ココだけで教える、買い手が殺到する薬局とは?

同じような立地で同じような規模でも、多くの買い手がつくケースと買い手をみつけるのに苦労するケースがあります。いったい買い手はどこをみているのでしょうか。買い手は、なぜ、わざわざ面倒なM&Aを利用するのか、その理由から考えてみましょう。

新規出店なら、自社で好きな店をつくれるし、好きな従業員を雇えます。前オーナーとの面倒な交渉もありません。それなのに、わざわざ面倒な薬局買収を手掛けるということは、新規にはない様々なメリットがあるからです。まずは、買い手が期待するメリットからみてみましょう。

無条件に好まれるのは門前薬局であることです。新規で門前薬局になるチャンスはなかなか巡ってこないからです。また、門前であるなしにかかわらず、一定数の患者様がいることも、十分、買収する理由になります。出店意欲が旺盛な企業にとっては、薬剤師、機器類、在庫などが十分に揃っていて、スピーディーな出店ができることが大きな魅力でしょう。

新規出店よりもメリットがあるケースはこれら。門前薬局/レセプトが多い/すぐに営業できるなど

しかしM&Aをする上で、買い手は大きな不安を持っています。少しでも高額で売るために、「実は門前のドクターと関係が悪化している」「取引先に対して未払い金がある」「医療機関に対するリベートを払い続けている」といった買収価格を引き下げる要素を、オーナーが隠すケースが少なからずあるからです。もちろん、故意ではなく、うっかり忘れてたというケースもありますが、いずれにせよ、買い手が、このような可能性がある店舗の買収を避けようとするのは当然のことでしょう。

実は怪しい薬局を避けるポイントがひとつあります。それは、整理整頓がきちんとできているかどうか。といっても、机の上や棚だけの話しではありません。帳簿、組織、雇用契約、株式などすべてにおいてきちんと整理整頓されていれば、簿外債務などが入り込む余地はなくなるからです。

従業員を複数雇用している店に対しては、社員全員が同じ条件で雇用契約を結んでいる店舗が好まれます。いいかえれば、それだけ入社年度によって昇給や待遇に差があるケースが多いのです。きちんとした人事制度がなく、ある意味、その場のノリで雇用条件を決めているからでしょう。そうした店舗の社員を引き継げば、後日、雇用条件を合わせるための面倒が予想されます。給与も適性水準である店舗が好まれます。

買い手は、買収後に面倒ごとが発生しない案件を探してる

もちろん、最後の決め手は経営者の人がらでしょう。どんなコンセプトで店をつくり、患者さまのことをどう考えているのか。また、ドクターや地域とはどのような付き合い方をしているのかなどが総合的に問われます。

中でも重要なのは、借金、相続のもめごと、リベートなど、買収に不利になることも包み隠さず話すことです。ほんの些細な隠し事でも、あとからばれれば買い手からの信頼感は失われます。そうなれば、売り手が何を言っても、買い手は疑心暗鬼になり、たいてい買収話は流れます。逆に包み隠さず話したことで、買い手からの信頼感がむしろ増したケースは珍しくありません。

買い手は、買収後に面倒ごとが発生しない案件を探してる。いずれにせよ、信頼に足る人物であれば、店も魅力的なはずだし、後から問題が出てきても責任をもって解決にあたってくれると期待できます。だから買収しても安心だと判断されるわけです。

最後の決め手は、経営者に対する信頼感

さて、あなたのお店は、いかがでしたか?売り手が殺到する理由はいくつありましたか。足りない場合は、一刻も早く問題点の修復につとめましょう。買い手が殺到する店に変わっていく可能性はまだまだ十分にあります。

薬局系事業承継の決定版
「上手に薬局を譲渡するための、たった一つの方法」より

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