ここでは最も増えている事業承継方法である「M&A」について解説します。

子供が継ぐ割合は8割から4割へ

30年ほど前は、およそ8割の中小企業が子供に事業を継がせていました。しかし、現在では、その比率は4割以下。かわって親族以外の承継が増えてきました。

薬局オーナーのご子息は、医師や上場企業のサラリーマンであることが多く、そもそも薬局承継の意志を持っていないケースが少なくありません。ですから、子供に継がせるのが難しくなってきたのです。

変わって増えたのが、従業員や第三者に事業を譲渡するMBOやM&Aです。中でも、急速に増えたのはM&A。この10年間で3倍以上に増えたという調査もあります。

M&Aのメリット

現在は、中小企業の8割が赤字企業だと言われています。
好不況の影響などを受けにくい恵まれた環境の薬局業界でも、厳しい状況に変わりはありません。

こうした中で、薬局業界も経営もわからない子供に継がせれば、高い確率で失敗するでしょう。

従業員に継がせるためには薬局を譲渡しないくてはなりません。

従業員は膨大な資金を用意する必要があります。店舗に借金があれば、それを引き継ぎます。ただし、そのようなリスクを犯してでも「オーナーになりたい!」と考える人は、残念ながら少数派です。

それに対してM&Aは、資金力も経営力もある企業に対して売るのですから心配はありません。多くの患者様を抱えていれば、仮に赤字会社であっても買い取ってもらうことは可能です。

将来が不透明で、難しい時代だからM&Aはますます盛んになるのです。