そこで今回は、調剤薬局が生き残るためのヒントや取り入れるべき戦略、成功した事例をご紹介します。さらに、生き残り戦略のひとつであるM&Aを使用か迷っている場合の相談窓口となるアテックについてもご紹介します。これからの動向を決める指標になるので、目を通してみてください。
目次
■調剤薬局が生き残るためのヒントとは?
はじめに、調剤薬局が生き残るためのヒントからみていきましょう。
地域に根付いた薬局を目指す
調剤薬局というと、病院の周辺にある門前薬局を思い浮かべる人が多いでしょう。門前薬局は、医薬品に関するスペシャリストとして医師が処方した内容をダブルチェックすることが重要な役割となっていました。病院で処方された薬をスムーズに受け取れるのが大きなメリットです。
重要な役割を担う門前薬局ですが、厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」では地域薬局への移行を推進しています。なぜかというと、診察を受けるほどではないけど近場で相談できる場所がほしいというニーズが高まりつつあるからです。そのような患者様にとって、地域にある薬局が頼りになるので、門前薬局からの移行を推し進めているのです。
2025年以降は団塊世代がすべて75歳以上になるので、在宅医療のニーズもさらに高まると予想されます。そのような背景から薬機法が改正され、「情報の提供および薬学的知見に基づく指導の業務」が追加されました。また、2021年8月には患者様が自分に適した薬局を選べるように「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」が始まっています。
これらの変化により、薬局に必要とされる役割は大きな変化を遂げています。地域の連携薬局では、かかりつけの薬剤師が在籍していて、健康をサポ-トする機能なども持ち合わせる形が一般的になっていくと想定できるでしょう。そして専門医療機関連携薬局でじゃ、高度な薬学管理機能が求められるようになっていくと考えられます。
さらに、2020年4月に導入されたオンライン服薬指導による影響も軽視できません。患者様は家にいながら薬局と連絡を取れるようになるので、より利便性が高まります。オンライン対応が難しい薬局は、苦しい状況に追いやられてしまう恐れがあるのです。
健康相談ステーションという役割を持つ
厚生労働省によって打ち出された「患者のための薬局ビジョン」には、健康サポート機能、高度薬学管理機能、服薬情報の一元的・継続的把握、24時間対応・在宅対応、医療機関などとの連携という5つの項目が盛り込まれています。この中でも特に注目すべきなのは、健康サポート薬局を代表とする健康相談機能です。高齢者の増加などを踏まえて考えてみると、この役割はさらに必要性を増すのではないかと考えられます。
健康相談に関する取り組み方は多岐にわたります。患者様の健康状態に関する冊子を作成する、よくある相談と回答をまとめてポスターとして掲示する、などの方法があります。また、定期的に患者様が足を運んでくれる薬局であれば、市販薬や健康食品など医薬品以外の対面販売で利益を増やす取り組みも可能です。
最近では、調剤業務の他に介護に関する相談を受けている調剤薬局も増えつつあります。薬剤師や事務スタッフがケアマネジャーの資格を取得し、介護に関する不安や悩みの解決へと導けるような体制を整えているのです。窓口がわからずに介護認定を受けられていない高齢者もいるため、必要な支援を受けられるようにする身近な窓口として有効な取り組みだと言えるでしょう。
在宅医療に対応する
高齢化が進む日本において、在宅医療に対応することは大きなポイントになります。高齢化が進むと処方箋の数は伸び悩みますが、居宅療養管理指導の需要は大幅に高まると想定できます。
居宅療養管理指導は、要支援や要介護と認定されて通院が難しい人を対象として提供されるサービスです。利用者の自宅に医師や看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などの専門的な資格を有するスタッフが法温氏、健康管理などの関するアドバイスを行います。住み慣れた自宅で安心して生活を続けられるようにするための取り組みです。
2020年12月に実施された介護報酬の改定に向けた介護給付費分科会では、感染症や災害への対応力強化、地域包括ケアシステムの推進、 自立支援・重症化防止の取組の推進、介護人材の確保・介護現場の革新、制度の安定性・持続可能性の確保という5つの柱が掲げられました。それに伴い、居宅療養管理指導にも変更点が出てくると言われています。
具体的な価値を示す
高齢化などの現状に対応できるような体制を整えることはもちろん大切です。しかし、いくら体制を整えたとしても根本的な解決にならないという考え方もあります。薬局がこれからの時代で生き残るためには、具体的な価値を示す必要もあると考える人もいます。
薬局には薬局にしかできないことがあります。それを明確にすることができれば、他との価値の差別化にもつながるでしょう。具体的な価値が見いだせれば、将来的にどのような立ち位置を目指せばいいのか、といった点も考察しやすくなります。
薬局を利用する機会が少ない層にアプローチする
土日に営業したり、健康サポート薬局機能を導入したりすると、仕事で忙しい現役世代にもアプローチできます。普段は薬局に足を運ぶ機会が少ないけれど、健康に関する相談ができるなら立ち寄ってみようと考える人も増えると想定できます。しかし、効率的にアプローチするためには、調剤薬局=処方箋を持って行って薬を受け取る場所というイメージを払拭しなければいけません。
内閣府が実施した「令和2年度 薬局の利用に関する世論調査」によると、薬局や薬剤師への相談内容は、病院や診療所の処方薬についてが49.1%、薬の飲み合わせについてが45.2%となっていました。
それ以下は、
市販薬について(17.2%) 病気や体調について(16.2%) サプリメントについて(8.6%) 薬代について(5.5%) 食習慣について(4.0%) 運動習慣について(1.9%) 病院や診療所について(1.6%) その他(1.7%) 特になし(22.1%)
