経営理念にこだわり、金額にはこだわり過ぎない

譲渡価格にこだわりすぎると、後悔する結果に……

もっとも、買い手に求める条件を前もって考えておいても、その条件に100%一致する相手はほとんどいないでしょう。特に譲渡価格が一致することは、まずありません。1000万円以上の開きがあることも、よくあります。

その時、私は「譲渡価格にはあまりこだわりすぎない方がいい」とアドバイスします。

なぜかというと、金額にこだわりすぎると、いつしか「経営理念の一致」などの条件がないがしろになってしまい、高いお金を積むだけの買い手になびいてしまいがちだからです。そのような買い手は、譲渡後の薬局を好きなように変えてしまうことが少なくありません。後悔した時にはもう遅い、というわけです。

相手のオフィスや薬局を見学するのも有効

ハッピーリタイアを実現するためには、むしろ「患者さんに対する考え方」や「従業員に対する考え方」などの経営理念に関して、徹底的にこだわることをおすすめします。前ページでご紹介した条件リストを事前に作成したら、それを基に、どんな経営理念を持っているのか、顔合わせの席で根掘り葉掘り聞き出しましょう。遠慮する必要はありません。

話すだけでは、相手のことを判断できない、と感じたら、相手のオフィスや経営している薬局の見学をお願いするのも、一つの手です。雰囲気を見れば、相手のオーナーや担当者の言動と行動が一致しているかどうか、ひと目で分かることでしょう。

重要なのは、譲渡をあせらないこと。「2~3年かけて、じっくり買い手を探そう」というスタンスの方が、理想的な買い手が早々と見つかるものです。

アテック株式会社 取締役社長 鈴木 孝雄
「薬局オーナーのためのハッピー・M&A読本」より

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