どこにでもある薬局ですが、近年は後継者が見つからないことを理由に廃業してしまう薬局も少なくありません。
特に薬局が少ないエリアとなれば、廃業されると困る方も少なくないでしょう。
薬局オーナー自身も本当は存続させたいと思っている方がほとんどです。
そこで、最近増えているのが薬局のM&Aです。
M&Aは身内以外の第三者に事業を売却するものであり、廃業を回避してハッピーリタイアができるとされています。
そんなM&Aを行う場合、企業価値が重要とされています。
なぜ企業価値が重要なのか、薬局ではどのように決まるのかご紹介しましょう。
1.M&Aで企業価値が重要な理由
M&Aで薬局を売却することを決めた場合、まず行うのは企業価値の評価です。
企業価値を評価するのはM&Aに特化した公認会計士か税理士になります。
一般的に、3年分の決算書があれば企業価値評価が可能です。
この企業価値の評価によって、M&Aを行う際に薬局がどのくらいで買収されるのか目安を知ることができます。
企業価値はM&Aでのおおよその買収価格を知るために必要なので、M&Aでは重要とされているのです。
2.買収価格の目安を知る必要性
では、なぜM&Aでの買収価格の目安を知る必要があるのでしょうか?
それは、M&Aでの薬局売却の意思決定が難しくなるからです。
もし想像以上に買収価格が低い場合、もしかして売却よりも薬局を継続した方が大きな利得になる可能性もあります。
売却や相続よりも、廃業の方が無難という可能性も出てくるでしょう。
本当に売却した方がいいのか、相続か廃業の方がいいのか、これらの判断は価格が分からなければできません。
また、企業評価は薬局の買主を探す際にも必要不可欠です。
どのくらいで売れるのか基準が分からないと、どんな人、買主を探すのか目安が見つかりません。
企業価値が高い薬局であっても、交渉相手の資金力が低ければ企業価値以下の価格で取引されることになるでしょう。
薬局の企業価値にマッチした買主を探すためにも、企業価値から買収価格を把握することは大切なのです。
3.企業価値を知って交渉を有利に
M&Aは交渉により取引が決定されますが、買主が提示された買収価格が適切かどうかは企業価値が分からないと判断できません。
運良く資金力のある買主とマッチングできたとしても、買収価格の目安が分からないと実際はかなり安い価格で取引している可能性があります。
取引が成立するまで分からないことなので、適正価格であるのか疑心暗鬼に陥る薬局オーナーも出てくるでしょう。
疑心暗鬼になると決意したM&Aも中断となり、友好的な買主とめぐり合うチャンスも逃し、スタート地点に戻ってしまいます。
企業価値を知れば適正価格かどうか見極めることができ、自分と相手の両方に得のある交渉が有利にできるでしょう。
もし企業価値評価が低いと分かっても、経営施策を見直すことで買収価格が上がることもあるので、企業価値はM&Aを決めた時に知っておいた方が良いのです。
4.薬局業界の企業価値の目安
直近決算から損益面を見てみると、上場している大手薬局は経営黒字傾向に向かっています。
しかし、財務面では敷金・保証金、薬局の建設費、店舗用品、固定資産の投資などのコストがかかっており、預金よりも借入が超過している薬局も少なくありません
。地域密着型の薬局がM&Aを検討する場合は、資産、売上、利益といった財務面だけではなく、点在するエリアや在庫管理のシステム状況、資格の有無などを含めた従業員の構成なども企業価値に関わってくると言えます。
薬局の中には病院の前に点在しているケースもあるでしょう。
専門の小売業である薬局は立地産業としての色が濃く、病院の入口が変更されると薬局の売上にも関わると言われていた時期もあります。
出展戦略として好立地の薬局をM&Aで押さえていたケースもあります。
以前の市場では病院門前などの薬局が高値で買収されていたのです。
しかし、2018年度からの診療報酬改定により、病院門前にチェーン店を複数出店することで集中率を下げるケースにも策を講じられました。
そのため、病院門前の薬局が有利とは断言できなくなっているのです。
一方、高齢化社会により医療のニーズも変化しており、例えば在宅医療など国が求めている薬局の在り方で営業する薬局に高い企業価値がつくのではないかと予想されています。
5.薬局の買収で評価される要素
M&Aで薬局を買収する時、企業価値で評価される要素とは何なのでしょうか?
主に営業権価格、時価純資産価額の2つを総合的に見て算出されています。
・営業権価格
買収予定の薬局がどのくらいの利益を上げられるかという観点から評価される価格になります。
もし営業権価格がたくさんの利益を上がられると評価されたとすると、買収される時の評価額も高くなるでしょう。
営業権価格は事業での利益以外にも、経営のリスクや薬局の将来性も考慮した上で求められています。
なお、買収候補者は薬局が3年から5年の間、経営状況がどうなるか推移した上で買収を決定するのが一般的です。
・時価純資産価額
時価純資産価額とは、薬局の設備、棚卸資産、売掛金などの資産が評価されたものです。
純資産が豊かな薬局であっても、後継者問題で経営の存続が困難な場合、M&Aを検討するケースが増えています。
このような理由で売却を決定した場合、時価純資産価額で高い評価を得られる可能性があるでしょう。
純資産が潤沢である場合は、M&Aを検討した方が良いと言えます。
この2つの要素はM&Aにおける評価の目安であるため、経営状況や業績が伸びると判断される場合はもっと高い評価額に期待できるでしょう。
逆に低いことが分かれば、M&Aを行う前に経営を見直して評価額のアップにつなげてください。
6.薬局M&Aを行うには?
薬局存続の窮地を救うであろうM&Aですが、どうやって買主を見つければいいのか分からないことも多いでしょう。
買主を探す方法は仲介会社の利用、マッチングサイトに掲載するといった方法があります。
初めてM&Aを行う方がほとんどでしょうから、様々な不安があるオーナーは仲介会社の利用がおすすめです。
アテックは薬局に特化したM&Aの仲介会社になります。
創業当時から薬局を対象にM&Aの仲介サービスを提供しており、買収を希望する薬局オーナーの理想を実現するために中立の立場でM&Aをサポートしています。
アテックを利用するメリットは、専門性が高いところでしょう。
元薬局オーナーや薬剤師が役員にいるため、薬局業界に詳しく相談しやすいと言えます。
事業継承の候補者も大手チェーン店、中堅チェーン店から独立を希望する薬剤師など優良な候補者が多数登録しているので、薬局オーナーのニーズにあったM&Aを実現できるでしょう。
また、アテックはマッチングサイトの「ファーママーケット」も運用しています。
売却情報や購入希望一覧が多数掲載しており、企業価値を知って買主探しの際に活用してみましょう。
M&Aを有利に進めるためには薬局の企業価値を把握することが大切であり、買収では営業権価格と時価純資産価額が評価に影響してきます。
しかし、経営が赤字だからといってM&Aが不利になることはありません。
なぜなら、売主は業績だけではなく、自社と相乗効果があるのかどうかも評価しているからです。
赤字や後継者がおらず事業継承が難しい場合でも、買主が薬局に将来性を感じとっていれば、契約を成立させることができます。
薬局M&Aでは不安なことや疑問も多いと思うので、アテックへ気軽に相談から始めてみましょう。