
今回は、調剤薬局M&Aの現状と動向や調剤薬局が抱えている課題、調剤薬局を買収する時のポイント、調剤薬局M&Aを行うメリットについて解説していきます。調剤薬局M&Aを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
■調剤薬局M&Aの現状と動向
調剤薬局M&Aを考えているのであれば、現状や動向について把握しておく必要があります。まずは、2023年現在の調剤薬局M&Aの現状と動向からご紹介します。・調剤薬局M&Aの現状について
調剤薬局は、医師が作成した処方箋を元にして薬剤師が調剤を行う場所です。適正な用法を患者様に伝え、薬を提供します。「保険薬局」という別名を持ち、各都道府県の地方厚生局から指定を受けた上で、保険診療による処方箋の調剤を行っているのです。
かつて日本では、医師が診療から薬の調剤までトータルで行っていました。しかし欧米で浸透している医薬分業の考え方が日本に入ってきたため、国内でも医薬分業が進められます。医薬分業の割合は約70%と、非常に高い数字となっています。
調剤薬局業界が拡大することにより、M&Aも積極的に行われるようになってきました。調剤薬局の場合は、行政への許認可が必要になるので、株式譲渡による経営権の移行が主流です。事業譲渡を採用するケースも多く見られます。
・調剤薬局M&Aの動向について
調剤薬局は、個人経営が多いです。大手調剤チェーンやドラッグストアの占有率は、他の職種と比較すると低い状態になっています。しかしここ最近、大手調剤チェーンが事業拡大のため、個人薬局や小規模店に対するM&Aを行うケースは増えつつあります。
調剤薬局が増加することで飽和状態になっているという実情も、M&Aの後押しになっていると考えられるでしょう。新規出店ももちろんありますが、以前よりもそのペースは鈍化しています。M&Aの件数はそれに比例して伸びているのです。
異業種から調剤薬局業界に算入するケースが増えている点も見逃せないポイントです。コンビニや家電量販店、駅の中などに出店する調剤薬局が増えています。このように異業種が算入することで、業界再編はさらに加速していくと予想されています。
現状や今後の動向を把握していれば、どのような方法が効果的なのか決めやすくなるので、事業の方向性を考える時は非常に重要です。異業種からの参入もさらに増える可能性があるため、現在は調剤薬局の運営をしていないという企業でも入り込める余地はあると考えられます。
■調剤薬局が抱えている課題
調剤薬局の数が増えていることから、順調に売り上げを伸ばせるのではないかと考える方もいるでしょう。しかし実際には大きな課題を抱えています。続いては、調剤薬局が抱えている課題について解説していきます。・薬剤師不足が慢性化している
薬剤師不足は、慢性化しているのが現状です。調剤薬局の増加により、薬剤師の数が足りていません。また、薬剤師になるためには6年制の薬学部に進学し、国家試験に合格しなければいけないことも、人手不足に拍車をかけている理由です。
・利益が減少している
調剤薬局の利益は、調剤報酬や薬価によるものです。近年、調剤報酬や薬価は引き下げられています。その結果、調剤薬局の利益は減少に一途を辿ることになってしまいました。
調剤薬局の利益を上げるためには、ITを活用した服薬データの一元化や在宅医療対応、24時間対応、医療機関との連携が重要になります。かかりつけ薬剤師・薬局として機能するようにすれば、患者様から選んでもらえる可能性も高くなるでしょう。また、仕入れコストによるスケールメリットがどれくらい得られるかも重要になるため、現状はどうなっているのか確認しておくことをおすすめします。
調剤薬局はこのような問題を抱えているケースが多いので、買収前にしっかり確認しておきましょう。契約を結んでからでは遅いため、早い段階で買収する価値があるか否かを見極めるようにしてください。将来的に利益の増加が見込めそうな取り組みをしている調剤薬局であれば、前向きに検討する価値があります。
