近年、薬局M&Aは増加傾向にありますが、それは調剤薬局の後継者不足が深刻化しているといった1つの要因があります。
しかしそれと同時に、開業したいと考える薬剤師も増えており、薬局M&Aを利用して既存の調剤薬局を譲受したいというケースも増えているのです。
それには、薬剤師の独立における新規開業にはリスクがあるということが背景にあります。
では、調剤薬局のオーナーが開業したい薬剤師に譲渡するメリット・デメリットはどのようなものが挙げられるのでしょうか?
新規開業にはリスクがある
そもそも、薬剤師が新規の薬局を開業することでどのようなリスクがあるのでしょうか?
その1つが、運営が軌道に乗るまで時間が必要なため、赤字が累積してしまったり、資金に余裕がなくなってしまう可能性があるということです。
実際に、大手の調剤薬局チェーンにおいても、開業わずか1年で撤退するケースもあります。
独立直後に資金不足に悩まされれば、開業しても精神的に追い込まれてしまうでしょう。
また、そのほかに処方箋枚数が思うように伸びず、投資回収できないという点も挙げられます。
調剤薬局を開業する際には、病院の医長や立地条件など、様々な条件を踏まえてその場所を検討することでしょう。
しかし、想像以上に処方箋枚数が伸びなければ、利益が少なくなってしまうこともあります。
収支が思うようにいかず、将来の想定ができないというケースも多いのです。
このようなリスクからたとえ独立を考えていても、新規開業することに思いとどまってしまう薬剤師も少なくありません。
薬局M&Aの魅力
薬局M&Aは、引退を検討しているオーナーにとって利用しやすい事業継承の方法の1つとなっています。
しかしそれは、開業を考えている薬剤師も同じです。
既存の調剤薬局を譲受することは、独立を考えている薬剤師にとってもメリットが多いからです。
そもそも、調剤薬局に従事しながら、ゆくゆくは独立したいと考えている薬剤師は少なくありません。
また、それと同時にそういった方に共通しているのが、地域に根差した経営をしていきたいと考えているということです。
現在、調剤薬局の事業継承を考えているオーナーはたくさんいます。
それは、団塊世代が引退年齢に入っているということや、後継者不足などによる経営難などが大きな要因となっています。
しかし、長年築き上げてきた実績や信頼は何にも代えがたいものではないでしょうか?
オーナーは、薬局M&Aを考える上で、これまでの経営理念や方針・取引先との関係・従業員の雇用の維持などを引き継いで欲しいと思うことでしょう。
逆に、開業したい薬剤師にとっては、立地の良い調剤薬局を取得できること・一定の患者数を確保できること・取引先との関係も良好に築きやすいということなど、新規開業に伴うリスクを避けることができます。
規模拡大や競合他社との差をつけるにも、有利な展開を見込めるという点もメリットになります。
このように、薬局M&Aは事業継承を考えるオーナーと、開業したい薬剤師との想いがリンクしているのです。
長年大切に経営してきた調剤薬局だからこそ、地域とのあり方を構築してくることができ、それを失いたくないという思いがどのオーナーにとっても同じではないでしょうか?
薬局M&Aで事業継承をするにあたり、開業を考えている薬剤師に譲渡するというのは1つの選択肢と言えるでしょう。
開業したい薬剤師に譲渡するメリット・デメリット
では、実際に開業したい薬剤師に譲渡する際には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
【メリット】
・オーナーの思いを引き継いでもらえる
前述したように、まず1つは調剤薬局のオーナーが引き継いで欲しいことに対して柔軟に対応してもらいやすいという大きなメリットがあります。
薬局M&Aを満足のいくものにするためにも、希望する条件でスムーズに引き継ぎを行うことは非常に大切なポイントです。
・後継者不足が深刻な地域でも安心
夫婦で経営している場合、その地域では後継者不足の問題がさらに直面しやすくなります。
地域の薬局として薬剤師の採用が困難な場合であっても、快く受け止められ継続しやすくなるでしょう。
・地域に根差した経営の存続
開業したい薬剤師にとっては、地域に根差した経営を求めていることが多いです。
そのために経験を積み、開業資金を貯めている方もたくさんいます。
オーナーがこれまで培ってきた経験やノウハウ、方針などを引き継いでもらうことで、その後も変わらない地域に根差した経営が続くことが約束されるでしょう。
【デメリット】
・処方元医師とのすれ違い
開業したい薬剤師に何の迷いもなくすぐに事業継承してしまうと、その買い手と処方元医師との相性が合わずにすれ違いが起きてしまう可能性があります。
処方元医師とのすれ違いが起きてしまうと、最悪の場合すぐに薬局を手放してしまうケースも見られます。
買い手をしっかり見極め、事業継承後もスムーズに処方元医師と連携できるかも把握しておかなければなりません。
・希望する譲渡価格が合わない可能性も
現在、薬局M&Aの需要に反映して譲渡価格は上昇傾向にあると言われています。
しかし、中には買い手側の開業資金の上限と合わず、金額条件が合わないというケースも少なくありません。
金額交渉ばかりに捉われていると、希望とは正反対の薬局に変えられてしまう可能性もあります。
譲渡価格の条件も非常に大切なことですが、価格ばかりに捉われることなく、いかに満足のいく事業継承ができるかを考えるようにしましょう。
・閉局の可能性もゼロではない
開業希望の薬剤師が、1人で開業しようとしている場合、その方に万が一の事態があれば閉局の可能性があります。
薬局M&A後はどのように事業を存続させていくのか、また方針などもしっかり理解した上で決定する必要があります。
アテック・ファーママーケットで薬局M&Aを利用しよう
オーナーにとって理想の薬局M&Aをするには、スムーズに譲渡できるよう、新しくオーナーになる買い手側の資質や長期的な経営存続における能力があるかどうかを見極める必要があります。
また、オーナー自身が求める条件を明確にし、経営理念や従業員雇用の存続など、これまで大切にしてきた調剤薬局が成長し続けていくために必要な思いを引き継いでもらうことも大切です。
アテックは、日本初の薬局M&Aを専門会社として設立し、25年以上の実績があります。
薬局M&Aについては多くの専門的知識・ノウハウがあり、問題解決や最適な買い手のマッチングもしっかりと行ってもらえます。
また、ファーママーケットはそんなアテックが運営するマッチングサイトで、薬局を譲渡したいオーナーと開業したい薬剤師とをつなぎ合わせることのできるサイトになっています。
よりオーナーの希望や条件を探すためにも、アテックやファーママーケットは大きな存在となってくれるに違いありません。
今回は、開業したい薬剤師に調剤薬局を譲渡するメリット・デメリットなどを紹介してきました。
薬局M&Aが増加している今、引退したいオーナーが増えていることに加えて、既存の調剤薬局を買収して独立したい薬剤師も増えています。
これまでオーナーが長年積み上げてきた薬局の信頼と方針を次世代へ引き継いでいってもらうためには、独立を希望している薬剤師についても視野に入れることも大切です。
アテックやファーママーケットを利用して、満足のいく薬局M&Aを進めていきましょう。