薬局の経営に携わる薬局オーナーもいずれは引退を考えなければなりません。しかし、なかなか引退できないと悩む人が多いのが現実です。
薬局オーナーを引退するにあたり、誰が跡を継ぐのか後継者を見つける必要があります。この問題が引退を遠ざける要因になっているようです。その一方で、後継者を探す方法としてM&Aを活用する薬局オーナーが増えています。引退を考えている薬局オーナー向けに、引退方法や事業継承についてご紹介しましょう。
目次
1.引退は誰にでもやってくるもの
薬局業界に限らず、会社のトップはいずれ引退が訪れます。引退をする理由は人それぞれありますが、年齢や健康への不安、老後人生の理想、目まぐるしく変化する業界事情などがあげられるでしょう。薬局オーナーも同じような理由で引退を考えている方は少なくないと思われます。
しかし、会社のトップが引退することは簡単ではありません。なぜなら、薬局オーナーは経営の責任を負う立場であり、引退により薬局を利用される患者様をはじめ、自社で働く従業員、事業に深く関わる医療関係者などに多大な迷惑をかけてしまう恐れがあります。迷惑をかけずに引退をするためには、しっかりとした手順を踏んで引退をする必要があるのです。
2.誰もが安心できる引退をすること
ハッピーリタイアという言葉を知っていますか?ハッピーリタイアとは豊かな老後資金を確保し、充実した引退生活を行うことです。薬局オーナーを引退すれば、忙しい日々や重い責任から解放され、自由で豊かな老後人生を歩めます。
本当のハッピーリタイアを目指すのであれば、自分だけではなく薬局や従業員達への配慮も必要です。適切な後継者がいない状態での引退は薬局を潰すリスクがあります。そうなると路頭に迷う従業員も出てくるでしょう。
外部に引き継いだとしても、適任ではないオーナーだとサービスの質が下がったり、薬局の名前が変更されたり、従業員の解雇や不当な扱いなど自分の経営理念や理想とは違った形になる恐れがあります。
薬局に携わる全ての人が幸せであり、安心して引退できる状態が本当のハッピーリタイアではないでしょうか?そう考えると、事業継承は慎重に行わなければなりません。
3.薬局オーナー引退の方法は?
薬局オーナーが迷惑をかけることなく引退をするためには、次のトップを決めて自分の立場や業務を引き継いでもらう必要があります。つまり、後継者を見つける必要があります。
後継者と聞くと、まず浮かぶのは子どもの存在です。子どもに事業継承をしたいと考えている方は、子どもが幼い頃から意識させていることもあるでしょう。ですが、最近は子どもの意思を尊重している方も多くみられます。子どもが後継者になれない場合、自社で働く従業員から選ぶか外部から後継者を探す必要があるでしょう。
薬局オーナーがなかなか引退できない理由は後継者が見つからないことです。後継者は、具体的には自分の子どもか従業員、薬局M&Aによる第三者があげられます。引退後は後継者が会社や従業員を牽引していかなければならないため、慎重に後継者を選ぶ必要がありますが、子どもと従業員、M&Aのどれを選ぶべきなのでしょうか?
3-1.子どもに継がせる
後継者として最も有力なのが子どもへ継がせることでしょう。内部と外部両方から心情的に受け入れられやすく、早期に決定すれば準備期間を確保しやすいメリットがあります。
子どもに事業を継承する場合、後継者が安定して経営を行えるように生前や遺言で株式を贈与するのが望ましいです。株式は相続財産の1つなので、相続人に分配される可能性があるでしょう。
会社や後継者が事業継承で株式を手に入れる場合、政府系金融機関の融資を低利で受けられる可能性があるので、株式は後継者の元にあると良いと言えます。ただ、他の相続人とトラブルになりやすいので、後継者以外の相続人への配慮を考えることも大切です。
薬剤師を扱うのは難しい・・・子どもの経済能力に期待するべき?