■調剤薬局を買収する際の相場
調剤薬局を買収しようと考えた時、どのくらいが相場なのか気になるでしょう。買収価格は、店舗の数や収益性の高さ、立地条件、内装、設備、築年数、人的資源によって変動します。また、買い手側のニーズにもよるので、相場を提示するのは非常に困難です。買収価格を決める時は、買い手と売り手が交渉します。その際に指標になる方法が3つあります。それが、純資産をもとにして評価するコストアプローチ、将来的な収益性をもとにして評価するインカムアプローチ、市場取引額をもとに評価するマーケットアプローチです。
■調剤薬局を買収する時のポイント
調剤薬局を買収するのであれば、いくつか知っておきたいポイントがあります。このポイントを把握しておくことで、より効率的なM&Aを実現しやすくなります。では、調剤薬局を買収する時のポイントについて解説します。・かかりつけ薬剤師になれる人材を確保できるか
以前は門前薬局が主流でしたが、近年はかかりつけ薬局やかかりつけ薬剤師への転換が重要視されています。それに伴い、かかりつけ薬剤師にいる服薬指導が評価されるようになってきました。調剤業務だけではなく、服薬指導や健康相談、在宅医療を行っている患者様のサポートなども任せられるのがかかりつけ薬剤師です。
かかりつけ薬剤師となる人材の確保ができれば、集客や収益の面でも有利になるでしょう。つまり、買収する際も薬剤師の継続雇用ができるかという点を確認しておく必要があると言えます。
・処方箋の集中率や立地条件はどうか
厚生労働署は、医薬分業を進める目的で2015年10月に「患者のための薬局ビジョン」を発表しました。薬局が有する機能やサービスに応じて診療報酬を受け取れるようにするため、調剤報酬の在り方を見直しています。これまでは立地が良い門前薬局が選ばれる傾向にありましたが、健康サポートの専門性・在宅対応可能・24時間対応可能など、様々なニーズに合わせた調剤薬局が評価されるような診療報酬へ改訂されました。
特定の医療機関からの処方箋が集中している調剤薬局も少なくありません。そのような薬局では、かかりつけ薬剤師・薬局の条件を満たしていないケースが多いです。この場合、調剤薬局の収益源である調剤報酬が減額されてしまう可能性があります。
かつては門前薬局なら収益を得やすいと考えられていました。しかし現在は、門前薬局=高収益というわけではありません。買収する時は、処方箋の集中率や調剤薬局の立地も加味した上で決めるようにしましょう。
もちろん、今後行われる調剤報酬改定に対応していくことも重要なポイントになります。
・人員体制はどうなっているか
薬剤師が何名在籍しているのか、年齢や勤続年数はどのくらいか、出勤頻度はどのくらいか、なども確認しておきましょう。また、M&Aを機に離職する薬剤師がいる可能性もないとは言い切れないので、求人を出した場合の反響も確認しておくこともおすすめします。薬剤師は人材不足が顕著なので、求人を出してもすぐに人が集まらない可能性も考慮しておかなければいけません。
■調剤薬局M&Aを行うメリット
調剤薬局M&Aは、買い手も売り手もメリットを享受できます。最後に、調剤薬局M&Aを行うメリットを買い手側と売り手側に分けてご紹介します。【買い手側のメリット】
・人材を確保できる
調剤薬局の経営には薬剤師が必要不可欠です。特に地方では薬剤師不足が顕著になっています。そのため、調剤薬局を買収し、薬剤師の確保によって収益アップを狙う企業もあるでしょう。
人手不足のままでは調剤薬局の経営が立ち行かなくなってしまいます。未然にそのような事態を防ぐためのも継続雇用できる薬剤師がいる調剤薬局を買収するのは効果的な方法です。
・規模拡大によるコスト削減を狙える
事業の規模を拡大するとコストの削減にもつながります。なぜなら取り扱っている医薬品を大量に仕入れることができるためです。また、店舗の数が増えるとノウハウの共有もできるようになり、効率改善によるコスト削減も目指せるでしょう。
