医療においても新型コロナウィルスへの感染を恐れ、受診控えが起きるなど、患者様の減少によって減収となったクリニックもあります。同じように、薬局においても患者様が少なくなったことで利益が減り、経営の悪化による閉店を余儀なくされた薬局も存在しています。
新型コロナウィルスによる経営難を乗り切るためには、どのような対策を実行すれば良いのでしょうか?調剤薬局を経営している人に向けて、役立つ対処法をご紹介していくので参考にしてください。
■新型コロナウィルスが調剤薬局に与えている影響
2020年7月までの医療費は前年同期と比較しても3.8%減という数字が厚生労働省による発表で分かっています。全国にコンビニよりも多くあると言われている薬局ですが、その薬局においても新型コロナウィルスによる経営危機が生じています。患者様による受診控えが影響し、処方箋の発行枚数が減少するだけではなく、基本料や技術料も減少しています。その結果、この事態が長期化すれば閉店を余儀なくされる薬局も増えていく可能性が高まっているのです。
ワクチン接種も日本で行われていますが、供給不足などでスムーズに進まず、今後の見通しができずに不安を感じているオーナーは多いでしょう。
・影響を大きく受けている薬局と少なく受けている薬局がある
薬局のなかでも、新型コロナウィルスの影響を大きく受けている地域があります。感染者数の多い札幌や東京、名古屋や大阪、福岡などは、緊急事態宣言や蔓延防止措置が発出されたことで、悪影響も多く出ています。特に、小児科や整形外科、耳鼻咽喉科、呼吸器科などのクリニックの処方箋を主に受け付けている薬局では、影響が多いと言われているのです。
反対に新型コロナウィルスの感染者が少ない地方にある薬局は多少の影響はあっても、少ないところは多いです。その他にも、特定の診療科ではなく、様々な科の処方箋を受け付けている薬局は、特定の診療科を受け付けている薬局よりも影響が少ないです。
外出自粛による在宅医療の需要が高まったことで、在宅医療に力を入れている薬局も同様に影響が少なく、中には売上を伸ばした薬局も存在します。
・処方箋の枚数減少…どう対処している?
合同会社スマスタが行ったアンケート結果によると、78%の薬局で減収が起こっているといいます。減収した分、どう売上を補うのか、その結果としては29.7%の薬局で特に対策を実施していません。
対策を行っている薬局では、働いているスタッフへの影響が大きいでしょう。残業を減らし残業代を削減する他、手当の削減や給与の見直し、人事評価制度の見直しを行った薬局も存在します。
その他にも、人件費を削減するため勤務日数を減らしたり、勤務時間を削り対処を行ったりする薬局もあります。しかし、その結果、離職者が増えて人出不足に陥ってしまう薬局も少なくありません。
■多大な影響を乗り越えるための対処法はある?
厳しい経営状況にある薬局が、コロナによる影響を乗り越えるために、どんな対策があるのかご紹介していきます。経営難による閉店を防ぐためにも役立ててください。・物販の活性化
薬局は処方箋の受付を行うだけが仕事ではありません。一般医薬品の販売や健康食品、衛生用品なども空いているスペースを活用して販売しています。
そのため、物販を活性化させることで売上アップを図れるでしょう。商品を充実させるほか、来店する患者様のニーズに合った商品を探すことが大切です。
また、販売時のコミュニケーションを通して薬局のファンを増やせば、かかりつけ薬局に選んでくれる可能性もあり、売上アップにつながるでしょう。外出を控えている患者様にも利用しやすいよう、ECサイトの開設を行えば減収を補うことに役立つでしょう。
・在宅医療の展開
クリニックへの受診控えが増えているなか、在宅医療の需要は増えています。薬局の売上を伸ばすためにも、在宅医療への進出を検討してみましょう。
ただし、24時間体制での対応や夜間緊急時の対応など、課題が多いことは事実です。薬剤師の負担が増え、スタッフの増員が必要となるケースもあるでしょう。
しかし、こうした要因があることで、在宅医療に進出しない薬局も多いため、進出に手を挙げている人が少ない今だからこそ、より多く売上を伸ばす結果にもつながるはずです。
・システムの効率化を図る
薬のピッキングや散剤の分包、塗り薬の混合や一包化など、薬剤師は様々な業務を行います。このほかにも、薬の発注や在庫管理などにも時間を割き、仕事をこなしていきます。
患者様を相手に服薬フォローも必要で、営業時間や営業時間外問わずあらゆる仕事に追われるでしょう。コロナによって人手不足に陥れば、こうした業務の進行に不具合が生じる可能性もあります。
スムーズに仕事を進めるためにも、システムの効率化は重要です。大手調剤薬局であればIT化の活性で対処できる場合も多いですが、中傷調剤薬局はシステムのIT化が非常に遅れています。IT化促進のための補助金などを活用し、システムの効率化を図っていきましょう。
・共同購入の実施
薬局と医薬品の卸売り会社の間に別の会社が入り、薬の価格交渉などを行う共同購入を行うことも検討してみましょう。価格交渉によって仕入れ価格を下げられれば、利益も多くなります。加盟料や月額費用がかかりますが、利益を取れれば問題ないので共同購入も視野に入れてコロナによる経営難を乗り越えていきましょう。
・ファクタリングサービスの活用
銀行に 調剤報酬権を売り、早期に現金化させることをファクタリングと言います。調剤報酬は通常レセプトを請求した約2ヶ月後に入金される仕組みです。
そのため、すぐに利益を得られなかったのです。資金繰りで悩んでいるなら有効な方法なので、信頼のおける金融機関に相談し、ファクタリングサービスの採用を検討してみましょう。
・早期発見、早期治療のための取り組み
医療費を抑えることは国全体の課題です。患者様も同様で医療費が多くかかる慢性疾患や重症化しやすい疾患の予防が求められています。
