薬局の事業継承・M&Aが必要とされている日本の事情とは?

今、薬局事業の継承者がいないことが問題になっていることは、ご存知でしょうか?

個人経営の場合、後継者がいないことでやむを得ず廃業してしまう薬局も少なくないのです。

その一方で、M&Aで事業を継承する薬局も増えつつあります。

薬局の事業継承でM&Aが求められている理由についてご紹介しましょう。

1.個人薬局の継続者がいない事情

日本には約247万もの株式会社があり、そのうち60歳以上の経営者の数は120万社にも及ぶと言われています。

経営者であればずっと現役でいたいのが本音かと思いますが、万が一の場合や会社の将来を考えれば後継者は必要です。

自分の子どもが引き継いでくれれば問題はありませんが、必ずしも経営者としてふさわしいかと言われると判断に悩む方も少なくないでしょう。

後継者候補の子どもの中には、今の自分の仕事の方が大事と考えて継がない場合もあります。

経営者は会社のトップであり、業績を維持できる実力を持つ人を選ぶ必要があるため、継承者探しは容易なことではないのです。

薬局も例外ではなく、オーナーとしての能力があり、快く引き受けてくれる後継者を見つける必要があります。

しかし、帝国データバンクが公表している2016年の後続者問題に関する調査によると、日本企業の66%の企業は継続者がいない状況と深刻な状況であると言えます。

2.M&A以外の選択肢

後継者問題が生じた時、M&A以外に3つの選択肢があります。

それぞれの特徴をみていきましょう。

・身内へ事業継承

親族や自社の社員に会社の経営を引き継いでもらう方法です。

会社を存続させられ、雇用している従業員や取引先との関係も保つことができます。

しかし、事業継承は役職や権限だけではなく、経営者の個人保証や担保も引き継がれるので、誰に引き継いでもらうか後継者選びは慎重に行わなければならないでしょう。

引き継ぐ相手が決まれば、正式に継承するまで教育も必要であり、数年単位でスケジュールを立てる必要があります。

・株式公開

自社株式を新規上場し、証券取引所で第三者による売買ができる方法です。

所有する株式を売ることで経営者は大きな利益を得られる可能性があり、その資産を親族へ事業継承する時に生じる相続税に充てることができます。

ただ、株式公開には何度も審査があるので、中小企業や個人経営ではハードルが高いと言えます。

株式の流通は社会的に注目や価値、信頼の上昇に期待できますが、経営面では社外から何かしらの影響を受ける可能性はあるでしょう。

上場を維持するためには多額の利益を維持する必要があり、また事業拡大も続ける必要があるので個人薬局には難しい手段だと言えます。

・廃業

手を尽くしても後継者がいないとなれば、廃業の選択肢が浮かぶでしょう。

保有する在庫や土地、建物などの換金できる価値があれば、負債などの費用を清算しても多少は資金が残るかもしれません。

しかし、ほとんどの資産は半値からゼロの評価が多いので、あまり期待はできません。

含み益のある資産であれば、法人税もかかってしまいます。

清算配当時は株主に所得税などの税金がかかってしまうでしょう。

廃業は従業員の雇用や取引先の関係でも悪影響が残り、負債が完済できなければ廃業後も金銭で苦しむことになります。

廃業は最終手段でありますが、実行するにも多額のコストがかかることを理解しておきましょう。

3.薬局事業継承にM&Aが必要とされている理由

後継者問題の選択肢をご紹介しましたが、薬局の事業継承としてM&Aが注目されています。

M&Aを活用して事業継承を行うメリットは何か、薬局の後継者問題で必要とされている理由をご紹介しましょう。

・ハッピーリタイアにつながるM&A

M&Aは合併や買収のことで、親族を除く第三者に事業と資本を継承してもらう手法です。

これを活用すれば後継者探しに苦労する必要がなく、従業員の雇用や取引先との関係も継続することができます。

上記でも説明しましたが、廃業はコストが大きく利得を得にくいです。

しかし、M&Aなら経営者としての責任や個人保証から解放され、税制・営業権の評価で廃業以上に利得を得られるでしょう。

難しいと思っていたハッピーリタイアも夢ではありません。

・薬局のM&Aは誰に求められているのか

通常、M&Aは事業を拡大したい企業を企業が買収するケースが多いです。

調剤薬局のような個人経営の薬局の場合、M&Aを求めているのは主に同じ薬局のオーナーです。

なぜ同じ薬局オーナーが買収したいのかというと、支店を増やし事業拡大を図ろうとしているからです。

自ら新しい店舗をつくるとなるとコストと時間がかかってしまうので、素早くコストを抑えて拡大する方法としてM&Aが選ばれています。

既存の薬局なら固定客が既についている状態なので、イチから集客を行う手間も省けます。

中には事業拡大ではなく、独立のために薬局を買収する薬剤師もいます。

こちらも新規で始めるよりもコストがかかりにくく、利用者がいる状態なので集客のリスクも軽減できます。

・薬局オーナーの利点

M&Aを活用することで、薬局オーナーにとって大きな利点は後継者問題を解決できることでしょう。

また、オーナーの利益を最大化できる点も魅力的です。

廃業は書類の作成や提出、コストもかかります。

土地を売却すれば利益は得られるものの、負債が大きければ残るものも少ないと言えます。

一方、M&Aは事業を売却する方法なので、手元にはその売却で得た利益が残るため、廃業に比べて利益の最大化を図れるのです。

事業継承を行っても薬局オーナー自身の人生は終わっておらず、得た利益から新たに事業を始めても良いですし、老後の資金として残しておくということもできます。

年金が減らされる、受給までの年齢が伸びるなど、人生には不確定な要素が多いので、資金は多いに越したことはないでしょう。

4.薬局のM&Aを行うにはどうしたらいい?

ハッピーリタイアにつながる薬局のM&Aですが、準備が不十分だと良い相手や希望条件が叶わない可能性があります。

そうなると、ハッピーリタイアとは少しかけ離れてしまうかもしれません。

また、M&Aを行うにはどうしたらいいのか分からない方も多いでしょう。

まずは、薬局の売却を求めている人を探す必要があります。

しかし、個人で探すとなると手間がかかり、また希望どおりの売却にならない可能性もあるでしょう。

そこで、活用したいのが仲介会社ですが、その仲介会社も数多くあるので慎重に検討しなければなりません。

アテックは調剤薬局を専門にしているM&Aの仲介会社です。

主役は薬局オーナーと考えており、オーナーの希望を最大限実現するように中立の立場でサポートしてくれます。

後継者の候補は大手チェーン店や中堅チェーンのグループ会社など実績を持つ候補者が多く、信頼できる後継候補者とめぐり合うことができるでしょう。

調剤薬局業界を事情や現場を理解している仲介会社だからこそ、安心してM&Aを進めることができると言えます。

アテックはM&Aのマッチングサイト「ファーママーケット」も運営しているので、薬局M&Aを検討されている方はそちらも活用してみましょう。

薬局は一般企業に比べて専門性が高く、後継者探しは一段と苦労を強いられるでしょう。

事業継承では様々な選択肢があるものの、デメリットも少なくありません。

その点、M&Aは自分が守ってきた薬局を存続でき、なおかつ利得を得てハッピーリタイアすることができます。

後継者問題が増えている日本だからこそ、薬局の事業継承にM&Aという選択が必要になっていると言えるでしょう。

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