
こうした状況下で、調剤薬局はオンライン服薬指導を含む新たな薬局の在り方を模索している最中でもあります。模索しながらも売上を伸ばしている調剤薬局も当然あります。そこで今回は、2022年度版の調剤薬局売上高ランキングや今後の業界動向、大手に負けない戦略を打ち出すためのヒントについて解説していきます。
■【2022年版】調剤薬局売上高ランキング
まずは、2022年度の決算情報などを確認し、調剤薬局売上高ランキングがどのようになっているかご紹介します。・第1位 株式会社アインホールディングス
株式会社アインホールディングスは、北海道札幌市に本社を構えている会社です。ファーマシー事業の売上高は、2,831億1,100万円となっています。全国各地に調剤薬局やドラッグストアチェーンを展開するアインファーマシーズなどを傘下に置いている持株会社です。
受診緩和による処方箋枚数の回復が好影響を与えています。また、2022年5月にはファーマシィホールディングスを子会社化することが発表され、M&Aや新規出店を積極的に行っている様子も垣間見えました。その結果、売上高は2021年度と比べて7.6%も増加しています。
また、「いつでもアイン薬局」というアプリの運用もスタートしています。アプリを使うことにより、薬剤師とチャットやビデオ通話を使った相談が容易になり、オンライン服薬指導も実現可能となりました。オンライン服薬指導から結成までアプリで完結するという点も、「いつでもアイン薬局」を利用する大きなメリットです。
参考:https://f.irbank.net/pdf/20220603/140120220603570083.pdf#page=18
・第2位 日本調剤株式会社
日本調剤株式会社は、東京都千代田区に本社を構えている会社です。調剤薬局事業の売上高は、2,656億2,400万円となっています。調剤薬局チェーンの全国展開や医療従事者の派遣・紹介事業を行っています。
2021年8月にはハート調剤薬局、2022年11月にはヤジマメディカルブレーンとデュオンとの合併を相次いで発表しました。いずれも子会社です。子会社の吸収による積極的な店舗拡大を行うことで、2021年度よりも2022年度は8.8%の増収という結果が出ています。
また、調剤専業企業としては全国初の「DX認定取得事業者」に認定されたという実績も有しています。2022年9月にはオンライン上で服薬指導が行える「NiCOMS(ニコムス)」を使っている人が5万人を突破したと発表したことからも、さらなる成長が期待できます。
参考:https://data.swcms.net/file/nicho-ir/dam/jcr:caf56744-886b-4b5f-b991-0e49dbd6371c/S100ODNS.pdf#page=17
・第3位 クオールホールディングス株式会社
クオールホールディングス株式会社は、東京都港区に本社を構えている会社です。保険薬局事業の売上高は、1,531億400万円となっています。前身は調剤薬局や医薬品の販売事業ですが、現在は医療業界向けの人材派遣やCRO事業(医薬品開発の臨床試験、製造販売後調査、安全性情報管理を行う事業)にも取り組んでいます。
地域密着型の調剤薬局を複数件買収することで、店舗数を増やし、2021年と比べると2.9%の増収に成功しているのです。LINEアプリ「クオールおくすり便」の運用をスタートし、処方箋の事前予約や健康状況の提供を行っています。
また、2022年6月には医薬品の輸送にドローンを使った実証実験を行ったことがホームページで確認できます。さらに2022年11月に、グループ会社である藤永製薬が新型コロナ抗原検査キットの製造販売承認を得たことも発表しました。
参考:https://ssl4.eir-parts.net/doc/3034/yuho_pdf/S100OL51/00.pdf#page=13
・第4位 株式会社メディカルシステムネットワーク
株式会社メディカルシステムネットワークは、北海道札幌市に本社を構えている会社です。地域薬局ネットワーク事業の売上高は、1,014億5,700万円となっています。2022年は2021年と比べると2.3%の増収という結果です。
「なの花薬局」の運営が事業の中心となっています。その他には加盟登録した一般保険薬局に対する医薬品の調達、薬剤師の研修などの支援サービスも行っています。支援サービスの需要が著しく減る可能性は低いと考えられるため、将来性も期待できる会社だと言えるでしょう。
参考:https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08326/29c85ae7/8159/4101/b2ab/70f165f2b000/S100OCU3.pdf#page=15
・第5位 東邦ホールディングス株式会社(共創未来グループ)
東邦ホールディングス株式会社は、東京都世田谷区に本社を構えている会社です。調剤薬局事業の売上高は918億100万円となっています。2021年と比較すると0.8%の増収という結果です。
医薬品卸売会社である東邦薬品が中核を担っています。その他には、調剤薬局や治験施設の支援、医薬品の製造など、幅広い事業を展開しています。多くの事業を行うことが成長の秘訣だと考えられるでしょう。
参考:https://data.swcms.net/file/tohohd/dam/jcr:b58ace25-6eeb-4f73-81df-ba2810743b19/S100OLHO.pdf#page=16