という結果でした。
この結果から、薬を処方してもらうための場所という認識が大きく、他の業務はほとんど認知されていないことがわかります。今後は、そのようなイメージを払拭していくための取り組みが重要になっていくと言えます。 引用元:https://survey.gov-online.go.jp/r02/r02-yakkyoku/2-3.html
■これから調剤薬局業界はどのように変化していくのか
調剤薬局業界で生き残るには、どのように変化していくのか想定し、その変化に対応できるように準備をしなければいけません。そこで続いては、これから予想される変化について考察していきましょう。
大手チェーンの寡占が進む可能性
大手チェーンは、ブランド力や資金力があり、規模も大きいです。薬学部を卒業した薬剤師しか在籍していない小規模な薬局のオーナーは、経営や経済について学んでいないケースが多いです。経済重視の世の中である現在、そのようなオーナーが経営する薬局は大手チェーンの傘下に入る可能性が高いと考えられるでしょう。
また、処方箋の多様性が広がっていることも大手チェーンの寡占を勧める要因だと考えられます。人手を増やすことができれば、外来と在宅で人員を振り分けやすくなるなどのメリットも生まれます。小規模な薬局は融通が利きやすいですが、これからの時代は融通を優先すると生き残りが厳しくなってしまうという見方もできるのです。
M&Aを行うケースが増えている、在庫・デッドストックのリスクを抑えられるなどの視点から大手チェーンの寡占が進む可能性を示唆する声も聞こえてきます。これからの時代に合うやり方を取り入れるためにも、M&Aで大手チェーン傘下に入るメリットが大きいと考えるオーナーも少なくありません。
ドラッグストアとは異なる需要を見出す
ドラッグストアと調剤薬局は、どちらも似たような役割を持っています。日用品も購入できるドラッグストアに処方箋の窓口が設置されるケースも非常に増えてきました。ドラッグストアなら、処方箋を持っていった場合もポイントが付与されるなどのメリットがあります。
買い物をするついでに処方箋を出して薬を受け取ろうと考える人も増えているという証だと考えられます。そのような中で調剤薬局は、病院とのつながりが密だからこそできる居宅療養管理指導などに力を入れるなどの方向で差別化を図ることがポイントになるでしょう。ドラッグストアとの差別化が明確になれば、調剤薬局として生き残れる可能性も格段に高まります。
■薬局経営で成功した事例
地方における人口の減少やドラッグストアの台頭、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で、窮地に立たされた薬局は少なくありません。しかし中には、独自性を高めるなどの工夫を凝らして成功した薬局もあるのです。具体的な成功事例についてみていきましょう。薬剤師が成功した事例
Aさんが経営する薬局では、調剤はもちろんですが処方箋がなくても購入できる医薬品や雑貨類などの販売も行っています。調剤業務においては、レセコンと連動しているPOSシステムを取り入れているので、会計・薬歴管理・服薬指導を一括でできるようになっています。物販コーナーには、小児科の門前薬局という立地やオーナー自身の子育て経験を活かし、育児中でも使いやすいオーガニック製品の取り扱いも行っているのです。
患者様がゆったりと過ごせるように、待合室にはグリーンや木目調を取り入れています。子育てをしている人も安心して立ち寄れるように、小さいながらキッズスペースも完備しています。
また、処方箋の受付や薬に関する相談はオンライン化しました。メッセージアプリに公式アカウントを開設し、気軽に相談できるようにしています。一般に普及しているアプリを使っているため、相談のハードルが格段に下がります。
スタッフに関しては、規模が小さいので最初はAさん夫婦だけで運営しようと考えたいたそうです。しかし実際は、3名の薬剤師と事務スタッフを採用しました。それぞれのスタッフが短時間ずつ働くことで都合を合わせやすくなり、育児中でも無理なく働けるような環境が整っています。
医師が成功した事例
Bさんは、医師免許と薬剤師の資格を持つダブルライセンサーです。勤務医だった頃に漢方医学の興味を持つようになり、薬局の経営者に転向するという経歴を持っています。独立したばかりの頃は在宅医療が今ほど普及しておらず、薬剤師が患者様に触れることはほとんどありませんでした。
そのような中でBさんは、薬剤師が在宅医療にスムーズな対応ができるように勉強会や講習会を実施しました。勉強会などにより、薬剤師のモチベーションを高めることが目的です。この試みが良い方向へと転じ、少しずつ新たな薬剤師が増えていき、店舗を拡大できました。
店舗を拡大してからは、調剤や薬剤管理に関するシステムを統一化したり、訪問先ではタブレットを使って服薬指導や薬歴チェックをしたりできるような仕組みを取り入れています。異動する際もやり方が同じなので戸惑わずに済むというのは非常に大きなメリットです。
■生き残るための戦略で迷っているならアテックにご相談を!
刻々と変化する状況に応じて生き残るためには、M&Aも視野に入れて考える必要があります。M&Aは、専門的な知識が必要になるので簡単にできるものではありません。M&Aについて情報を集めたいと思っているなら、アテックにご相談ください。アテックは、日本初の調剤薬局のM&A仲介会社として1991年に創業しました。創業以来、調剤薬局のM&A仲介会社として数々の実績を残してきました。薬局を売却したいと考えているオーナーと独立を希望する薬剤師のマッチングを行っているのです。
そんなアテックが運営しているファーママーケットは、オーナーと後継者候補になる人材を結び付けるマッチングサイトです。これまでに数々のM&Aをサポートしてきたアテックならではのノウハウや知見が凝縮されているため、より理想に近いマッチングを実現可能となっています。
生き残り戦略のひとつとしてM&Aを検討しているのであれば、ぜひアテックまでご相談ください。ファーママーケットの活用で、理想的な未来を手に入れられる可能性が高まります。