コストを削減できれば、その分利益も大きくなります。調剤薬局の利益を高めるためにも、規模拡大によるコスト削減を狙うのは得策だと考えられます。
・事業拡大のスピードを速められる
事業拡大のスピードを速められることも、買い手にとって大きなメリットです。優秀な人材が在籍する調剤薬局を買収できれば、買い手側の従業員も切磋琢磨し、成長できます。業務効率も上がるので、成長もスピードは格段に速くなるでしょう。
収益力が高い調剤薬局を買収できた場合は、収益をさらなるM&Aに活用できます。さらなる事業規模の拡大も夢ではありません。。
・新規事業に参入できる
異業種から調剤薬局業界へ参入する場合も、M&Aを行うのがおすすめです。調剤薬局業界に算入するためには、薬剤師確保だけではなく、許認可も必要になります。そのため、新規参入が難しい業界だと言われています。
しかしM&Aで買収すれば、薬剤師や許認可を引き継ぐことができるのです。そのまま参入できるので、新規参入を狙う企業にとってもM&Aは魅力的な方法だと言えるでしょう。
・地域の信用を得られる
地域密着型のサービス提供している調剤薬局を買収できれば、地域からの信用も得られます。チェーン展開している調剤薬局の場合だと、近隣の地域にも店舗展開しているケースも多いです。ブランド化することで地域の信用を得ているパターンもあります。
このような調剤薬局を買収できれば、ブランドを獲得できます。固定顧客も得られるので、一石二鳥です。別の地域に進出を考えている場合は、地域密着型のサービス提供している調剤薬局やブランド化して多店舗展開している調剤薬局を狙うのがおすすめです。
【売り手側のメリット】
・後継者問題を解決できる
近年、調剤薬局のオーナーは高齢化率が高くなっています。身内や従業員の中に後継者候補がいれば問題ありませんが、そうでないケースも多く見られます。特に小規模な調剤薬局では大きな問題になっているのです。
そのようなケースでもM&Aは有効な手段です。独立したいと考える薬剤師と出会うことができ、閉業を免れる可能性も大いにあります。
・創業利益を獲得できる
売り手側のメリットには、創業利益を獲得できるという点も挙げられます。後継者が見つからずに閉業することになったら、従業員の再雇用に関する不安が付きまといますし、廃業コストもかかります。メンタル的にも金銭的にも負担になってしまうので、何とかしたいと考えるものです。
しかし、売却できれば従業員の雇用は確保されます。また、売却益を得られるのでメリットは大きいと言えるでしょう。調剤薬局は許認可制であり薬剤師が必要になるため、事業売却による売却益は他の業種よりも高くなるケースが多いです。
調剤薬局のM&Aには、このようなメリットが期待できます。買い手側も売り手側もメリットを享受できるため、利害関係が一致する企業や薬剤師に出会うことができたなら、前向きに検討してみてください。
■調剤薬局M&Aを検討しているならアテックへ!
調剤薬局M&Aを行うためには、専門的な知識が必要になります。そのため、専門的な知識を持つ企業などからサポートを受けることが重要です。M&Aを行っている企業はいくつもありますが、調剤薬局のM&Aを行う場合はアテックへご相談ください。アテックは、1991年から現在に至るまで独立したい薬剤師と後継者を探している調剤薬局のマッチングをサポートしてきました。多くの実績があるため、それぞれの状況に合わせた提案やアドバイスが可能です。
アテックでは、ファーママーケットというマッチングサービスを提供しています。ファーママーケットは、調剤薬局を売却したいオーナーと買収を検討している薬剤師・企業が出会うためのサポートを行っています。理想的なM&Aを実現できる可能性が高まるので、迷っているなら利用してみてください。
また、どうしたらいいのかわからないといった場合も、お気軽にアテックまでご相談ください。M&Aに関する知識を持つスタッフが相談に乗り、アドバイスをさせていただきます。