薬局業界特有の話ですが、一般企業とは異なり医療関係の知識が必要となる事業です。そのため、薬剤師ではないオーナーが薬剤師の従業員を扱うのは容易なことでありません。理想は自分の子どもが薬剤師になり、家業を継いでくれることでしょう。
ところが、最近は家業を継がない子どもが増えています。親も子どもの意思を尊重するケースが増えているため、薬剤師を目指さないことがあるのです。また、家業を継ぎたいと思っていても、能力不足や自信のなさから引き継げないと考える方もいらっしゃいます。
子どもの事情ではなく、オーナー自身が子どもに継がせたくないと考えることもあります。経営の難しさはオーナー本人が一番理解しています。無理に継がせても子どもや従業員に負担をかけてしまうため、事業継承・M&Aを避ける薬局オーナーは少なくないのです。
3-2.従業員に継がせる
後継者にふさわしい従業員がいるのであれば、従業員から選択する方法も良いです。また適した人物が社内にいない場合、取引先にヘッドハンティングしたり、募集をかけて優秀な人材を確保したりして、後継者を人選する方法もあります。経営力や薬剤知識を重視する場合に有効でしょう。
親族以外が継ぐ場合、関係者から理解を得られるまで時間がかかることもあります。スムーズに事業継承ができるように、現役の時から後継者を早めに発表し、従業員や関係者から理解を得ることが大切です。また、後継者を役員にし、経営理念や感覚を身につけさせること、引退後は一定期間バックアップに回るなどの工夫が求められます。
従業員に買えるだけの資金力があるか・・・借金をするべきか
従業員が後継者になる場合、素質だけではどうにもならないこともあります。株式を譲渡する場合、買うための資金が必要です。例えば、時価総額が3億円であれば買い手は3億円の資金が必要になります。従業員にこれだけの資産があれば問題はありませんが、現実的に考えると難しいことも多いでしょう。
お金を借りて買う手段がありますが、経営では経営者が自ら負担をかぶって資金を捻出する場面もあります。多額の借金に別の負債を抱えるとなると倒産の危機も考えられるでしょう。借金を負わせてまで引き継がせるメリットはありません。
3-3.薬局M&Aで継がせる
後継者がいないことで薬局を売る人が増えており、それに合わせて買い手も増えています。今、大手や中堅チェーン薬局はどんどん出店を増やしており、競争が続いています。この競争を勝つために、店舗をつくりあげるよりも、既に経営の基盤が整った店舗を譲り受けた方が大きなメリットがあるのです。
M&Aは薬局の売り手と買い手をマッチングさせるものであり、譲受希望者も増えているため後継者を選ぶ幅も広がります。ビジネスライクを提示して、それに応えてくれる新しいオーナーを見つけられることができれば、理想的な引退が可能でしょう。
4.薬局M&Aは引退の有力な手段
後継者がいなくて引退ができない、と悩んでおられるのであれば、M&Aを活用してみませんか?譲受する買い手は資金力や経営力を持っているので、安定した経営が期待できます。安心して譲渡できるように、M&Aでは条件を提示し買い手探しや交渉を行います。
しかし、条件次第では交渉が初期段階で決裂するリスクもあるでしょう。どのような人や会社に譲渡したいのか、希望をしっかり考えることが大切です。また、条件を考えるにあたり、自社株や薬局の評価は適切に行いましょう。薬局M&Aを専門にした会社では専門家のアドバイスやマッチングが受けられ、一人で進めるより安心してM&Aを行なうことができます。
後継者がおらず、お店を閉めないと引退が難しいと考える薬局オーナーも、引退の方法としてM&Aで後継者を探すのが有効な手段の1つです。薬局M&Aの実績を持つ会社であれば、悩みを相談しやすく適切なアドバイスが受けられるので、ミスマッチを防ぐこともできるでしょう。薬局オーナーでハッピーリタイアを考えている方は、後継者探しに。是非M&Aの活用を検討してみてください。