薬局では対処できないと考えている人もいるでしょうが、健康チェックができる体制を整えたり、健康イベントの開催や保健指導を行えたりといった取り組み、受診を進める取り組みなどを実施することで、早期発見、早期治療につながります。
健康を意識する人は年々増えているので、参加する人が多くいることで、かかりつけ薬局に選ばれる可能性も高まり、結果的に売上アップにもつながるでしょう。
・コロナウィルスの正しい情報を伝える
新型コロナウィルスについての正しい情報を患者様に伝えることも減収対策のひとつです。中には間違った情報で知識を身に付けている患者様もいます。
その結果、受診控えにつながり減収となっているケースもあるので、正しい知識を広めて正しい予防法を身に付けてもらい、クリニックへの受診や薬局への来店を促しましょう。紙媒体だけではなく、SNSを活用することでより多くの人たちにコロナの正しい情報を広め、薬局についても知ってもらうことができます。
・電話相談の実施
病院に通院できずに不安な思いを抱えている患者様もいるはずです。そうした患者様のためにも、メールや電話などを活用して様子をうかがうサービスや通院できない患者様のための相談サービスを実施することも減収対策に効果的です。
安心できるサービスがあることで薬局のファンが増え、多くの患者様に支持される薬局に成長できるでしょう。
・薬局が実施している取り組みを周知させる
薬局が実施している新型コロナウィルス感染症に対する取り組みを周知させるだけでも受診控えを抑える効果があります。全スタッフのマスク着用、手洗いうがいの実施、医療用ゴーグルの装着、空気清浄機の設置など、様々な取り組みを薬局ごとに行っているでしょう。
感染予防のための定期的な消毒や換気の実施など、注力している事柄について伝えれば、安心させることができるので、来店を促すことにつながります。待つことを嫌がる患者様のためにも待機場所を新しく造り、渡薬を実施している薬局もあるので、できる対策を実施し、その内容を詳しく伝えていきましょう。
・オンライン服薬指導も認められている
オンライン服薬指導は2020年9月からの実施を目指していましたが、新型コロナウィルスの影響で2020年4月から時限的、特例的に認められるようになりました。これまで対面のみが原則でしたが、テレビ電話などを通じて指導が実施できるため、通院に対する不安を抱えている患者様へのフォローができるだけではなく、感染防止にも役立つでしょう。
しかし、実際にはまだまだ普及していないのが事実です。専用のシステムを導入できずに進められない薬局もあるでしょう。そんな時には無料で活用できるZoomやLINEなどを活用してコミュニケーションを取り、オンラインで対処できるようにシステムを構築していくことも検討しましょう。
スタッフはオンラインならではのコミュニケーション能力を備え、受診控えを防げるよう本格導入に向けて準備を進めていきましょう。
■薬局M&Aという選択肢も有り!
新型コロナウィルスの影響による経営難を乗り切るための対策として、薬局M&Aという選択肢もあります。Mergers(合併)&Acquisitions(買収)の略語で、多くのメリットを持っています。・M&Aで得られるメリット
【減った人材の確保】 コロナの影響で人手不足に陥っても中小の調剤薬局では人材確保が難しいケースは多いです。募集をかけたとしても優秀な人材が確保できない場合もあります。
そんな時、M&Aによって大手調剤薬局の傘下入りをすれば、新卒採用も積極的に行っているため、若い世代の人材も確保しやすくなるでしょう。人材採用業務は本部で行ってくれるため、本業に専念しやすいメリットも隠れています。
【閉店を免れる】 コロナによる減収で経営難になれば、自ずと閉店を余儀なくされる薬局も増えてきます。患者様のためにも薬局を残しておきたいのであれば、M&Aを実施することで継続的な営業が可能になります。
【後継者問題も同時に解決できる】 コロナによる減収だけではなく、後継者問題を抱えている中小調剤薬局は少なくありません。跡継ぎがいなければ、閉店という道しかなくなり、患者様や働いているスタッフにも迷惑をかけてしまいます。
M&Aを行い、企業売却を実施すればコロナによって受けた減収の営業を回避できるだけではなく、後継者も見つけられるので様々な問題を解決できるでしょう。
・タイミングを逃さないことも大切!
M&Aはタイミングが重要ともいいます。売却先を探していてもタイミングが合わなければ優良な売却先を見つけることはできません。売却を躊躇していれば、たとえ良い出会いがあったとしてもM&Aができずに終わってしまうケースはあります。
売却を成功させたいという思いがあるからこそ、躊躇してしまうのでしょうが、後悔をしないためにもタイミングを逃さないことが大切です。個人だけで考えるのではなく、専門家でもあるM&Aのサポートを行っている業者に相談しながら最適なM&Aを行っていきましょう。
■M&Aならアテックに相談を!
M&Aをしたい場合、優良な業者を選択しなければ後悔してしまうケースもあります。売却のチャンスを見定めてコロナによる悪影響を抑えるためにも、M&Aのサポートを行っているアテックまでご相談ください。アテックは1991年に創業してから調剤薬局に特化したM&Aの仲介を行っており、これまでに数えきれないほどのM&Aのサポートを実施してきた実績があります。中立で公正な立場からオーナー様の理想を最大限実現できるよう、努力をしていくため、後悔のないM&Aを叶えることに役立ちます。
また、アテックでは薬局を譲渡したいオーナー様と買収したいオーナー様を結び付けるマッチングサイト「ファーママーケット」の運営も行っています。条件に見合う薬局を探し出しやすい特徴を持っているので、M&Aを検討している調剤薬局のオーナー様は活用を検討してみましょう。