を拡大できる可能性が生まれる
事業を拡大できる可能性が生まれるというメリットは、多角化経営を考えている企業にとって魅力的なポイントになります。M&Aを行うと、他の事業とのシナジー効果を得られるため、コストを抑えながら大きい利益へとつなげることもできるようになるのです。
・後継者問題を解決へと導ける
M&Aを行うことによって、後継者問題を解決へと導けるようになります。そのため、後継者候補がいない調剤薬局ではM&Aを検討するケースが増えています。子どもや親族が後継者になってくれないという場合、M&Aで後継者問題を解決へと導くという方法を採用し、適切な後継者を見つけることができれば事業を継続することができるようになるのです。
・創業者利益を獲得できる
創業者利益を獲得できるというメリットも売り手側は享受できます。廃業することになった場合は、雇用していた人材の再雇用に関する不安を抱えたり、廃業コストを負担したりといったデメリットが生まれます。しかし、M&Aを行えば曽爾様な不安を抱えずに済みますし、売却益を得られるのでメリットの方が大きいと考えられるでしょう。
●買い手側
・人材を確保できる
調剤薬局の経営には、薬剤師の雇用が必要不可欠です。痴呆の調剤薬局では、なかなか薬剤師を確保できないという状況に陥っているため、人材を確保できるというメリットは非常に魅力的です。中には、調剤薬局の買収を行うことで、収益アップを図っている企業もあります。
・事業拡大のスピードを速めることができる
M&Aを行うと、事業拡大のスピードを速めることができます。事業を拡大できれば、仕入れコストを削減できます。それだけではなく、買収する調剤薬局がこれまでに培ってきたノウハウなどを得られるので、売上高を向上させるというメリットも享受できるでしょう。
・規模拡大にかかるコストを削減できる
規模を拡大するにはそれなりのコストが必要ですが、前述したように事業の拡大を実現できれば仕入れコストを大幅に削減できるようになります。さらに、店舗数が増えることでノウハウを共有化しやすくなり、業務効率の改善やご有無コストの削減といったメリットも得られるのです。
【デメリット】
●売り手側
・雇用している人材が離職してしまう可能性がある
雇用している人材が離職してしまう可能性があるという点は、売り手側にとって大きなデメリットになってしまうでしょう。薬剤師など雇用している人材が就業に関する条件や勤務環境の変化を受けいれることができなかった場合、離職してしまう可能性はないとは言い切れません。離職を防ぐためには、M&Aを行う前にきちんと伝え、納得してもらうことが重要なポイントになります。
・売却先の選定ができない
調剤薬局は一般企業とは違う事業なので、売却先の選定ができないこともあります。希望に合う売却先を見つけるまでに時間がかかってしまうこともあり得るでしょう。そのため、計画的にM&Aに向けて動いていかなければいけません。
・顧客や取引先から反対される
顧客や取引先から反対されてしまう可能性もないとは言い切れません。通いなれた調剤薬局で馴染みの薬剤師から処方をしてもらうことで安心感を得られるという顧客は、経営スタイルなどの変化を懸念して反対することがあります。また取引先は、担当の営業所が変わるなどの理由から反対することが考えられます。
●買い手側
・雇用している人材が離職してしまう可能性がある
雇用している人材が離職してしまう可能性があるというデメリットは、売り手側でも紹介しましたが、買い手側にも当てはまります。離職を防ぐには、離職を検討している人に対して、ヒアリングを行うといった工夫を凝らす必要が出てきます。
・簿外債務などのリスクを背負う
買収することによって、簿外債務などのリスクを背負うというデメリットが生まれる可能性があることも念頭に置いておかなければいけません。M&Aを行う場合、かけている負債を買い手に正しく申告しなければいけないとされています。しかし、負債の総額があまりにも大きいと正しく申告しないケースもあり、想定外の負債を抱えることになってしまう可能性もあるので注意しましょう。
簿外債務を引き継がないようにするには、徹底したデューデリジェンスを実施するのがおすすめです。そうすることで、買収する調剤薬局の財務状況がどうなっているか正しい情報を把握できます。
■従業員や顧客、取引先へのメリットも知っておこう
M&Aを行った時に、売り手と買い手がどのようなメリット・デメリットを享受する可能性があるかご紹介しました。M&Aをするなら、それだけではなく従業員や顧客、取引先へのメリットも知っておく必要があります。では、どのようなメリットを雇用されている人や顧客、取引先が享受する可能性があるのかみていきましょう。・待遇が改善されたり、キャリアアップにつながったりする可能性がある