・第6位 株式会社スズケン
株式会社スズケンは、愛知県名古屋市に本社を構えている会社です。保険薬局事業の売上高は、888億2,100万円となっています。2021年度比べると1.4%減収しています。
医療用医薬品の大手卸売会社として、自社システムを取り入れた在庫の最適化、廃棄ロスの削減に注力している点が特徴です。ファーコス薬局の運営元でもあります。
参考:https://ssl4.eir-parts.net/doc/9987/yuho_pdf/S100OCGE/00.pdf#page=19
・第7位 たんぽぽ薬局株式会社(株式会社トーカイ)
株式会社トーカイは、岐阜県岐阜市に本社を構えている会社です。調剤サービスの売上高は465億6,100万円となっています。2021年と比べてみると、5.6%増収しています。
岐阜県や愛知県を中心とした中国地方に店舗を多く展開している会社です。親会社の株式会社トーカイは、病院向けのリネンサービスや介護用品のレンタル事業をメインで行っています。
参考:https://ssl4.eir-parts.net/doc/9729/yuho_pdf/S100OH1I/00.pdf#page=12
・第8位 ファーマライズホールディングス株式会社
ファーマライズホールディングス株式会社は、東京都中野区に本社を構えている会社です。調剤薬局事業の売上高は420億3,800万円で、2021年から1.2%減収しています。
ファーマライズ薬局などを全国展開してるのがこちらの会社です。薬局の他にも化粧品などの販売や、カルテ・レントゲン・病理標本などの保管・管理を行う事業も行っています。
参考:https://www.38-8931.com/pharma-labo/column/oote_tenpo.php
・第9位 ショップヘルスケアホールディングス株式会社
ショップヘルスケアホールディングス株式会社は、大阪府吹田市に本社を構えている会社です。調剤薬局事業の売上高は289億3,000万円となっています。2021年比だと6.9%の増収です。
日星薬局などの調剤薬局を運営しています。さらに、医療機関向けのコンサルや介護老人ホーム、先進医療施設、給食事業など、幅広い事業を展開している会社でもあります。
参考:https://www.shiphd.co.jp/blog/irs/ff8f06d20b6c29075ba2f979750510e24a73b1af.pdf#page=23
・第10位 株式会社メディカル一光グループ
株式会社メディカル一光グループは、三重県津市に本社を構えている会社です。調剤薬局事業の売上高は227億3,100万円となっています。2021年比は3.1%の増収という結果です。
フラワー薬局の運営をメインに行っています。その他にも、三重県が地盤になっている調剤薬局チェーンの運営にも力を入れています。
参考:https://www.m-ikkou.co.jp/pdf/2022/iru20220526/index.pdf#page=17
■【2022年版】調剤薬局の店舗数ランキング
調剤薬局の売上高だけではなく店舗数が気になる人もいるでしょう。続いては、2022年度版の調剤薬局の店舗数ランキングもご紹介します。・第1位 株式会社アインホールディングス
株式会社アインホールディングスは、全国に1,099店舗を展開しています。業界でもトップクラスの店舗数で、シェアは全体の1.8%です。
・クオールホールディングス株式会社
クオールホールディングス株式会社は、837店舗を展開しています。街ナカ薬局や駅チカ薬局として、ローソンや小田急、東急にも出店しています。シェアは全体の1.4%です。
・第3位 総合メディカル株式会社
総合メディカル株式会社は全国に742店舗を展開しています。総合薬局を中心として、全国展開している会社です。シェアは全体の1.2%となっています。
・第4位 日本調剤株式会社
総合メディカル株式会社、全国に697店舗展開しています。シェアは全体の1.1%です。
・第5位 株式会社スズケン
株式会社スズケンは、593店舗を展開しています。保険薬局事業を行う子会社は3つあり、北海道から四国まで広範囲に店舗展開しているのが特徴です。シェアは全体の1.0%になります。
・第6位 東邦ホールディングス株式会社(共創未来グループ)
東邦ホールディングス株式会は、連結子会社の合計で540店舗を展開しています。シェアは全体の0.9%です。関東地方がメインです。
・第7位 I&H株式会社
I&H株式会社は516店舗展開している会社です。シェアは全体の0.8%です。関西圏を中心に、阪神調剤薬局やコトブキ薬局などを展開しています。
・第8位 株式会社メディカルシステムネットワーク
株式会社メディカルシステムネットワークの店舗数は、425店舗です。シェアは全体の0.7%です。北海道や関東エリアがメインとなっています。
・第9位 株式会社アイセイ薬局
株式会社アイセイ薬局は397店舗を展開しています。シェアは全体の0.7%です。関東エリアがメインですが、東北から関西まで広く展開しているのが特徴です。
・第10位 ファーマライズホールディングス株式会社
ファーマライズホールディングス株式会社は、301店舗を展開しています。シェアは全体の0.5%です。
■今後の業界動向はどうなっていく?
比較的右肩上がりになっている調剤薬局もありますが、そのような薬局は積極的に変化しようとしています。続いては、今後の調剤薬局がどのように変化していくのか、どのような薬剤師が求められているのか、といった点について解説していきます。・注目されるのは連携薬局の動向
調剤薬局は、調剤報酬の改定などによって大きな変化が起こります。2021年8月には連携薬局の認定制度が始まりました。2022年8月の段階だと、地域連携薬局は約2,600件、専門医療機関連携薬局は約110件です。
薬局の数は6万件を超えるため、連携薬局はまだまだ普及していないと言えるでしょう。専門医療機関連携薬局の場合は、外来がん治療専門薬剤師が常駐していなければいけないなどの厳しい要件があるので、余計に数が伸びていないと考えられます。大手チェーンでは、外来がん治療専門薬剤師の育成プログラムを設けて支援しているところもあるので、今後はそのような企業の動向にさらなる注目が集まると予想できるでしょう。
・オンライン服薬指導の普及
電子おくすり手帳などが普及することにより、調剤薬局では一人ひとりの服薬や健康情報を電子データで取得できるようになりました。それに伴い、オンライン服薬指導の利用者も増えつつあります。2023年1月からは電子処方箋の本格適用もスタートしているので、薬局業務をICT化するのは必要不可欠だと言えるでしょう。
ICT化には一定の投資が必要です。そのため、資金調達や人員確保を目的としたM&Aは今後も行われ続けると考えられます。
・求められる薬剤師像
これからの調剤薬局に求められているのは、オンライン服薬指導や連携薬局などの新たな取り組みに適応できる薬剤師です。オンライン服薬指導を導入する調剤薬局も増えているので、画面越しのコミュニケーションでも信頼してもらえるようなコミュニケーション力を持つ人材が必要となります。時代の変化に対応できる適応力があれば、求められているパフォーマンスを発揮できる可能性が高いでしょう。
また、専門医療機関連携薬局認定の取得を目指す企業も増えています。専門医療機関連携薬局の要件に含まれている外来がん治療専門薬剤師(BPACC)を持つ薬剤師の市場価値はさらに高まるでしょう。
今後は、オンライン服薬指導などがさらに普及し、専門性の高い薬剤師が求められるようになる可能性が高いです。時代の変化に合わせた調剤薬局経営を行うために、M&Aを検討するケースもあります。現在運営している調剤薬局の状況を加味し、どのような方法が時代のニーズに合うのかよく考えてみましょう。
■大手に負けない戦略を打ち出すためのM&Aならアテックへ!
調剤薬局に限ったことではありませんが、大手に勝つためには何らかの強みを持つことが重要となります。調剤薬局の場合は、外来がん治療専門薬剤師(BPACC)が在籍する調剤薬局にする、オンライン服薬指導などの新たな取り組みを積極的に行うといった点がポイントになるでしょう。これらを実現するには採用やコストの問題が出てくるため、M&Aを検討するケースが増えているのです。調剤薬局のM&Aを考えているのであれば、1991年に創業して以来多くのM&Aを成功させてきたアテックにご相談ください。アテックでは、M&Aのマッチングサービス(ファーママーケット)も提供しているため、理想の買い手や売り手を見つけやすくなっています。少しでも興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。