待遇が改善されたり、キャリアアップにつながったりする可能性があるという点は、雇用されている人が感じるメリットになります。売却先は、規模が大きい会社であるケースが多いため、この様なメリットを享受できる可能性があるのです。キャリアアップを目指している人にとって、このメリットはとても魅力的に感じるでしょう。
・スキルアップができる
スキルアップができるというのも、雇用されている人が感じるメリットの1つです。M&Aを行うことによって、売却先の会社が有するノウハウを学ぶことができます。それがメリットだと感じる人も少なくありません。
・顧客満足度の向上につながる
顧客満足度の向上につながるというメリットは、取引先が感じるメリットになります。大手の調剤薬局が進出すれば、より質の高いサービスを提供できるようになるからです。そしてそれが顧客の増加につながり、安定した経営にもつながっていきます。
・地域医療を拡大できる
取引先は、地域医療を拡大できるというメリットも享受できます。調剤薬局の数が減ってしまった場合、医薬品の取扱量が減少することになります。それでは地域医療を安定させたり拡大させたりできませんが、M&Aによって数が安定すれば地域医療の拡大や安定にも大きく貢献すると考えられるのです。
■少しでも早くM&Aを成功させるためのポイント
調剤薬局のM&Aは、早く検討した方が良いと言われています。しかし、急いで決めてしまうと後悔してしまう可能性があるので注意しなければいけません。最後に、少しでも早くM&Aを成功させるためのポイントについて解説していくので、調剤薬局のM&Aを検討しているのであれば念頭に置いておいてください。・経営管理の体制をきちんと整えておく
経営管理の体制をきちんと整えておくことはとても重要です。特に、人事労務管理は大切になるので覚えておいてください。労務管理の不備があると、大きなトラブルに発展してしまう可能性も高いので、残業代の未払いなどは早い段階で解決しておくことをおすすめします。
・在庫の棚卸しをしておく
在庫の棚卸しは、M&Aにとても大きな影響を与えるため、必ずしておきましょう。棚卸資産がどのくらいか正しく把握し、適切な単価に基づいた計上をしなければいけないからです。在庫の棚卸をしていない場合は、譲渡価格が大幅に減額してしまう可能性もあるので注意しなければいけません。
・マイナスになってしまう情報は早い段階で伝える
マイナスになってしまう情報は早い段階で伝えることも重要になります。後からマイナスな情報を出すと、それが原因で失敗してしまうことも考えられます。早い段階でM&Aを検討して行動に移し、結果を出したいのであれば、簿外債務や粉飾決算などに関する情報も漏れなく伝えるようにしましょう。
・余裕をもって準備を進められるようにする
少しでも早く調剤薬局のM&Aを行いたいと思うなら、計画的に準備を進めておくようにしましょう。焦ってしまうと必要な準備ができていなかったり、適切な売却相手を選べなかったりといった事態に陥ってしまう可能性もあります。それでは成功するものも失敗に終わってしまうリスクが高まるので、余裕をもって準備を進められるようにすることはとても重要です。
・オーナーが引退後の組織を構築しておく
調剤薬局のM&Aを行うと、買い手側が新しい店長を送り込んできます。その人が必ずしも適した人材であるとは言い切れません。そのため、組織が混乱しないようにオーナーがいなくても問題なく稼働する仕組みをあらかじめ作っておくようにしましょう。
・優先順位を決めておく
売り手側のオーナーが持っている希望に沿ったM&Aを実現させるには、優先順位を決めておく必要があります。引退した後に必要な資金を踏まえて売却価格を決めたり、処方元のドクターとの関係はどのようになってほしいかを考えたりするのです。そして、何を重視したいのかという優先順位を決めた上で、買い手探しをするようにしましょう。
■調剤薬局のM&Aを行うならアテックへの相談がおすすめ
調剤薬局のM&Aを行う場合、専門的な知識が必要になります。M&Aに関する知識を持っているオーナーは多くないと考えられるため、M&Aを検討し始めたらアテックにご相談ください。アテックは、1991年に創業してから多くのM&Aをサポートしてきたため、豊富なノウハウや確かな実績を有しています。アテックでは、ファーマーケットという調剤薬局の譲渡を検討しているオーナーと買収を検討している後継者候補のマッチングサイトを運営しています。それぞれの条件に合わせて適切なマッチングができるような仕組みが整っているため、満足度の高いM&Aを実現できるでしょう。
満足度が高いだけではなく、効率の良いM&Aを行うこともできるので、アテックが運営しているファーママーケットの利用は前向きに考えてみた方が良いと言えます。また、適切なアドバイスもしてもらえるので、納得した上でM&Aを行うこともできるようになります。